亀裂が入ったという新幹線の台車、設計書と異なった方法で作られていたそうだ(下記に昨日発表された記事を掲載)。先週、京都の学会に行った時に乗った車両は大丈夫だったのかと思うと、気持ちが悪くなる。毎日乗っている通勤電車の車両も大丈夫かと心配になる。去年の10月に、『埋没しかけの日本にリセットを』という記事を書いた。読み返すと、東芝、神戸製鋼、電通といったいわゆる一流企業の名前が出てくる。そして今度は川崎重工。輝かしい歴史を築いて来た日本企業の体たらくをみると悲しくなる。
旧来の日本の社会システムが崩壊しつつあるといっては、言い過ぎだろうか。川崎重工の話は、現場で勝手にやったというが、こういう話が最近多すぎる。監督不行き届きというのが、数万人の命を預かる企業にあっていいと思っているのだろうか。これはやはり現場の責任者の問題だ。「これまで通りやっていたら大丈夫さ。」とおもっていたら、現場の人間は”より、効率のいい”誤った方法を編み出して、いつの間にか「これまでとは違うことをやっていた」ということだ。
私たちが新幹線に乗るために払う高い金は安全を含めた全てのことに対する信頼への対価だ。そんな一般人の思いを川崎重工はせせら笑うように無視したということだ。JR側も納入される時点で、より高度な安全確認をする必要があったといったら酷だろうが、鉄道会社にはそれほどの責任があるともいえる。被害者然としていないで安全確保に取り組んでもらいたい。
日本の企業というのはもう、ダメになってしまったのだろうか。産業立国としての威信が日本人に残っているとしたら、一踏ん張りしてほしいところだ。
他山の石とする
<のぞみ亀裂>川崎重工、台車146台交換へ JR西・東海
02月28日 21:31 毎日新聞より(Gooニュースで検索)
◇金花社長「多大なご迷惑」と謝罪、引責辞任は否定
新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が見つかった問題で、メーカーの川崎重工業は28日、台車枠の製造過程で底部を不正に削り、鋼材の板厚が最も薄い箇所で基準の7ミリを下回る4.7ミリとなり、溶接不良もあったと発表した。いずれも亀裂の原因になったとみられる。神戸市の本社で記者会見した金花(かねはな)芳則社長は「新幹線利用者やJR西日本、東海の関係者に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪したが、引責辞任は否定した。
基準を下回る台車はJR西日本と東海で他に計146台。JR西は100台(1両に2台)あり、超音波検査の結果、強度に問題はないとし、運行を続けながら順次交換する。JR東海の46台も安全性を確認しており年内に交換する。他のJR3社では該当がなかった。
川崎重工やJR西によると、2007年、兵庫工場(神戸市)でコの字形鋼材同士を合わせてロの字形の台車枠に溶接した際、コの字鋼材の曲げ方が不足し、底部が平面にならなかった。「軸バネ座」と呼ばれる部品を溶接で取り付ける必要があり、本来の作業手順にない削る対応で平面にし、板厚が基準を大幅に下回った。さらに溶接の際、底部2カ所の鋼材内部を傷付けるミスも加わった。
台車枠の鋼材は製造の際、削る加工を原則禁じる決まりがあるが、同工場の班長が従業員約40人に徹底させなかった。従業員は軸バネ座をしっかり取り付けようと削ってしまい、そのまま出荷したという。
台車枠は運行を続けるうち、溶接不良で傷付いた2カ所を起点に金属疲労が進み亀裂が広がった。起点は亀裂発覚の相当前に生じたとみられるが、その後は一気に広がったとみられる。
亀裂が生じた台車以外にも、基準以下の100台の台車で7ミリ未満に削り込まれていた箇所が見つかり、最も薄いもので4ミリだった。JR東海も46台のうち6・5ミリ未満の箇所が確認された16台は優先して3月中に交換する。
のぞみは亀裂で台車枠が破断寸前となり、国の運輸安全委員会は新幹線初の重大インシデントとして調査を続けている。川崎重工に先立って28日会見したJR西の来島達夫社長は「製造時の超音波検査を求め、安全な車両を提供してもらいたい」と話した。トラブルで生じた費用の川崎重工への請求は今後検討する。川崎重工は3月から3カ月間、金花社長が月額報酬50%、車両製造を担当する小河原誠常務取締役が同30%を返上する。
この問題では、昨年12月11日に博多を出発したのぞみで、乗務員が異音や異臭などを確認しながら運行を続けていたJR西の対応が厳しく批判されていた。【根本毅、服部陽、宇都宮裕一】