ミカ・カウリスマキ監督のフィンランド映画「世界で一番しあわせな食堂」という映画が上映されている。ミカ・カウリスマキ(1955~)はアキ・カウリスマキ監督の兄だが、映画祭などでは弟の映画の方が評価が高い。ミカ監督はブラジルにはまって住んでいた時期が長く、「アマゾン」などの劇映画、「モロ・ノ・ブラジル」などの音楽ドキュメンタリーをブラジルでたくさん作っている。日本でも何本かは公開されたが、僕も見たかもしれないが覚えてない。

最近はフィンランドに戻って映画を作っているようで、この映画はフィンランド北部のラップランドを舞台にしている。何もないようなところをバスが進んで行って、あるところでアジア系の父子と思われる二人が下りてくる。これが中国人チェン(チュー・パック・ホング)と彼の子どもだった。食堂があるので二人は寄ってみる。チェンは「フォントロン」という人物を探しているという。食堂を経営するシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)や食堂にいる客にも聞いてみるが判らない。
食堂はランチ時だがビュッフェの中身はマッシュポテトとソーセージの煮込みだけ。美味しくなさそうで、子どもは手を付けない。疲れて宿を探すが、宿もない代わりに裏に空き家があると紹介される。何となく居着いてしまったチェンだが、「フォントロン」は見つからない。そもそも人名なのか、何で探しているのか。そんなある日に、中国人団体客を乗せたバスがやって来る。時間が狂って食べるところがないという。それを見ていたチェンがスープ・ヌードルだったら自分が作れると申し出る。大急ぎで作った麺は大好評で、ガイドは他のバスにも紹介すると言う。
(地元民も恐る恐る中華を食べる)
チェンは実は上海の有名シェフだったのだ。シルカはその後もチェンに料理を頼むようになり、ランチに中華が出ることになった。地元の常連はフィンランド人が食べるものじゃないなどと腐しているが、恐る恐る口に運んでみると美味に魅せられてしまった。高齢者しかいないような過疎の村で、常連は皆体調が悪い。彼らの体がチェンの料理で健康になっていく。つまり「中華」と言ってもエビチリとか麻婆豆腐などではなく、「薬膳」である。クコの実をいっぱい使うし、ハーブを生かした体に優しいスープなどが多い。上の画像は近くの湖で釣ったパーチの甘酢餡かけ。
(サウナから湖に向かう男たち)
チェンの料理で元気になった地元の常連は、今度はチェンを「フィンランドの名物」に誘う。それは料理ではなくてサウナだから、チェンは最初は驚くが次第に調子よくなっていく。そんな風にいつの間にか地元になじんでいくが、子どもをどうするか。そして探していた人はどうなるか。そもそも何でフィンランドまで来たのか。ラスト近くになって、それらの疑問が解けていく。しかし、今度は彼らをヴィザの期限切れではないかと狙う警官が現れる。
(チェンとシルカ)
一体チェンはどうなるのかという風に映画は進んで行くが、まあラスト近くの展開は書かない。フィンランドの風景、トナカイが道に出て来る自然の中で生きる人々。だが過疎で住民は高齢化してアル中も多い。そんな村に訪れた「異人」によるおとぎ話のような物語。チェンはフィンランド語を話せないから、住民とはおおよそ英語で話す。お互いに英語の達人ではない設定だから、すごく簡単な会話である。逆に言えば、この程度の英単語を使ってある程度の意思疎通は出来る。その英語を聞くという映画でもある。中華料理を美味しく描く映画は今までもあったが、外国で薬膳を作るのは面白い。チェンはぼぼ「宇治原」そっくりでクイズを出したくなるのが困るけど。

最近はフィンランドに戻って映画を作っているようで、この映画はフィンランド北部のラップランドを舞台にしている。何もないようなところをバスが進んで行って、あるところでアジア系の父子と思われる二人が下りてくる。これが中国人チェン(チュー・パック・ホング)と彼の子どもだった。食堂があるので二人は寄ってみる。チェンは「フォントロン」という人物を探しているという。食堂を経営するシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)や食堂にいる客にも聞いてみるが判らない。
食堂はランチ時だがビュッフェの中身はマッシュポテトとソーセージの煮込みだけ。美味しくなさそうで、子どもは手を付けない。疲れて宿を探すが、宿もない代わりに裏に空き家があると紹介される。何となく居着いてしまったチェンだが、「フォントロン」は見つからない。そもそも人名なのか、何で探しているのか。そんなある日に、中国人団体客を乗せたバスがやって来る。時間が狂って食べるところがないという。それを見ていたチェンがスープ・ヌードルだったら自分が作れると申し出る。大急ぎで作った麺は大好評で、ガイドは他のバスにも紹介すると言う。

チェンは実は上海の有名シェフだったのだ。シルカはその後もチェンに料理を頼むようになり、ランチに中華が出ることになった。地元の常連はフィンランド人が食べるものじゃないなどと腐しているが、恐る恐る口に運んでみると美味に魅せられてしまった。高齢者しかいないような過疎の村で、常連は皆体調が悪い。彼らの体がチェンの料理で健康になっていく。つまり「中華」と言ってもエビチリとか麻婆豆腐などではなく、「薬膳」である。クコの実をいっぱい使うし、ハーブを生かした体に優しいスープなどが多い。上の画像は近くの湖で釣ったパーチの甘酢餡かけ。

チェンの料理で元気になった地元の常連は、今度はチェンを「フィンランドの名物」に誘う。それは料理ではなくてサウナだから、チェンは最初は驚くが次第に調子よくなっていく。そんな風にいつの間にか地元になじんでいくが、子どもをどうするか。そして探していた人はどうなるか。そもそも何でフィンランドまで来たのか。ラスト近くになって、それらの疑問が解けていく。しかし、今度は彼らをヴィザの期限切れではないかと狙う警官が現れる。

一体チェンはどうなるのかという風に映画は進んで行くが、まあラスト近くの展開は書かない。フィンランドの風景、トナカイが道に出て来る自然の中で生きる人々。だが過疎で住民は高齢化してアル中も多い。そんな村に訪れた「異人」によるおとぎ話のような物語。チェンはフィンランド語を話せないから、住民とはおおよそ英語で話す。お互いに英語の達人ではない設定だから、すごく簡単な会話である。逆に言えば、この程度の英単語を使ってある程度の意思疎通は出来る。その英語を聞くという映画でもある。中華料理を美味しく描く映画は今までもあったが、外国で薬膳を作るのは面白い。チェンはぼぼ「宇治原」そっくりでクイズを出したくなるのが困るけど。