みなさんは「堅パン」をご存じだろうか? 歴史は結構古いらしく、元々は外国で軍隊の携行食として作られたようだ。日本では大正末期に八幡製鐵所で栄養食として採用された事から、北九州市の名産となっているらしい。自分がこの堅パンを知ったのはごく最近に、あるサイトで見てから。それまでは存在さえ知らなかった。しかもそれが名古屋で手に入るなんて。場所はきっての繁華街「大須」。若い人達の文化と、古くからの歴史ある文化が衝突する面白い場所だ。にぎやかなアーケード街の、新天地通と仁王門通が重なる場所にその店「岩瀬パン」はあった。ここは何度も通った事がある場所だし、待ち合わせ場所というか、休憩場所みたいになっている所なので、ものすごく目立ってもいい所なのに、まるでそこには存在していないかのような不思議な佇まい。ステルス機のように存在が希薄で(笑)、今までここにパン屋があるなんて全然気付かなかった。外から覗くと店は前評判通り、独特。とりあえず店に入ってみる。
店に入るとチャイムと共に奥の作業場から老齢の主人が出てくる。店の中はちょっと説明し辛いが、カオス。パンとは関係なさそうな様々な物(ミニカーや人形や説明の出来ないもの)が、様々に配置してある。あまり多くない種類のパンが並んだ棚で「カタパン」(ここではカタカナ表記)を探してみるが見当たらない。すると主人が「カタパンかい?」と声をかけてきた。何と「30℃を越える暑い時期には作らない」のだとか。主人はなぜか関西弁。夏もほぼ終わり、この日は完全に30℃以下だったが(笑)、仕方なく棚にあった「ブドー」(レーズンパン)を購入。甘いのに少し強めに塩気を感じる生地で、どことなく懐かしい味わい。残念ながらカタパンは手に入らず店を後にした。(勘定は¥130)
でも、もちろん気になって食べてみたくてしょうがないので、もう少し経ってから再訪。もう30℃以上とは言わせないくらいの気温になってきたある日に店に向かう。でも正直、この日の昼間だけは気温が上がって結構暑く(笑)、下手するとまた作っていないかもと思ったが、店に入るとちゃんとビニール袋に包まれて置いてあった。さっそく購入して持ち帰り、「大須名物」とポップに書いてあったそれを食べてみる。
もう、手に取った時からその堅さはよく分かる。カチンカチン。焼き加減はなぜか一個一個様々で、かなり黒っぽいものもある。それでもクッキーっぽい見た目なので、思い切ってガリッといってみた。……ちょっ、ちょっと…歯が折れるわ…コレ。ちょっと信じられないくらいの堅さ。奥歯で噛み割ろうとしてもなかなか割れない。乾パンでもここまで堅くない。何とかいくつか欠片を作り、口に放り込んだ。味としては予想通り甘さの控えめなクッキーのような感じ。ただ割るときは本当に自分の歯に危険を感じるくらいの衝撃だ。いやぁ、面白い。ぜひお試しください。これ、まだほとんど残っているけど食べきることが出来るだろうか…。(勘定は¥500)
愛知県名古屋市中区大須3-43-6
(岩瀬のパン いわせパン 堅パン カタパン かたぱん かたパン)
>失礼な態度
どのような内容であったかは存じませんが、確かに独特な
印象の人ですよね(笑)。私のような中年は、昔の個人商店
ってこういう変わった主人もいっぱいいたなァ、と懐かしくさえ
思います。
>ぶっきらぼうに
ま、ご年輩の中にはそんな方もいらっしゃいますよ。当人も読めなかったり、
覚えていないのかも(笑)。