あまり細々とした政局の話をもう書きたくないなと思う。数年前に書いた記事が後で読むと自分でも意味不明だったりする。「賞味期限」が短すぎるのである。何にしても2ヶ月以内に衆議院選挙があるんだから、それだけ書けばいいようなものだ。そう思っていたのだが、最近の菅義偉首相の混迷ぶりはひどすぎる。
突然、来週にも党役員と内閣の改造を行うらしい。自民党総裁選が「無投票で菅再選」なら、それでいい。しかし、総裁選告示前に幹事長を変えるなど、普通はあり得ないだろう。もちろん党役員は総裁に人事権があり、内閣改造も首相の専権事項だとは思う。でも普通の感覚では、総裁選で決定した次期総裁(それが菅氏自身であっても)が決まるのを待つものだろう。こんな風に人事を強行するのは、1974年11月の田中角栄首相を思い出させる。内閣崩壊がいつ起こっても不思議ではない段階に入ってきたのではないか。
今やるべきは「臨時国会」である。いま国会を開けば、野党の鋭い追求が予想される。菅首相の答弁ぶりにも不安が残る。もうすぐ選挙だというのに、国会を開いてわざわざ野党を勢いづかせるのは、愚の骨頂だというのが首相の考えだろう。選挙対策だけなら、国会を開かない方が有利だ。しかし、もちろん臨時国会は開かなければならない。憲法上の規定である。「第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」
(「政府・与党 臨時国会応ぜず」)
野党4党(立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社会民主党)が臨時国会の召集を求めたのは、先々月の7月16日である。4分の1を越えているから、臨時国会を開かなければいけない。自民党総裁選は自民党の党則で総裁任期が切れるから行われる。これは私的なルールである。一方、臨時国会の開会要求は憲法上の規定である。これは国のルールである。今の菅内閣は国のルールより、自分たちのルールを優先している。そういう政治は「覇道」であって、「王道」ではない。そういう政治家が「愛国心」などと言う資格はない。
7月29日に愛知県常滑市で開かれた野外フェスで、感染対策が不十分で酒類の販売も行われていたと問題になっている。このフェスに経産省が3千万円の補助を予定していたが、主催者に違反があった場合補助金の交付取り消しを検討するという。確かにこの音楽祭は問題だと思うが、一体補助金を取り消す資格が政府にあるのだろうか。僕は思わずそう思ってしまった。法律で規定されたわけではない政府や自治体の「要請」レベルに対する違反を、憲法の規定を堂々と無視する内閣が非難出来るんだろうか。
ところで自民党総裁選が9月17日告示、9月29日投開票で行われる。もっとも衆議院が解散されれば、総裁選も先送りかと言われている。首相は公式的には「今のコロナ感染状況では、解散出来ない」などと言っているが。戦後一回しかない衆議院の「任期満了選挙」になるのだろうか。日本の憲法では首相の権限が強く、やる気になれば相当粘れる道がある。菅首相が諦めなければ、いろんな可能性がある。総裁選に岸田文雄前政調会長が立候補を表明し、記者会見で党役員は1期1年、3回までとすると表明した。これは幹事長を最長期間務めている二階幹事長への「解雇通告」みたいなもんだ。そうしたら、菅首相は総裁選前に幹事長を交代させる手を打ってきた。
(二階幹事長交代へ)
政治ウォッチャーには面白い展開だが、いくら何でも国民無視の党内抗争というしかない。特に何故かいつまで「人気が高い」とされる河野太郎氏を重要ポストに抜てきするとの予測もある。ワクチン接種担当をやらせておいて、今変えるのは「コロナ対策最優先」が口先だけだということになる。現任政調会長でありながら総裁選出馬を模索した下村博文氏は、何故か菅首相と面談した後に「出馬見送り」を表明した。どうなってるの?その裏で重要ポストを提示されたという説もあるらしい。いくら何でも「下村幹事長」はやり過ぎだろう。
マスコミでは次期幹事長に早くも何人かの名前が上がっているが、あえて思いがけない推測をしておけば、一人は野田聖子氏か。現在「幹事長代行」をやっていて、幹事長が退任するということなら「代行」が昇格するのが「自然」という「建前」のもと、女性幹事長に選挙を仕切って貰う。もう一人は奇手過ぎるかと思うが、二階は辞めるが麻生はいつまでやるんだという声もあるし、思い切って麻生副総理に幹事長就任を要請するという手である。財務相は「党内融和」を名目に石破茂氏を充てる。いろんな人事を考えていると思うが、一番の問題は菅内閣の人事に乗ってしまったら、若手には将来がなくなる可能性がある。しかし、そういう問題と別にして、ルールに則ってまずは国会を召集することが必要だ。
突然、来週にも党役員と内閣の改造を行うらしい。自民党総裁選が「無投票で菅再選」なら、それでいい。しかし、総裁選告示前に幹事長を変えるなど、普通はあり得ないだろう。もちろん党役員は総裁に人事権があり、内閣改造も首相の専権事項だとは思う。でも普通の感覚では、総裁選で決定した次期総裁(それが菅氏自身であっても)が決まるのを待つものだろう。こんな風に人事を強行するのは、1974年11月の田中角栄首相を思い出させる。内閣崩壊がいつ起こっても不思議ではない段階に入ってきたのではないか。
今やるべきは「臨時国会」である。いま国会を開けば、野党の鋭い追求が予想される。菅首相の答弁ぶりにも不安が残る。もうすぐ選挙だというのに、国会を開いてわざわざ野党を勢いづかせるのは、愚の骨頂だというのが首相の考えだろう。選挙対策だけなら、国会を開かない方が有利だ。しかし、もちろん臨時国会は開かなければならない。憲法上の規定である。「第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」

野党4党(立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社会民主党)が臨時国会の召集を求めたのは、先々月の7月16日である。4分の1を越えているから、臨時国会を開かなければいけない。自民党総裁選は自民党の党則で総裁任期が切れるから行われる。これは私的なルールである。一方、臨時国会の開会要求は憲法上の規定である。これは国のルールである。今の菅内閣は国のルールより、自分たちのルールを優先している。そういう政治は「覇道」であって、「王道」ではない。そういう政治家が「愛国心」などと言う資格はない。
7月29日に愛知県常滑市で開かれた野外フェスで、感染対策が不十分で酒類の販売も行われていたと問題になっている。このフェスに経産省が3千万円の補助を予定していたが、主催者に違反があった場合補助金の交付取り消しを検討するという。確かにこの音楽祭は問題だと思うが、一体補助金を取り消す資格が政府にあるのだろうか。僕は思わずそう思ってしまった。法律で規定されたわけではない政府や自治体の「要請」レベルに対する違反を、憲法の規定を堂々と無視する内閣が非難出来るんだろうか。
ところで自民党総裁選が9月17日告示、9月29日投開票で行われる。もっとも衆議院が解散されれば、総裁選も先送りかと言われている。首相は公式的には「今のコロナ感染状況では、解散出来ない」などと言っているが。戦後一回しかない衆議院の「任期満了選挙」になるのだろうか。日本の憲法では首相の権限が強く、やる気になれば相当粘れる道がある。菅首相が諦めなければ、いろんな可能性がある。総裁選に岸田文雄前政調会長が立候補を表明し、記者会見で党役員は1期1年、3回までとすると表明した。これは幹事長を最長期間務めている二階幹事長への「解雇通告」みたいなもんだ。そうしたら、菅首相は総裁選前に幹事長を交代させる手を打ってきた。

政治ウォッチャーには面白い展開だが、いくら何でも国民無視の党内抗争というしかない。特に何故かいつまで「人気が高い」とされる河野太郎氏を重要ポストに抜てきするとの予測もある。ワクチン接種担当をやらせておいて、今変えるのは「コロナ対策最優先」が口先だけだということになる。現任政調会長でありながら総裁選出馬を模索した下村博文氏は、何故か菅首相と面談した後に「出馬見送り」を表明した。どうなってるの?その裏で重要ポストを提示されたという説もあるらしい。いくら何でも「下村幹事長」はやり過ぎだろう。
マスコミでは次期幹事長に早くも何人かの名前が上がっているが、あえて思いがけない推測をしておけば、一人は野田聖子氏か。現在「幹事長代行」をやっていて、幹事長が退任するということなら「代行」が昇格するのが「自然」という「建前」のもと、女性幹事長に選挙を仕切って貰う。もう一人は奇手過ぎるかと思うが、二階は辞めるが麻生はいつまでやるんだという声もあるし、思い切って麻生副総理に幹事長就任を要請するという手である。財務相は「党内融和」を名目に石破茂氏を充てる。いろんな人事を考えていると思うが、一番の問題は菅内閣の人事に乗ってしまったら、若手には将来がなくなる可能性がある。しかし、そういう問題と別にして、ルールに則ってまずは国会を召集することが必要だ。