2001年9月11日のことは今も鮮明に覚えている。2000年4月から夜間定時制に勤務していたので、帰宅時間も就寝時間もそれまでより遅くなっていた。何曜日かまでは覚えていないので調べてみると、その日は火曜日だった。この日はケーブルテレビでCNNやBBCをずっと見続けた記憶がある。日本のテレビ局より情報が新しいかなと思ったのである。ブッシュ米国大統領はテロを「新しい戦争」と呼んだ。
10月7日になって米英両国によるアフガニスタン攻撃が開始された。作戦名は「不朽の自由作戦」だった。ここから戦争の21世紀が始まったわけである。いつもは国際ニュースへの関心が低い生徒にも印象が強かったようだが、「このケンカはどっちが勝つのか」と問われて答えに窮した。
当時の小泉純一郎首相は直ちに米国支持を鮮明にして、9月24日には訪米してまずニューヨークを訪れている。25日の日米首脳会談に先立っていて、こういう即応力は確かにリーダーとしての能力には違いない。そして10月5日には臨時国会に「テロ対策特別措置法案」を提出し、29日には成立した。このスピードは小泉内閣が発足半年でもっとも勢いがあった時代だったということを考えても異常なほど早い。
この法律は2年間の時限立法ながら、自衛隊が実戦に参加する外国艦船にインド洋で給油を行うというものだった。これは最前線で戦闘に参加したわけではないけれど、明らかに戦争に参加する行為というしかない。当時の保守政治家には1991年の「湾岸戦争」のトラウマが大きく残っていた。米国等の多国籍軍に増税してまで多額の財政的貢献をしたのに、大きな評価は得られなかった。
そのため「今回こそは何としても自衛隊を出す」が目的になっていたわけである。「テロ対策特別措置法」は2年延長、1年再延長、さらに1年再延長を繰り返し、その後第一次安倍政権の退陣、参院での「ねじれ」により失効した。その後、福田康夫内閣で「新法」が提出され、参院で否決されたものの衆議院で3分の2以上の賛成で成立した。2年間の時限立法で一度延長されたものの、民主党の鳩山由紀夫内閣で非延長が決定された。
「9・11」は世界を変えたと言われる。確かにいろいろと変えたと思うが、日本においては「自衛隊が海外で活動することが日常化した」ということがある。その後イラク戦争にも「イラク特措法」を作って自衛隊を派遣した。そして、ついに2011年からはアフリカのジブチに恒久的基地を建設して常駐している。これは国連の平和維持活動(PKO)とは違う。国連の活動ではなく、自衛隊の活動なのである。
(ジブチの自衛隊基地)
まあ正式には「基地」とは日本語では言ってない。「ジブチ共和国における自衛隊拠点」(Japan's Self Defense Force base in Djibouti)と言うようだが、baseは基地が普通の訳語だろう。ジブチと言われて判らない人は、下記の地図を見て欲しい。ジブチ国際空港に付属するように、海上、陸上自衛隊が400名ほど駐在している。最近では新型コロナウイルスに感染した隊員が多数にのぼると報道されている。
(ジブチの地図)
「日本軍」が海外展開するとなると近隣アジア諸国が反発するのではないか。そう思う人もいるだろうが、そういうことは起こらない。何故なら中国は自衛隊よりもっと大きな海軍基地を建設して常駐しているのである。日本も中国も何でジブチにいるのかと言えば、もちろん「海賊対策」である。もともと米軍が中心になって行われていた海賊対処は、その後多国籍海上部隊が成立した。韓国もそこに参加しているので、日本を批判することはあり得ない。オーストラリアやパキスタン、トルコなども参加している。
ソマリア沖の海賊事件は最近でこそ減ったようだが、対岸のイエメンでは悲惨な内戦が続いている。海賊だけでなく、武器密輸なども多い地帯だから「海上警察行動」の必要性は否定できない。しかし、このように中国に対抗するように「海外拠点」を持つことに慣れてしまっていいのだろうか。ジブチとは「地位協定」を結んでいて、自衛隊はジブチの法律の適用外になる。これでは沖縄における日米地位協定を批判できるはずがない。自衛隊が海外で活動することに多くの人が違和感を持たなくなった。それが「20年間で変わったこと」だ。
10月7日になって米英両国によるアフガニスタン攻撃が開始された。作戦名は「不朽の自由作戦」だった。ここから戦争の21世紀が始まったわけである。いつもは国際ニュースへの関心が低い生徒にも印象が強かったようだが、「このケンカはどっちが勝つのか」と問われて答えに窮した。
当時の小泉純一郎首相は直ちに米国支持を鮮明にして、9月24日には訪米してまずニューヨークを訪れている。25日の日米首脳会談に先立っていて、こういう即応力は確かにリーダーとしての能力には違いない。そして10月5日には臨時国会に「テロ対策特別措置法案」を提出し、29日には成立した。このスピードは小泉内閣が発足半年でもっとも勢いがあった時代だったということを考えても異常なほど早い。
この法律は2年間の時限立法ながら、自衛隊が実戦に参加する外国艦船にインド洋で給油を行うというものだった。これは最前線で戦闘に参加したわけではないけれど、明らかに戦争に参加する行為というしかない。当時の保守政治家には1991年の「湾岸戦争」のトラウマが大きく残っていた。米国等の多国籍軍に増税してまで多額の財政的貢献をしたのに、大きな評価は得られなかった。
そのため「今回こそは何としても自衛隊を出す」が目的になっていたわけである。「テロ対策特別措置法」は2年延長、1年再延長、さらに1年再延長を繰り返し、その後第一次安倍政権の退陣、参院での「ねじれ」により失効した。その後、福田康夫内閣で「新法」が提出され、参院で否決されたものの衆議院で3分の2以上の賛成で成立した。2年間の時限立法で一度延長されたものの、民主党の鳩山由紀夫内閣で非延長が決定された。
「9・11」は世界を変えたと言われる。確かにいろいろと変えたと思うが、日本においては「自衛隊が海外で活動することが日常化した」ということがある。その後イラク戦争にも「イラク特措法」を作って自衛隊を派遣した。そして、ついに2011年からはアフリカのジブチに恒久的基地を建設して常駐している。これは国連の平和維持活動(PKO)とは違う。国連の活動ではなく、自衛隊の活動なのである。
(ジブチの自衛隊基地)
まあ正式には「基地」とは日本語では言ってない。「ジブチ共和国における自衛隊拠点」(Japan's Self Defense Force base in Djibouti)と言うようだが、baseは基地が普通の訳語だろう。ジブチと言われて判らない人は、下記の地図を見て欲しい。ジブチ国際空港に付属するように、海上、陸上自衛隊が400名ほど駐在している。最近では新型コロナウイルスに感染した隊員が多数にのぼると報道されている。
(ジブチの地図)
「日本軍」が海外展開するとなると近隣アジア諸国が反発するのではないか。そう思う人もいるだろうが、そういうことは起こらない。何故なら中国は自衛隊よりもっと大きな海軍基地を建設して常駐しているのである。日本も中国も何でジブチにいるのかと言えば、もちろん「海賊対策」である。もともと米軍が中心になって行われていた海賊対処は、その後多国籍海上部隊が成立した。韓国もそこに参加しているので、日本を批判することはあり得ない。オーストラリアやパキスタン、トルコなども参加している。
ソマリア沖の海賊事件は最近でこそ減ったようだが、対岸のイエメンでは悲惨な内戦が続いている。海賊だけでなく、武器密輸なども多い地帯だから「海上警察行動」の必要性は否定できない。しかし、このように中国に対抗するように「海外拠点」を持つことに慣れてしまっていいのだろうか。ジブチとは「地位協定」を結んでいて、自衛隊はジブチの法律の適用外になる。これでは沖縄における日米地位協定を批判できるはずがない。自衛隊が海外で活動することに多くの人が違和感を持たなくなった。それが「20年間で変わったこと」だ。