The Roosters / ザ・ルースターズ (1980)
ルースターズ(The Roosters)のファースト・アルバム。リアルタイムでは聴いていなくて、以前はシングル曲を聴いた事があるだけだった。ただヴォーカルの大江慎也の名は若かりし頃に愛読していたサブカル雑誌「宝島」にしょっちゅう出ていたので知っていた。その後、ルーザー(The Loser)にギターの下山淳が参加することになり後追いで色々知ることになる。
当時、自分が雑誌の写真やジャケット写真からイメージする大江慎也の声は暗く、そしてか細く掴みどころのない感じだった。随分あとになって実際に彼らの曲を聴くと、その声は思いのほか力強く、若さにあふれたもので意外だった覚えがある。若かりし頃のこのファースト・アルバムでも思い切りストレートにラヴ・ソングを叫んでいる。曲はカヴァー曲が多く、そのラインナップやタイトルからも初期のローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)に大きく影響を受けているのは明白。どの曲もストレートなカヴァーで、1980年という発売年(すでにパンク以後で日本ではニュー・ウェーヴ真っ盛り)を考えるとかなり異質だ。でも同時期にシナロケ(Sheena & The Rokkets)も同様のアプローチだったか。オールド・ウェーヴのニュー・ウェーヴ的解釈。そう考えると「ニュー・ウェーヴ」の本質ってそういう所か…。ディーヴォ(Devo)しかり、2トーン・スカ(2 Tone Ska)しかり。このアルバムのなかでもスカのリズムを刻む「ロージー」はやはり白眉。
自分が中古で買ったこのアルバムは「CD選書1500」というシリーズの中の一枚。90年代頃には各社がこういった形で日本のアーティストの過去のカタログをCD化したが、音にガッツがないし、ジャケットやレーベルなんかも簡略化されたものが多く、その内容は別としても愛着が湧かず好きじゃなかった。でもそれしかなかったので何枚も買ったな。
オークションにて購入(¥728)