
昨日、テレビ観戦した、クラブW杯準々決勝の鹿島対グアラダハラ(メキシコ)戦の印象です。グアラダハラは鹿島との対戦が決まってから、担当スカウトを日本まで派遣して、Jリーグの試合を見るという行動力を見せます。その成果は、試合の序盤で発揮されます。鹿島がマークしにくいように、FWとMFで縦の動きをして、入れ替わりながら攻撃するという工夫を見せます。
先制点はグアラダハラに入ります。右サイドから仕掛けて、鹿島左SBの山本脩斗を釣っておいて、そこからもう一枚の選手が昌子を股抜きして抜くと、クロスを14番がまったくのフリーで受けてGKクオン・スンテの守るゴールを破ります。その後もグアラダハラは鹿島ゴールを一方的に脅かし続けますが、至近距離のシュートにクオンスンテが好セーブを見せるなど、ギリギリのところで0-1で折り返します。
このままではグアラダハラの2点目は時間の問題のように思えた後半、鹿島は左MFをレアンドロから安部に交代します。レアンドロは負傷の影響で4月以来の出場で、左タッチライン際に張り付いて運動量が少なかった印象を受けます。そこに安部を入れることで、グアラダハラの圧力にさらされて苦しいダブルボランチに援軍を与えたいというのが大岩監督の意図と感じます。
その交代が見事に当たりました。安部が中央でボールを受けられるようになって、鹿島が一気に流れを取り戻します。カウンターから左サイドを土居がドリブル突破すると、信じて走り込んでいたボランチの永木がクロスを直接合わせて同点ゴールを得ます。その後、ゴール前の相手ファウルで得たPKをセルジーニョが決めて鹿島は逆転に成功します。
グアラダハラは解説の城彰二さんが「序盤飛ばしていますね」とコメントするなど、最初で圧倒するゲームプランだったようです。結果的には、そこで1点しか取れなかったことがこういう流れの変化を生むことになります。最後は、交代でFWに移っていた安部が巻くようなミドルシュートを突き刺して3-1としてセーフティリードを奪い、相手にPKで1点を返されたものの3-2でこのゲームを勝利します。
鹿島の、戦術的に全員が動くサッカーが通用することは、準優勝となった2年前のクラブW杯でもある程度証明されていますが、今回は流れを変えての勝利で価値があります。次の相手はRマドリードです。2年前は延長戦までもつれた試合でしたが、どこまで戦えるか楽しみです。