2月の初め頃に、勢いで3冊絵本を買ったうちの1冊が、この『ぽけっとくらべ』という、
絵本です。
2005年12月発行となっていますが、お話が書かれたのはとても古く、
1958年『母の友』初出、とありました。50年近くも前のお話を、今こうして読んでも、
ちっとも「古さ」を感じさせないのは、物語の普遍的なおもしろさと、和田誠さんの絵の力かなと、思います。
『ぽけっとくらべ』
今江祥智・文 和田誠・絵
お話は、とんとん むかし、そうです。まだ いろいろなどうぶつたちが、
いっしょに くらしていた ころ 人間の町をこっそり見てきた山ネコ(表紙に描かれている
ネコですね)が、にんげんの つかっているもので、 ちょっぴり かんしんした ものが
これと、エプロンのポケットを、仲間の動物たちに見せ、その使い方を教えます。
見ていた動物たちは、便利なものだとすっかり感心し、タヌキの発案で、3日後に、
銘々が作ったポケットをくらべようということになります。
ブタ、キツネ、サルたちが、それぞれ「考え抜いた」自分のポケットを披露しますが、
最後に一等賞を獲ったのは、趣向を凝らしたものではなく、「天然の」ポケットでした。
和田誠さんの絵で、ポケットとくれば、どうしても、福音館書店の雑誌「おおきなポケット」を
思い出します。・・・というか、「おおきなポケット」のイメージの<刷り込み>が私の頭の中に
あったので、書店で見かけて、すぐにこの絵本に反応してしまったのかもしれません。
それくらい「おおポケ」の和田さんの表紙が好きだったのです。
「だった」と過去形になっているのは、2年間続いた和田誠さんの表紙が、2006年3月号を
もって終了となってしまったからです。うーん、残念です、とっても。
和田さんの絵は、「おおきなポケット」の名前にふさわしく、表紙の動物が、自分のポケットから、
何かを取り出すところが描かれています。そして、裏に返すと、それが何だったのか
わかるしかけになっているのです。
たとえば、2005年7月号は、クマが青いズボンのポケットから虫めがねを出していて・・
裏には、虫めがねの中で笑っているアリの絵。2005年12月号は、雪が降る中、白衣を着た
フクロウが、顕微鏡を出しています。そして、フクロウの見ているものが、雪の結晶だった
ということが、裏表紙でわかります。
2年間の合計で24冊、ポケットを通しての楽しみを味わうことができました。