先日ある会合で、ふるさと納税が話題になりました。
つい先日も、北海道の北の離島利尻島で利尻町のふるさと納税返礼品のウニに関連して、委託業者の偽装によってロシア産のものが使われていたという事件が報道されました。
せっかくその町を応援してあげよう、ついでに地元自慢のウニを味わおう、と思ってふるさと納税に参加した方は多かったと思います。
このような信用失墜行為は業者は犯罪ですし、町も評判を落としますね。
次からはそのようなことがないような対策をしっかりと取ってほしいものです。
◆
ふるさと納税は、「納税」と言ってはいますが実際は自分が住んでいる以外の自治体への寄付制度のこと。
寄付できるのは収入に応じた一定の割合の額までで、そこまでであれば寄付した額から2千円を引いた残りの所得税と住民税が戻ってくる仕組みです。
自治体への寄付に対しては寄付した額の3割ほどの返礼品がもらえるという恩恵もあり、事実上、2千円の負担で自治体からの返礼品が届くという仕組みになっています。
ただし寄付した額の申告と還付金の手続きは確定申告などを自分で行わなくてはならないということで少しだけハードルがあるので注意が必要。
そのやり方さえ理解して対応できれば、全国からお好みの特産品が届けられる節税対策とも言え、年々利用額は増加しています。
利用する人はどうしても都市部の人が多いので、地方税が都市部から地方に流れることになり、選んでもらえる地方自治体にとっては税収増の恩恵がある一方で、都市にとっては税収が減るので財政には悪影響です。
ただこれも自治体の持っている魅力、ポテンシャルを発揮できる知恵比べ的な要素が強く、水産加工品で地の利がある北海道の自治体ではカニやホタテ、イクラなどで全国有数の額のふるさと納税をもらっている自治体が多くあります。
逆に言えば、人口がいることだけで成り立っている都市だとしても、逆に自分たちの魅力を外に発信してほしいと思わせるような商品やサービスを打ち出せばよいということでもあります。
◆
先日の会合で話題になったのは、「札幌市は全国でも上位10位に入るほど、税収が市外に引っ張られてしまっている都市だ」ということでした。
私が「札幌ってそれなりの歴史や街並み、オリンピック都市サッポロというネームバリューがあるのですから、地元のお土産品もそうだし、施設見学やサービスなどでも魅力的なものが打ち出せそうですけどね」と言うと、友人が「そうですよね。でもね、なんだかばかばかしい話もありますよ」とのこと。
私「札幌ならサッポロビール園やサッポロビールなど、札幌と言う名前の着いたビジネスが残っているじゃないですか」
友人「まさに、そのサッポロビールですよ、問題は(笑)。サッポロビールって札幌でビールを作り始めた会社ですが、いろいろ紆余曲折あった中で今は本社は東京の恵比寿にあるし、工場は恵庭市にあるんです。だから札幌市が返礼品でサッポロビールを購入しても、その利益は東京や恵庭市の税金になるんです」
私「あ、そうか。それじゃ地元の利益になりませんね」
友人「そう、なので札幌市のふるさと納税返礼品のビールの銘柄は市内白石区にあるアサヒビールの商品なんです。でもって、それがまた人気第一位なんだそうで(笑)」
私「そう!?結果的に札幌市からはサッポロビールじゃなくてアサヒビールが送られるんだ。なんだか…間が抜けた感じですねえ…」
札幌ビール株式会社が本社も工場も札幌を離れ、それでも札幌と言う名前はうまく利用している。
一方で他のビールメーカーであるアサヒビールは札幌市内に工場を作っている。
"サッポロ"という都市の名前が札幌に恩恵をもたらせない仕組みになっているとは。
難しいものですねえ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます