尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

軽減税率の引き下げが必要だ-消費税考③

2019年09月28日 22時28分03秒 | 政治
 軽減税率を導入するに当たって、キャッシュレスで支払うと「ポイント還元」が行われるという。下に載せるマークがある店が対象。ただし、5%還元と2%還元があり、やってない店もあるという。適用される店は経産省のホームページに載ってるという話だけど、見る気になれない。東京新聞一面トップ(9月26日)に、銀座の高級寿司店で使えてファミレスでは適用外の金持ち優遇だと出ていた。しかし、それは趣旨が違うのでやむを得ない。ファミレスは大企業で、寿司店は個人営業。これが逆に「ファミレスで還元されて、高級寿司店ではダメ」なら、「大企業優先で、中小が使えない制度」と非難されるだろう。
(キャッシュレス還元が可能なマーク)
 このポイント制度は複雑すぎるし、意味不明の愚策だと思う。もともと何万もする家電製品などは、大規模店でカードで買うことが多い。小さな買い物は、ポイント還元されても大した額にはならない。ちりも積もればとは言うけれど、ちょっとしたムダを控える方が良さそうだ。まだよく判らないスマホ決済を調べてやるのも面倒くさい。そもそもスマホやカードを持ってない高齢者などには無意味な制度だ。キャッシュレス経済を進めるというのなら(その是非はともかく)、消費税増税と絡めずにやればいい。

 そんな制度を作るための官民の手間ヒマを考えるなら、軽減税率を1%でも下げる方が全員に意味がある。10%に8%じゃ、軽減というほどの感じがしない。本当は5%にするべきだと思う。その財源がないというならば、高額の贅沢品の税率を15%程度に引き上げることを考えてもいいと思う。つまり、その場合は3段階の税率となる。面倒だといわれるかもしれないが、ベースは10%で、生活必需品は5%、金額的に高額な商品を15%という感じになる。そんなことをするぐらいなら、消費税そのものをなくす方がいいという考えは次回考えることにしたい。

 税率以上に大問題なのは、「軽減対象」である。スーパーでペットボトルに入ったミネラルウォーターを買うと軽減対象で8%。一方、家で水道水を飲むと10%なのである。逆なら判る。生活に必要な飲用水は軽減され、わざわざ買ってるミネラルウォーターは上がる、というなら理解可能なんだが。これはもともと「飲食品を軽減対象とする」としたことに問題がある。水道水は確かに飲用、料理用に使うけど、お風呂や洗濯にも使う。だから「飲食品」とは言えないと言われれば、それはその通りだ。でも風呂や洗濯は生活に絶対必要だ。生活に最も必要な「ライフライン」に消費税を掛けることがおかしい

 同じことは電気やガスにも言える。公共交通機関郵便なども、なんで引き上げる必要があるんだろう。生活になくてはならないシステムは、「軽減税率」ではなく、そもそも「無税」でもいいんじゃないか。節電、節水の意味で、「環境税」的に課税するとしても、5%が上限だと考える。

 もう一つが「宅配新聞」が軽減対象で、本は増税されること。飲食品以外で軽減されるのは、新聞だけ。どうして決まったのか。宅配の新聞が軽減対象でもいいと思うが、政府側には「マスコミの忖度報道期待」という下心がないはずがない。本は良書だけでなく悪書もあるとして軽減されなかったらしい。文庫本なら増税分も少ないけど、学術書は大変だ。何千円、あるいは資料集など数万円になるものもある。個人では研究者じゃない限りなかなか買えない。公共図書館、大学図書館が買うことになるが、その負担が大変だろう。人文、社会科学系の学問にとって、大きな危機である。学術書だけでも何とか出来ないものか。
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