ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

たこ梅 @大阪府中央区・道頓堀

2015年08月26日 | 大阪府

御堂筋から、通り抜けるのが大変なほど観光客でごった返す道頓堀を堺筋方面に歩くと、なんともいい佇まいの店がある。創業弘化元年(1844)というおでん屋「たこ梅」。170年以上もの歴史がある老舗で、現在の主人は5代目だそうだ。店先には「関東煮」の赤い提灯が下がっている。大きな暖簾をくぐって店の中へ。すぐ目の前にカウンターがあり、おでんが湯気を上げている。奥には小さいがテーブル席もある。建物自体は古くなさそうだが、古くから使われたであろうものが残っていてとても味がある。先客はもうそろそろ出来上がっていて、何もつまんでいないようだった。おでん鍋の正面に座ってお酒をぬる燗で注文した。おでん種は何にしようか迷ったが、鍋番のお兄さんに「さえずり」を注文。ヒゲクジラの舌だそうだ。このさえずりなどの部位が入っているからおでんのつゆが旨くなるらしい。

酒は給仕のお姉さんから錫のちろりと猪口で供される。この猪口は中が中空になっているという凝ったもの。高そうだなァ。3個串に刺さったさえずりはもっちもちの食感。おでん種としては安くはないが、独特の風味もあり、旨い。うん、これには日本酒だね。つゆの味は濃くなく、あっさり。追加はおでん種をいくつか、それに名物「たこの甘露煮」。屋号はもちろんこの名物の「蛸」由来だと思っていたが、HPによるとその昔、カウンター形式のことを「たこ」と呼んでいたのだそうな。柔らかく煮られたたこは、これも串に刺してあり、噛むほどに味わいが広がる。もう少し味わっていたいが柔らかいので無くなってしまうのが名残り惜しい(笑)。お酒を追加して楽しんだ。空いていたカウンター席も3組ほどの女性2人連れで埋まった。店員が慣れた様子で外国語メニューを出してから分かったのだが、何とそれぞれ中国、台湾、韓国からの観光客。渋い店を選ぶもんだねェ、最近の外国人観光客は。(勘定は¥3,600程)

 

 ↑ 御堂筋の「大丸心斎橋店」(大正11年-昭和8年・1922-1933・建造)。通りかかったらちょうどイルミネーションに点灯された。

  

 ↑ 大阪近代建築散歩その3(その1その2)。「日本銀行大阪支店」(明治36年・1903・建造)。東京・日本橋の本店と似た雰囲気。もちろん設計には辰野金吾が参加している。

 ↑ 「淀屋橋」(昭和10年・1935・建造 ※重要文化財)から日銀大阪支店を望む

 

 ↑ 「三井住友銀行大阪本店(旧・住友ビルディング)」(大正15年・1926・建造)。元が住友の建物だけあって、入口の表記は「SUMITOMO-MITSUI」の順に。

 

たこ梅

大阪府大阪市中央区道頓堀1-1-8

( 道頓堀 日本橋 たこうめ 上燗屋 さえずり クジラ 鯨 池波正太郎 関東煮 関東炊き かんとだき )

コメント
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