西暦2022年文月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第416回
- 市民サッカー大会優勝祝賀会監督の謝辞
本日は、私たち「丹波ビクトリー」のために、かくも盛大な優勝祝賀会を催していただき、選手一同身に余る光栄と感謝、感激いたしております。*1
なにせ2年前に誕生したばかりのにわかサッカーチームなので、発足当初は、選手はいない、練習場はない、マネージャーはいない、お金はないはで、ナイナイ尽くしのスタートでありました。
たまたまブラジルのサンパウロに移住して、大きなコーヒー園を経営している私の友人がおりました。ある日電子メールで、そっちに中田選手より上手なブラジル選手がいたらユニクロ価格でこっちに輸出してくれないか、と駄目もとで頼んでみたのです。*2
そしたら、驚いたことには、半年後に突然精悍な顔つきのブラジル人が自宅にやってきて、「コンニチハ、寺尾監督いますか。私サッカー手伝います」と、片言の日本語であいさつするではありませんか。
それが、今日も決勝戦でハットトリックをやってのけた、わが「丹波ビクトリーズ」の司令塔アルシア・デ・ローラさんであります。デ・ローラさんの加盟によって「丹波ビクトリー」は生まれ変わりました。2つの遺伝子がミックスされて強力かつ斬新なスポーツ集団が誕生したのです。
私は痛感いたしました。こんなローカルな地方都市にも、いまや新しいインターナショナルな風がぶんぶん吹きまくっている。経済や文化と同様、21世紀のスポーツはサッカーでも野球でもプロでもアマでも本格的なグローバリズムの時代に突入しちゃったな、とつくづくそう思うのです。*3
ちなみに、デ・ローラさんは、現在うちのチームのMF以外にも、郡是市の郡是中学校の体育の先生として大活躍をされています。
市長さんの夢は、わが郡是市を、国籍や国境を乗り越えて世界中の人々が自由に働き、交流し、スポーツを楽しむ世界一のボーダーレスタウンに変身させることだそうですが、本日の祝賀会がその輝かしい出発点になればいいな、と心から願っております。
- アドバイス
- 1“ゼロからのスタート”で、見事に市民サッカー大会で優勝を飾った監督の苦労話である。スポーツマンらしく喜びを率直にあらわし、市民の支援に感謝すると共に、平素の思いを忌憚なく披露する格好の舞台である。
- 2苦肉の策の海外選手強化策が実ったことで、国際的な人材交流の意義、グローバリゼーションの真価に目覚めた監督の感慨が実感をともなって語られる。
- 3南北問題や先進国対発展途上国の貧富の差、デジタル・デバイスなどの難問は山積しているが、寺尾監督は地球市民の一員として新しい21世紀のサッカーを創造しようとしているようだ。
「棺」てふ漢字を眺めていても分からないまさか「ひつぎ」と読むなんてことは 蝶人