きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

けいざい四季報① 米中貿易摩擦 制裁と報復の応酬 加熱

2018-10-04 19:42:45 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報① 米中貿易摩擦 制裁と報復の応酬 加熱
トランプ米政権は、中国が知的財産権を侵害しているという理由で、通商法301条に基づく制裁として、中国製品に対する追加関税を発動しました。中国も即座に報復関税を実施。制裁と報復の応酬で過熱を続ける米中貿易摩擦は、両国だけでなく、世界経済にとっても大きな懸念材料となっています。

【ポイント】
①中国の知的財産権侵害を理由に米国が制裁の追加関税。中国も報復で追加関税
②米小売団体が声明。中国製消費財への追加関税で消費者負担増加の恐れを指摘
③IMFが世界経済への影響を懸念。OECDは世界の経済成長予測を引き下げ



中国から輸入された冷凍海産物を運ぶフォークリフト=9月25日、米カリフォルニア州(ロイター)

輸入に追加関税
米国は7月6日、対中国制裁の第1弾として、ロボットや情報通信機器などハイテク製品の818品目、年間輸入額340億ドル(約3兆7500億円)相当に25%の追加関税を課しました。中国も6日、米国の農産品や自動車など545品目、340億ドル相当に対する25%の追加関税で応じました。
これに対し、米国は8月23日、対中制裁の第2弾を発動。半導体や化学品など279品目、160億ドル(約1兆8000億円)相当に25%の追加関税を課しました。中国も即座に、自動車や石油製品など333品目、160億ドル相当に対する25%の追加関税で応酬。
さらに、米国は9月24日、第3弾を発動。家具や家電など消費財を含む5745品目、2000億ドル(約22兆円)相当に10%の追加関税を課し、2019年以降は25%へ引き上げるとしました。中国も、米国製品600億ドル(約6兆7000億円)相当への5~10%の、追加関税で報復。

消費者の負担増
これまでの制裁と報復の応酬で、米国が追加関税の対象とした品目は、年間輸入額2500億武ドル相当の規模に上ります。昨年の中国からの物品輸入額(約5050億トン)のほぼ半分です。中国が追加関税の対象とした品目は1100億ドル相当。
トランプ政権は、さらに2670億ドル相当を対象にすることを検討すると表明。実施されると、計算上、中国からの輸入品すべてが対象になります。
第3弾では、中国製の消費財に対する関税も引き上げられることになり、消費者の負担が増えます。米最大規模の小売事業者経営者協会(RILA)は9月17日、声明を発表。「トイレットペーパーから家庭用品、家具、ペット関連用品までの関税を、中国ではなく、米国の家族が支払うことになる」と指摘しました。


世界経済の主な出来事(7月~9月)
7月6日米国が対中制裁第1弾を発動。中国も直ちに同規模で報復
7月17日4~6月期の中国GDPが3期ぶりに減速
7月18日欧州委員会がEU競争法違反でグーグルに43億ドルの制裁金
8月2日米株式市場でアップルの時価総額が米企業初の1兆ドルを突破
8月13日トルコ通貨リラ急落で他の新興国通貨やユーロが急落
8月23日米国が対中制裁第2弾を発動。中国も同規模で報復
8月30日アルゼンチンが通貨急落で政策金利を60%へ引き上げ
9月19日アルゼンチンGDP6期ぶり減
9月24日米国が対中制裁第3弾を発動。中国が半分の規模で報復
9月26日米国が0,25%ポイント利上げ
9月30日米・カナダがNAFTA再交渉で妥結


世界の懸念材料
国際通貨基金(IMF)のライス報道官は9月20日の会見で、トランプ米政権による対中制裁第3弾が発動された場合の影響について、米中両国にとどまらず世界経済に「非常に大きな打撃をもたらす恐れがある」と強い懸念を表明しました。
経済協力開発機構(0ECD)は9月20日、最新の経済見通しを公表し、2018年と19年の世界全体の経済成長率をいずれも3・7%と予想しました。5月の前回予測を下方修正しました。
OECDは、「貿易摩擦が景況感や投資計画に既に悪影響を及ぼしている」と分析しました。
米国の成長見通しは、18年を2・9%に据え置きましたが、19年は2・7%と0・1響引き下げました。高関税や今後の政策をめぐる不透明感から、投資の拡大ペースが減速すると予想しました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月2日付掲載


世界の2つの経済大国の貿易摩擦は、国家の威信をかけてのものだが、それぞれの国民の生活は犠牲になるようです。

2019年度概算要求⑨ 軍事費 米国製兵器導入で大幅増

2018-10-03 11:41:51 | 経済・産業・中小企業対策など
2019年度概算要求⑨ 軍事費 米国製兵器導入で大幅増
2019年度予算に対する防衛省の概算要求は5兆2986億円で、5年連続で過去最大となりました。18年度の当初予算比で1075億円、2・1%増です。年末に今後の軍事力のあり方を定める「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の策定を控える安倍晋三首相の下で大軍拡が進んでいます。
軍事費の大幅な増加の要因に米国製の高額兵器の導入があります。兵器の購入を再三迫ってきた米国に追従した結果、将来への借金ツケ払いである新規の「後年度負担」は2兆5141億円となり、18年度比で3977億円増加。18・8%もの伸び率を示しました。これまで購入した兵器の“借金返済”(歳出化経費)は1809億円増加し、9・、6%伸びました。






「脅威」論あおり
北朝鮮の「脅威」をあおり、朝鮮半島で始まった平和のプロセスに逆行する形で秋田、山口両県に配備を狙う陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の2基の取得経費2352億円を要求。政府は配備候補地周辺からの反対の声を無視して、「配備ありき」の姿勢を貫いています。同システムの導入費を含め、米からの武器購入闘有償武器援助(FMS)契約の要求額は6917億円で、18年度の4102億円から68・6%増という異常な伸びです。
例年は前年度予算と同額(18年度2212億円)を盛り込む米軍再編関係経費などを、金額を明示しない「事項要求」とした点も見逃せません。18年度と同水準で計上されれば実質的な要求額は5兆5000億円、18年度比で6%もの伸び率に達します。沖縄県知事選(30日投開票)を見据えた措置と考えられますが、要求額を小さく見せる意図があったとすれば重大です。
また、宇宙状況監視など関連経費を925億円、航空自衛隊が運用するF15戦闘機2機の電子戦能力向上などのため101億円を求めるなど、宇宙、サイバー空間の軍拡も狙っています。

敵基地の攻撃も
兵器の長射程化や高速化を進める費用が盛り込まれており、憲法違反の「敵基地攻撃能力」の保有につながる危険もあります。長距離巡航ミサイル=スタンド・オフ・ミサイル(JSM)の取得に73億円、超音速で巡航可能な誘導弾の研究費に64億円を要求しました。自民党は6月、新大綱・次期中期防の策定に向け、これまで国内総生産(GDP)比1%程度に抑えてきた軍事費を2%にすることなどを安倍首相に提言しました。これに沿って際限のない軍拡に踏み出せば、国民生活はより圧迫され、財政の役割が破綻します。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月28日付掲載


アメリカからの高額兵器の購入で膨れ上がる軍事費。朝鮮半島で平和が進展するもと、究極の無駄遣いだ!

2019年度概算要求⑧ 地方財政 集約化・広域連携を推進

2018-10-02 16:50:54 | 経済・産業・中小企業対策など
2019年度概算要求⑧ 地方財政 集約化・広域連携を推進
2019年度予算概算要求で総務省は、地方の一般財源総額(地方税や地方交付税など自治体が自主的判断で使える財源)について、「仮置き」の数字として、18年度予算比0・6兆円増の62・7兆円程度と見込みました。
地方税と地方譲与税の合計は同1・2%増の42・5兆円。地方交付税等(同交付税不足分を振り替える臨時財政対策債4・1兆円を含む)は、18年度予算と同額の20兆円としました。





第32次地方制度調査会第1回専門小委員会=7月31日、東京都内

一般財源は微増
地方財政をめぐって政府は、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2018)で“地方の一般財源総額は今後3年間、18年度水準を下回らない”との方針を示しました。今回の一般財源総額の微増は、この政府方針を踏まえたものです。
概算要求の中身は、以前から自治体に迫ってきた公共施設や行政サービスの集約化や広域連携、民間委託化を、さらに進めようという政府の姿勢を示すものとなっています。
総務省は、中心都市が近隣自治体と広域連携し圏域全体の都市機能や行政サービスの集約化を行う「連携中枢都市圏」などの「新たな圏域づくり」推進予算を18年度比77%増の2・3億円を要求。同予算は圏域形成に向けた調査や自治体間協議に必要な費用などを支援するものですが、「観光」など合意しやすいものだけでなく、今後は公共施設の設置場所など自治体間で利害調整が必要となる「深い部分」(総務省)まで協議を進めるよう求めるとしています。
一方、国土交通省も公共施設などを中心地域に集約する「コンパクトシティ」推進予算として251億円(同14%増)を要求。これらはいずれも中心地での大型開発や周辺地域での衰退が危倶されているものです。
また、公共施設の建設・管理運営を民間に委ねる「PPP/PFI」を推進する予算として、国交省は505億円(同67%増)、内閣府は2億円(同16%増)を求めました。
総務省は現在、外部委託などで経費を引き下げた水準を地方交付税の算定に反映させる「トップランナー」方式について、自治体の窓口業務を対象に加えるかどうか検討しています。公共性の強い窓口業務の対象化は情報漏えいなどの危険性が伴う外部委託を加速させるものです。
マイナンバー制度推進には、347億円(同26%増)を計上しています。

努力に水を差す
総務省の研究会は7月、現行の都道府県と市町村という「二層制」を崩す方向を提起。これを踏まえて地方制度調査会(首相の諮問機関・任期2年)での議論も始まりましたが、地方からは「今やっている(地域再生の)努力に水を差す以外の何物でもない」(立谷秀清・全国市長会会長)と反発する声が上がっています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月27日付掲載


公共施設や行政サービスの集約化や広域連携、民間委託化を、さらに進めようと迫るものになっています。
本来なら、充実が求められるものです。