第34期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第4局は10月7日、8日、仙台市太白区で行われ、挑戦者の井山裕太八段が張栩名人に黒番中押し勝ちした。井山挑戦者は対戦成績を3勝1敗とし、史上最年少での名人位奪取へあと1勝と迫った。第5局は14、15の両日、静岡県熱海市で。
挑戦者が、長期戦を思わせる混迷の局面から鮮やかな決め手を放って、力強く名人を押し切った。
解説の高尾紳路九段は「両者、一歩も引かない戦いは実に見応えがありました。まだ難しいと思われた局面で、一気に決めた挑戦者の力強さが光った一局です」と話した。
<井山挑戦者の話>
形勢はわからなかったけれど1日目の左下はうまくいったと思った。黒145のハネでようやく、形勢に自信を持ちました。
<張名人の話>
1日目で失敗して、はっきり苦しかった。一瞬、勝負になったと思ったが……。白130では上辺の黒を取るべきでしたか。
(朝日新聞より抜粋)
「井山の嵐、ハタチの名人は目前」、「張栩よもやの3連敗カド番へ、防戦一方で土俵割る」
(週刊碁、見出しより)
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井山挑戦者、張栩5冠に一歩も引かずに粉砕、自信がみなぎっていました。タイトル奪取を目前にプレッシャーに負けなければ、勢いからして新名人誕生の可能性は高くなりましたね。
一方、カド番に立たされた張名人は今年初めての大ピンチ。井山台風の大波をしのげるか、注目の第5局です。
本局の「NHK(BS-2)囲碁名人戦」の解説は小林覚・九段、司会は新垣未希(アマ6段)、また「囲碁・将棋ジャーナル(10/10放送)」での本局は解説:武宮正樹・九段 、聞き手:高倉由季(アマ6段)でした。
小林九段、武宮九段、ともに味のある解説でプロの思考の一端が垣間見れたような気がしました。
司会・聞き手は新垣さんと高倉さん、女性囲碁インストラクターの層も厚くなりましたね。
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今回の対局地は宮城県仙台市の秋保温泉「茶寮宗園」。
秋保温泉は「あきほ」だと思っていましたが、「あきう」と読むんですね。
近くには「磊々峡」というのがあるそうですが、「磊々」といえば秀行師の書が連想されます。
「磊々:心が大きく、小事にこだわらないさま」とのことですが、小事にこだわる人もいないと困るんですよね。