クララの話は、珍しく妻と読みたい本が一致した。ところが、読後感はかけ離れていて、長年一緒に暮らしていてもこんなものかと、少し驚いた。夫婦とはいえ、しょせんは他人、これもまた同床異夢といえるだろうか。今から映像化が待ち遠しいところだが、これまでこういう話、日本のコミックにはなかったか?
ハイデカーは薄めの本だったが、読み進めるのにはけっこう時間がかかった。自分がどうして存在しているのか、いまだによくわからないが、それはおそらく死ぬまでずっとわからないだろう。ただ、死ぬ瞬間にそのことがわかったら、ずいぶん幸せなんじゃないだろうか。
こうして2つの話を並べてみると、人間と人間に続いて出現したAIという存在がこの先、どんな関係に落ち着いていくのか興味深い。
読んだ本の数:2
読んだページ数:581
ナイス数:33
最初から最後まで、さまざまな光に包まれた美しい話。 映画化するのはたいへんだろう、だってAIが認識している画像というのはよくわからないから。クララはあくまでも機械であって、人間ではない。淡々としたラストは素晴らしい読後感を与えてくれた。クララの功績を誰かわかってあげてくれたら、とちょっと思ったがクララにとっては不要なことなのだろう。
読了日:05月27日 著者:カズオ・イシグロ
ハイデカー哲学というものに初めて触れた。誰にも代わってもらうことのできない自らが死ぬ時こそ、自らの存在を確認できるというのは、幸せなことだ。その時、「ああ、いい人生だった」と思える人生を送ることができたら、幸せだろう。ハイデカーの哲学は私にそんなことを考えさせてくれた。
読了日:05月17日 著者:貫 成人
AIに死はあるか
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