こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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誰が書いたものか・・・なにが書いてあるのか、誰が書いたものか(3)

2013年10月03日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
書物に限らず、およそ文章というもの、誰が書いたものか、ということは大変重要である。
小説、評論はいうにおよばず、新聞記事だって署名記事の方がよほど価値がある。

病理に限っていうと、教科書は共著なので誰が書いたかというよりは、なにが書いてあるのか、のほうが大事になる。
ところが、参考書の場合は、誰が書いたものか、というほうが大切である。
最近、数多く出版されている参考書、執筆者は私ぐらいの世代の病理医が多い。外科病理学が(病理医の)社会で認知され始めたころに病理医になった世代で、効率のよい診断方法がないか四苦八苦して考えていた世代のような気がする。
というのも、われわれより上の世代にはカリスマ病理医というのがいて、その先生がそういえばそう、みたいな時代だった。

時は下って、いまではEBM(evidence based medicine)である。確証の無い診断、治療は許されない時代となってきている。

そういう流れの中で、われわれ日本の病理医もハンディーな参考書が必要となり、今やたくさんの数の参考書が世に出ている。


そこで、教科書にある項目ごとに参考書がある。
となると、今度は誰が書いた本なのか、ということが問題となる。

研究論文をたくさん出しているその道の権威よりも、学会/研究会の診断セミナーのようなところでしょっちゅう話している先生なんかの出した本の方が、実戦的でわかりやすかったりする。
実際の診断にたずさわったことが少ない先生の書いた本は意外と実例写真が少なくて、字ばかりになってしまう。学生ならともかく、忙しい一般病理医にとって、一字一字追っていく時間はない。
一方、日々標本を診ている先生が書いた本だと写真が豊富でわかりやすい。

ただ単に、有名な先生が書いているからといって、購入すると失敗することがあるので注意が必要だ。

この話、次回はまとめ。