Live At The Old Waldorf - San Francisco, 6/29/78 / Television (2003)
あわわわわ、トム・ヴァーレイン(Tom Verlaine)が亡くなった…。年頭から自分の大好きなアーティストの訃報が続いているが、まさかトム・ヴァーレインもか…。若い頃にパンク、ニュー・ウェーヴの洗礼を受けた自分は、実際のムーヴメントから10年遅れぐらいで既に終わっていたニューヨーク・パンクやロンドン・パンクのレコードを集め始めた。”パンク”と一括りに言ってもそのスタイルは様々で、特にニューヨーク・パンクの中では、ラモーンズ(Ramones)やハートブレイカーズ(Johnny Thunders & Heartbreakers)のようなストレートなロックンロールを演奏するバンドも居れば、トムのテレヴィジョン(Television)やパティ・スミス(Patti Smith)、トーキング・ヘッズ(Talking Heads)のようにちょっと文学的で知的な雰囲気を漂わせるバンドも居て振り幅が大きく、特徴を捉えるのは難しかった。
もちろんすぐにファーストの「Marquee Moon」(ジャケ写真上左)を購入。もちろん当時、既に名盤という評価は定まっていて買ったはず。表題曲は10分を超える大作だったが、何度聴いても最後まで針を上げることはなかった。CDになった今でもこの曲だけは途中で切り上げることが出来ない(←リマスターされた時にボーナス・トラックで付けられたAlternate Versionは別。あの終わり方はやっぱりちょっと違う)。70年代の現役時に発売されたアルバムは2枚のみ(どちらも傑作)。トムはそれまでのステレオタイプなイメージと違うタイプのギター・ヒーローだ。渋谷にあったある小さな雑貨屋に、なぜかROIRから発売されていて貴重だったライヴ音源を収録したカセット・テープ「The Blow Up」(ジャケ写真上右)を安価で見付けて小躍りしたこともあったっけ。アナログのブートレグも色々買ったなァ。
1992年に再結成し、アルバム「Television」も発売(意外やこれもなかなかの作品)。来日公演も実現した。東京だったか名古屋だったか忘れたが、その公演にも参加出来て生で「Marquee Moon」を聴けて昇天。ただトムはあの有名なイントロをわざと外して笑いを誘ったりもしていたっけ。その後はバンドとして度々再結成。ギターがリチャード・ロイド(Richard Lloyd)からジミー・リップ(Jimmy Ripp)に替わった2014年の来日公演も小さなハコで観ることが出来たのがいい思い出だ。
紹介したアルバムは2003年にRhino Handmadeから5,000枚限定で発売されたライヴCD。78年の解散前のツアーで録音されて数多くのブートレグに収録された有名音源だが、やっとこの時に正式にCD化された。以前は中古品ならさほど入手困難という訳ではなかったのでグズグズしていたらなかなか出回らなくなり、やっと最近手に入れた物。隠れた名曲”The Dream's Dream”から始まる選曲は文句なし。彼ならではの、あまりディストーションとかのエフェクトを使わない痙攣するようなギターの音色と、線が細く特徴的な(どちらかというと頼りない)ヴォーカルが響き渡る。これを聴きながら追悼します…(涙)。合掌。R.I.P.
ネット・オークションにて購入(¥1,680)
Tom Verlaine (1949 - 2023)
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