北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

良き師をもつこと

2008-10-08 23:41:24 | Weblog
 昨日、2008年のノーベル物理学賞に素粒子物理学への貢献で南部陽一郎さん、益川敏英さん、小林誠さんの3氏が選ばれたという知らせがあり、日本中が歓喜に湧いたところですが、なんと今日も今度はノーベル化学賞で緑色蛍光たんぱく質(GFP)を発見したことによる下村脩さんが受賞という知らせが届きました。

 物理学賞のお三方は、もうこれ以上は分解出来ないと思われた原子を構成するクォークと呼ばれる素粒子が6種類あるという理論によって受賞されたのだそうですが、こうなるともう素粒子物理学の素人では理解不能な領域。

 今日の下村さんは、生物が緑色に光るタンパク質を発見したのだが、後にそれが遺伝子操作によって細胞を生きたまま光らせて、生体の中でマーカーとして使うというアイディアに結びつき、生物科学を大いに進歩させたのだそう。これもまた素人には理解不可能な基礎研究。

 しかしこれらの基礎研究があればこそ、次に続く研究者たちの応用に繋がり科学が進歩する礎になったのでしょう。本当におめでたいことです。

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 そしてどなたも、あまり派手に嬉しがらないのも日本人らしい奥ゆかしさを感じさせます。

 そんななか、ちょっと皮肉屋っぽく見える益川敏英京大名誉教授が、朝のインタビューの際に、同時受賞の恩師南部先生に触れられたところ「わたしから見ればまさしく偉大な物理学者で、仰ぎ見ながら成長してきた。その先生と…」と言ったところで感極まって涙にむせんだ姿が印象的でした。

 まさにあの人のようになりたい、あの人を目指したいという「敬」の気持ちこそが自分を奮い立たせ、師の徳に報いようと一筋の道を歩ませたのだろうと思うシーンでした。

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 かの安岡正篤先生はこう言っておられます。

「若い間に、自分の心に理想の情熱を喚起するような人物を持たない、理想像を持たない、私淑(ししゅく)する人物を持たないのと持つのとでは大きな違いです。

 なるべく若い時期にこの理想精神の洗礼をうけ、心の情熱を燃やしたことは、例え途中いかなる悲運に際会しても、いかなる困難に出会っても、必ず偉大な救いの力となる。

 若いときにそういう経験を持たなかったものは、いつまでたっても日陰の草のようなもので、本当の意味に置いて自己を伸ばすということが出来ない。ことに不遇のときに、失意のときに、失敗のときにこの功徳が大きいものです」と。(「安岡正篤 一日一言」 致知出版社)

 良い師を持つということ、憧れの理想を持つことは大切なことなのです。 
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