尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

災害救助隊が必要だー台風15号と千葉県大停電

2019年09月17日 23時15分37秒 | 社会(世の中の出来事)
 2019年9月8日(日)夜半から9月9日(月)未明にかけて、関東地方を台風15号が通過した。台風15号は5日に発生し、小笠原諸島付近から伊豆諸島近海でさらに発達、強力な台風となって9日5時前に千葉市付近に上陸した。上陸時の勢力は、中心気圧960hPa・最大風速40m/sだった。関東に上陸する台風としては記憶にないほど強力だ。(その前に三浦半島を通過したというが、これは上陸と言わないんだろう。)その後、水戸市付近で海上に出て北上、福島や宮城にも被害をもたらした。

 こんな経路をたどった台風は記憶にない。予報では日曜から雨だという話だったが、昼間はほとんど影響がなかった。深夜になって強風が出てきたが、朝には通り過ぎていた。自分の家でも雨樋が一本飛んだり、木が曲がっていたりしたが、あまり被害はなかった。翌日の電車が昼になっても混乱していたが、台風は寝ている間に行っちゃった感じだった。これは本当にちょっとした偶然だと思う。

 台風は「東側が強風」である。千葉市上陸だから、千葉県は西北部を除きほとんどの地域が強風地帯になった。東京では案外平気だったと思っていた時に、千葉県で暴風被害が起きていた。その後、伊豆諸島(特に北部の大島や新島)でも大きな被害が起きていたことが判ってきた。千葉県では大規模な停電が発生した。当初は数日で復旧できるという話だったが、深刻な被害が明らかになり、一週間経った17日になっても、山武市、南房総市、八街市、富津市等を中心に計6万軒以上が停電している。
(倒れた電柱)
 電柱が倒れ、直しに行くと倒木がたくさんで、まずそっちを何とかしないといけない。それは東電社員には出来ない。連絡しようと思っても、携帯電話が使えない。そんな様子をニュースで見たが、今じゃインターネット(スマホやパソコン)で情報を発信したり収集するのが当たり前になっている。電気が使えないという事態を想定しなくなってしまった。そのため、大変な地域ほど情報が届かないことになる。それは東日本大震災などでも見られたが、改めて「電気依存社会」に生きていることを痛感した。
(倒木の状況)
 台風による「暴風被害」は今までも時々見られた。1991年9月に九州から日本海を経て北海道へ通過した台風19号は、死者62名を出した。青森県でリンゴが大被害を受けた「リンゴ台風」と呼ばれたことで記憶されている。また1998年9月の台風7号は、奈良県の室生寺で倒木が国宝の五重塔を直撃し大被害を与えた。最近は集中豪雨による土砂災害洪水が多かった。しかし、少し長く見てみれば、暴風高潮などの台風被害も数多い。もちろん台風・集中豪雨以外に地震津波噴火竜巻豪雪干ばつなどの災害も何度も起こってきた。災害の多い国だと思う。

 東日本大震災の時に「日本に自衛隊がいてよかった」という本が出された。確かに自衛隊の災害出動で、自衛隊の認知、支持が上がったのは間違いない。しかし、とその時から思っているのだが、「自衛隊がない」=「災害救助隊がない」ではない。1950年のマッカーサー指令で「警察予備隊」が作られなかったら、「実力組織」が何もないということにはならない。災害の多い日本では、まず必要な「災害救助隊」を作ろうという声が出たはずだ。少なくとも、1959年の伊勢湾台風の大被害を経験した時点で、必ずや「災害救助隊」が作られていただろう。

 自衛隊は「災害救助」をする組織ではない。そのことは自衛隊法に明記されているので、自分で調べて欲しい。自衛隊の「任務」は第3条に書かれているが、そこに災害は規定されていない。じゃあ、なんで災害派遣されるのかというのは、自衛隊法の下の方まで見ていって「第83条」まで行かないと出てこない。今日のニュースで、自衛隊もブルーシートを屋根に張る作業に参加しているが、専門じゃないので貼り方の指導を受けている様子が報道されていた。確かに自衛隊(をどうとらえるかは別にして)ではブルーシートを張っていく作業は経験しないだろうなと思った。

 倒木を片付けて道路を通れるようにすること、屋根が飛ばされた家でブルーシートを張ること。そういう業者も民間にいるんだから、公の災害救助隊があるのがいいのか、難しい面もある。だが、これほど毎年何かしら大災害が起きる国では、「本務」として「災害救助」を専門に行う公的機関が必要ではないか。災害がないときは何をしていればいいか。僕は「空き家の解体」を公的に行う機関にしたらいいように思う。国家的に作るのを待ってられないから、都道府県が共同で始めてはどうか。

 最近は房総半島に旅行してないけど、今までに何度も行く機会があった。個人でもそうだし、仕事絡みでもずいぶん行ってる。何度も行った「道の駅 とみうら枇杷倶楽部」の屋根が飛ばされた映像にはビックリした。房総は海辺を思い浮かべる人が多いだろうが、案外山が深い。高校の時、鹿野山(かのうざん)に寮があり、ずいぶん遠いなと思った。その後ドライブするようになると、内房から外房が遠いのも驚き。今後また行く機会を作りたいと思う。
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