2015年5月には、追悼記事を書いた人はいなかったけど、今まで読んだり見たり…名前を知っていた多くの人が亡くなった。
詩人の長田弘(おさだ・ひろし、5.3没、75歳)はずいぶん読んでいる。世界のさまざまな本を紹介するような著作が特に好きだった。「私の二十世紀書店」など。では詩の方はどうなのかというと、ハルキ文庫から「長田弘詩集」というのが出ている。これを夜間定時制の文化祭で朗読したことがある。すごく面白い。好きで、引用しようかと思ったけど、けっこう長いのでやめる。本だけ画像を載せておく。最近、全詩集も出ているが、高いから買えないなあ。でも、文庫本なら買って読んでもいいんじゃないか。
(長田弘)
政治学者の松下圭一(5.6没、85歳)が亡くなった。松下氏は1970年代には、市民自治、分権社会を説く政治学者として、当時たくさんあった「革新自治体」を支える理論的指導者だった。「シビル・ミニマム」が松下氏を象徴する言葉だったけど、最近は聞かなくなった。1959年に、早くも「大衆天皇制論」を書いているのが「論壇」への登場。これは20代のことではないか。その後、社会の保守化の中で、あまり名前が知られなくなってしまったのは残念だった。
(松下圭一)
作家の車谷長吉(くるまたに・ちょうきつ、5.17没、69歳)の突然の訃報には驚いた。「赤目四十八瀧心中未遂」で直木賞を受けたが、どうもいま一つよく判らなかった。映画化されて初めて少し判った気がした。その前の三島由紀夫賞、「鹽壺の匙」を読んだのが初めてだと思うけど、厳しすぎて僕の理解を超えていた。朝日新聞土曜版の人生相談の答えも、俗を超越し過ぎていたと僕には思えるのだった。こういう作家もいるものだとは思う。
(車谷長吉)
扇田昭彦(せんだ・あきひこ、5.22没、74歳)は、朝日新聞の演劇記者として、ずっと劇評を読んできた。特に岩波新書にまとめられた「日本の現代演劇」は「ためになる本」だった。「アングラ」以後のさまざまな演劇の変容を並走して取材した人。いつ頃からか、この人の名前で劇評を読むようになった。他の人だったら、自分の感性も違っていたのかもしれない。
吉川勇一(5.28没、84歳)は、「べ平連」の事務局長として非常に重要な人だった。もともと長い運動歴がある人で、日共の東大細胞でさまざまの活動に関わり退学になっている。その後も共産党系の大衆団体の専従歴が長く、事務能力の高さを見に付けた。共産党を除名後に、べ平連(ベトナムに平和を!市民連合)の事務局長などを務めたわけだが、実務的に運動を支える役目だったが、やがて非常に有名な人になった。それは市民運動に「実務」に明るい人が少ない時代に、そういうことの重要性を身をもって示したからだと思う。「市民運動の宿題」などの著書にも、長い運動実務から来る民衆の知恵のようなものがあると思う。名前はずいぶん昔から知っているが、僕は直接会ったことはない。
(吉川勇一)
フランス文学者で随筆家、杉本秀太郎(5.27没)は、京都のど真ん中、生家が重要文化財の杉本家住宅に指定されるという環境に生まれ育った。そこから独特の随筆を発表し、非常に高い評価を受けていた。そんなにずっと読んできた人ではないが、読んだことはある。俳優の今井雅之(5.28没、54歳)は、4月末に末期がんであることを公表していた。女性漫才の今いくよ(5.28没、67歳)の訃報は同じ日に伝えられたが、胃がんによる入退院を繰り返していたという。5月初めに滝田裕介(5.3没、84歳)の訃報もあった。俳優でテレビなどで活躍。NHKの「事件記者」と言われると知ってるけど、よく判らない。檀ヨソ子(4.24没、92歳)は、先月の訃報だが今月報道。檀一雄の妻だった人である。まだ生きていたんだという感じ。
(杉本秀太郎)
外国では、ロシアのバレエダンサー、マイヤ・プリセツカヤ(5.2没、89歳)は「20世紀最高のプリマバレリーナ」と言われる存在だった。B・B・キング(5.14没、89歳)は「ブルースの王様」と言われていた。まあ、その程度の事は知っているんだけど、ではもっと詳しく語れるかというと、実は知らない。奇しくも同年で亡くなったけど、90歳という壁はあるようだ。ノーベル経済学賞受賞者のジョン・ナッシュ(5.23没、86歳)は、映画「ビューティフル・マインド」のモデルになった、統合失調症に悩みながら「ゲーム理論」を完成させた。死因は交通事故で、ノルウェーから賞を受けて帰国した時に、タクシーが事故を起こして妻も同時に亡くなったという。ルース・レンデル(5.2没、85歳)は、イギリスのミステリー作家。昔は日本でいっぱい翻訳が出ていた。ベン・E・キング(5.1没、70歳)は「スタンド・バイ・ミー」を歌った人。
(プリセツカヤ)(B・B・キング)
詩人の長田弘(おさだ・ひろし、5.3没、75歳)はずいぶん読んでいる。世界のさまざまな本を紹介するような著作が特に好きだった。「私の二十世紀書店」など。では詩の方はどうなのかというと、ハルキ文庫から「長田弘詩集」というのが出ている。これを夜間定時制の文化祭で朗読したことがある。すごく面白い。好きで、引用しようかと思ったけど、けっこう長いのでやめる。本だけ画像を載せておく。最近、全詩集も出ているが、高いから買えないなあ。でも、文庫本なら買って読んでもいいんじゃないか。
(長田弘)
政治学者の松下圭一(5.6没、85歳)が亡くなった。松下氏は1970年代には、市民自治、分権社会を説く政治学者として、当時たくさんあった「革新自治体」を支える理論的指導者だった。「シビル・ミニマム」が松下氏を象徴する言葉だったけど、最近は聞かなくなった。1959年に、早くも「大衆天皇制論」を書いているのが「論壇」への登場。これは20代のことではないか。その後、社会の保守化の中で、あまり名前が知られなくなってしまったのは残念だった。
(松下圭一)
作家の車谷長吉(くるまたに・ちょうきつ、5.17没、69歳)の突然の訃報には驚いた。「赤目四十八瀧心中未遂」で直木賞を受けたが、どうもいま一つよく判らなかった。映画化されて初めて少し判った気がした。その前の三島由紀夫賞、「鹽壺の匙」を読んだのが初めてだと思うけど、厳しすぎて僕の理解を超えていた。朝日新聞土曜版の人生相談の答えも、俗を超越し過ぎていたと僕には思えるのだった。こういう作家もいるものだとは思う。
(車谷長吉)
扇田昭彦(せんだ・あきひこ、5.22没、74歳)は、朝日新聞の演劇記者として、ずっと劇評を読んできた。特に岩波新書にまとめられた「日本の現代演劇」は「ためになる本」だった。「アングラ」以後のさまざまな演劇の変容を並走して取材した人。いつ頃からか、この人の名前で劇評を読むようになった。他の人だったら、自分の感性も違っていたのかもしれない。
吉川勇一(5.28没、84歳)は、「べ平連」の事務局長として非常に重要な人だった。もともと長い運動歴がある人で、日共の東大細胞でさまざまの活動に関わり退学になっている。その後も共産党系の大衆団体の専従歴が長く、事務能力の高さを見に付けた。共産党を除名後に、べ平連(ベトナムに平和を!市民連合)の事務局長などを務めたわけだが、実務的に運動を支える役目だったが、やがて非常に有名な人になった。それは市民運動に「実務」に明るい人が少ない時代に、そういうことの重要性を身をもって示したからだと思う。「市民運動の宿題」などの著書にも、長い運動実務から来る民衆の知恵のようなものがあると思う。名前はずいぶん昔から知っているが、僕は直接会ったことはない。
(吉川勇一)
フランス文学者で随筆家、杉本秀太郎(5.27没)は、京都のど真ん中、生家が重要文化財の杉本家住宅に指定されるという環境に生まれ育った。そこから独特の随筆を発表し、非常に高い評価を受けていた。そんなにずっと読んできた人ではないが、読んだことはある。俳優の今井雅之(5.28没、54歳)は、4月末に末期がんであることを公表していた。女性漫才の今いくよ(5.28没、67歳)の訃報は同じ日に伝えられたが、胃がんによる入退院を繰り返していたという。5月初めに滝田裕介(5.3没、84歳)の訃報もあった。俳優でテレビなどで活躍。NHKの「事件記者」と言われると知ってるけど、よく判らない。檀ヨソ子(4.24没、92歳)は、先月の訃報だが今月報道。檀一雄の妻だった人である。まだ生きていたんだという感じ。
(杉本秀太郎)
外国では、ロシアのバレエダンサー、マイヤ・プリセツカヤ(5.2没、89歳)は「20世紀最高のプリマバレリーナ」と言われる存在だった。B・B・キング(5.14没、89歳)は「ブルースの王様」と言われていた。まあ、その程度の事は知っているんだけど、ではもっと詳しく語れるかというと、実は知らない。奇しくも同年で亡くなったけど、90歳という壁はあるようだ。ノーベル経済学賞受賞者のジョン・ナッシュ(5.23没、86歳)は、映画「ビューティフル・マインド」のモデルになった、統合失調症に悩みながら「ゲーム理論」を完成させた。死因は交通事故で、ノルウェーから賞を受けて帰国した時に、タクシーが事故を起こして妻も同時に亡くなったという。ルース・レンデル(5.2没、85歳)は、イギリスのミステリー作家。昔は日本でいっぱい翻訳が出ていた。ベン・E・キング(5.1没、70歳)は「スタンド・バイ・ミー」を歌った人。
(プリセツカヤ)(B・B・キング)