北海道ならではの野外アクティビティの最高峰の一つは「氷上ワカサギ釣り」だろうと思います。
魚釣りとしてのワカサギ釣りなら、暖かい本州でもドーム船などで釣ることができますし、それ自体も一つのレジャーです。
しかし厳冬期に凍った湖面に穴をあけ、ワカサギの数釣りに臨む時間はほかでは味わえない独特の魅力があります。
そして、「たかがワカサギ」を釣ることにのめり込むと、テントやストーブなどの環境対策の道具仕立てや、釣り道具に何を選ぶか、どのような釣り方があるか、などのテーマにはまり込んでもう抜け出せません。
まさに「沼る」要素満載のレジャーと言えるでしょう。
釣りは、釣っている最中のわくわく感や釣った釣果という楽しみがありますが、それに加えて、釣りにまつわる道具をいかに理解してそれを最善にするかという頭脳ゲームでもあります。
ワカサギ釣りのテントひとつでも、雪がたくさん積もっている場所やカチンカチンの氷の上でテントをどうやって固定するか、というときに様々な知恵と道具が必要になります。
脳をフルに使う老化対策として相当当に効く趣味の一つで、たぶんこのことに疲れるようになったときは引退ということでしょう。
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昨日の日曜日も、道央のホームグラウンドまで友人と出かけてきました。
現地では夜が明ける前からのテント設営と釣り開始。
水深12mで、魚群探知機には底から少し上にワカサギの群れの濃い魚影。
前回から始めた、釣り穴を二つ開けて左右両手を使っての両刀使いで前半から快調に釣果を伸ばします。
釣りの最中には、釣ったワカサギを片手で針から外す技を教えてもらったりしてまた一つ学びが増えました。
【連れたワカサギを片手で外す】
ところが数メートル離れた隣のテントで、釣り仲間で超ベテランの3人組が釣り始めて調子が上がってきたあたりで、こちらのテントの釣りが次第に渋くなってきました。
魚影は相変わらず真っ赤に群れを表しているのに魚の食いつきが落ちたのです。
さんざん釣って楽しんで撤収をしたのちに車の中で友人と、「さっきある時からパタッと魚がこなくなったでしょ?なぜかわかる?」と聞かれました。
「えー、わからない。僕の竿にもブルブルと当たりが来るんだけどあげてもフックがかかりにくくなったんだよね。それに多点掛け(一度に2匹以上がかかること)が出なくなったよね」
すると友人は、「あれはね、隣のテントの下に魚が吸い寄せられたからなんだよ」とのこと。
「そうなの?でも探知機では魚の姿が見えたよね」
「魚はいても、魚の関心が隣のテントの3人組の釣りのスタイルにもっていかれたんだね」
友人が言うには、餌を替えるタイミング、それぞれが使っている餌、誘い方の連続が上手だったのに対して、こちらのテントは私や妻が釣っているような餌替えも少ないような釣りにはワカサギが魅力を感じないからなんだそう。
ワカサギ釣りが上手な人の手さばきを見ていると、まあしょっちゅう餌を替えています。
それはつまりいつも新鮮で美味しそうな餌が周りにある状態なので、上手な人が集まるとテントの真下が魅力的な釣り場状態になるのです。
実際、私たちテント二張りの6人グループが釣り終わって撤収を始めた途端に、地元の方から「あんたたちが釣りをやめた途端にこっちの穴が釣れるようになった」と声をかけられました(笑)。
本当にそういうことなのかどうかなんて実はわからないのですが、そんな伝説めいた話も楽しめるということ。
この日は妻と二人で400匹を釣り上げたのですが、釣果は両手釣りの私が250匹で片手釣りの妻が150匹。
両手で釣るなら片手の2倍は釣りたかったところでちょっとモヤモヤしますね(笑)。
だいぶ暖気が迫ってきてワカサギ釣りもシーズン最終盤です。
さて、ワカサギをたくさん食べなくちゃ。