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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ラチとらいおん

2006-03-11 12:11:32 | ひらきよみ(読み聞かせ)
 昨日3月10日は、今年度最後の、読み聞かせ当番の日でした。6年生のクラスで読んだのはこの本です。
ラチとらいおん
『ラチとらいおん』

 マレーク・ベロニカ 




 ラチという名前の、とっても弱虫な男の子が、あかい らいおん の助けをかりながら、強くなっていくお話です。白地にシンプルな色で描かれた絵はとっても見やすくて、ストーリーも難しいところがありません。なので、幼稚園や保育園の時から、読んでもらっている子がとても多い作品だと、思います。

 でも、小学校の1年の間で、どの学年で、読みたい絵本かといえば、やはり、この時期の6年生の教室で読みたいなあと、私は思います。

 それは、2つの気持ちから、そう思うのですが。
 ひとつは・・、こわい時、心ぼそい時、心配な時、泣きたい時、ラチにとってのらいおんと同じように、誰かが(お母さんだったり、お父さんだったり)いつも側にいてくれて、それはとっても素敵なことだったね、という気持ちの確認。
 もうひとつは、これからの新しい世界で、戸惑うことや、不安に思うことに合っても、ポケットの中のらいおんの存在を信じていれば、必ず乗り越えられるよ、という応援の気持ちです。


 1月に、6年生のクラスに行った時、 『だいじょうぶ だいじょうぶ』を読みました。 
その時も、はじめは『ラチとらいおん』を読むつもりだったのですが、急にそっちを読みたくなって。そうして、両方の本を何度も何度も練習しているうちに、『だいじょうぶ~』のおじいちゃんと、『ラチ~』のらいおんは、主人公のぼく(あるいはラチ)にとって、まったく同じ存在なのだと思うようになりました。

 成長していく過程で、何より大切なのは、側にいるということです。恐い犬がやってきた時、友だちの輪に入れそびれてしまった時、暗い部屋に欲しいものがある時、一緒に行ってくれる誰か、後ろに隠れさせてくれる誰かが居てくれたからこそ、いつの日か、犬や友だちと遊べるようになり、暗闇は、ただの、明るくない部屋だと思うことができるようになるのです。

 おじいちゃんの存在と、「だいじょうぶ」という言葉。幼い頃の自分自身の記憶と結びつくせいか(私はおばあちゃんでしたが)、とっても日本的な感じがします。それに対して、絵本から現れたらいおんが、ポケットの中で応援してくれていて、気がつけばそれは赤いりんごで、らいおんは手紙を残して去ってしまうなんて、とってもかっこよくて、西欧社会の合理主義を見たような気がちょこっとします。

 しかし、表現のしかたはどうであれ、小さい時にしっかりと見守られた人は、大人になってからも、帰りたくなった時に、いつでも帰れる場所があるのだと思います。それは、本当の家や人かもしれないし、お話や絵やいつか見た場所の匂いかもしれないけれど。

 
 来年度も、小学校での読み聞かせは続けていきたいと思っています。

 
コメント (4)
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