2月22日の猫の日に、これから読みたいと思う本として挙げた2冊のうちの1冊、
『空飛び猫』 を読みました。この本はシリーズになっていて、続編の『帰ってきた
空飛び猫』、 『素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち』、 『空を駆けるジェーン』 とあり、
もちろん4冊とも全部読みました。
シリーズものは、時として、1作だけでやめておいたほうがよかったかも、とか、
最初はおもしろかったけど、2作目以降はただの「続編」だった、と思うようなものもありますが、
この『空飛び猫』に関して言うと、読み進めるうちに、加速度的におもしろくなるシリーズだと、
私は思いました。まるでジェット機に乗って、陸地からどんどん離れていくような、そんな感じです。
訳者の村上春樹氏は、ある時親切な読者の方が、「村上さん、こういうのお好きじゃ
ないですか?」と教えてくれたことで、この本の存在を知ったそうです。そして、表紙の絵を
見ただけで、即、翻訳することを決めたとも・・。猫好きでなくたって、アーシェラ・K ル=グウィン
さんの作品で、おまけに翼を持っている猫の話だったら、読んでみたくなる(訳してみたくなる)
にちがいないですよね。
セルマ、ロジャー、ハリエット、ジェームズの4匹は、大都会の横丁のゴミ捨て場
(移動できるコンテナ型の大きなごみ箱のこと)で、生まれ育ちました。4匹のお母さんは、
普通の猫で、背中に翼はついていません。なぜ、4匹の子猫たちにだけ翼がついている
のでしょうか?お母さん猫は、もちろん不思議には思っていましたが、それよりも、毎日の
ことで精一杯(4匹のお腹をいっぱいにしてあげることや4匹を危険から守ること)でした。
でも、ある日、翼を持った猫たちが暮らすには、住み慣れた大都会は危険すぎると
判断し、お母さん猫は4匹と別れることに決め、4匹もお母さんの考えに賛成します。
子猫時代から、旅立ち、旅での苦労を経て、やっと安心できる場所へ辿りつくまでが、
『空飛び猫』のお話です。
『帰ってきた空飛び猫』では、お母さんのことが心配になり、故郷である大都会へ
「帰省」する話が綴られています。4匹ともお母さんに会いたい気持ちにかわりはありませんが、
旅は危険過ぎるという慎重派と、「ちょっと飛んでいけばいいじゃない」という楽天派に
分かれるところが、おもしろいなあと思います。
楽天派の旅も、決して「楽」なものではありませんでしたが、お母さんとも再会することが
できた上に、自分たちに、もう一人妹がいることがわかります。
3作目、4作目は、この妹猫=ジェーン(彼女はお母さんと同じ名です)が、お話の中心となり、
翼を持った風変わりな猫たちのファンタジーという側面に、ジェーンが一人前の猫となっていく
成長ぶりが加わり、作品に厚みが増してくるように思います。
幼い頃の体験によって、一時言葉を失っていたジェーンが、アレキサンダーのおかげで
(3作目に初登場する、普通の猫)言葉を取り戻し、さらには、兄弟姉妹と過ごす田舎での
生活に飽き、自分の意思で別の世界を求めて「飛び出して」行くところまでくると、このお話は、
私やあなたや、あなたのお友達の誰かの話なのではないかと思えてきます。ジェーンは
姿かたちは、翼を持った「特別な」猫ですが、大人になるすこし前の、「普通の」女の子でも
あるのです。
もしも、『空飛び猫』に興味を持たれて、読んでみようとお思いなら、4作目まで全部読むことを
強くお勧めします。そして、いつの日か5作目が上梓され、ジェーンのさらなる活躍が
見られるように、一緒に願いましょう。
『空を駆けるジェーン』
原題は『JANE ON HER OWN』
最後に、訳者村上春樹氏の言葉を『帰ってきた空飛び猫』のあとがきから引用します。
この本はもちろんファンタジーです。そしてファンタジーというものはとても
個人的なものなのです。それはあなた一人に向かって開いたり閉じたりする窓なのです。
『空飛び猫』 を読みました。この本はシリーズになっていて、続編の『帰ってきた
空飛び猫』、 『素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち』、 『空を駆けるジェーン』 とあり、
もちろん4冊とも全部読みました。
シリーズものは、時として、1作だけでやめておいたほうがよかったかも、とか、
最初はおもしろかったけど、2作目以降はただの「続編」だった、と思うようなものもありますが、
この『空飛び猫』に関して言うと、読み進めるうちに、加速度的におもしろくなるシリーズだと、
私は思いました。まるでジェット機に乗って、陸地からどんどん離れていくような、そんな感じです。
訳者の村上春樹氏は、ある時親切な読者の方が、「村上さん、こういうのお好きじゃ
ないですか?」と教えてくれたことで、この本の存在を知ったそうです。そして、表紙の絵を
見ただけで、即、翻訳することを決めたとも・・。猫好きでなくたって、アーシェラ・K ル=グウィン
さんの作品で、おまけに翼を持っている猫の話だったら、読んでみたくなる(訳してみたくなる)
にちがいないですよね。
セルマ、ロジャー、ハリエット、ジェームズの4匹は、大都会の横丁のゴミ捨て場
(移動できるコンテナ型の大きなごみ箱のこと)で、生まれ育ちました。4匹のお母さんは、
普通の猫で、背中に翼はついていません。なぜ、4匹の子猫たちにだけ翼がついている
のでしょうか?お母さん猫は、もちろん不思議には思っていましたが、それよりも、毎日の
ことで精一杯(4匹のお腹をいっぱいにしてあげることや4匹を危険から守ること)でした。
でも、ある日、翼を持った猫たちが暮らすには、住み慣れた大都会は危険すぎると
判断し、お母さん猫は4匹と別れることに決め、4匹もお母さんの考えに賛成します。
子猫時代から、旅立ち、旅での苦労を経て、やっと安心できる場所へ辿りつくまでが、
『空飛び猫』のお話です。
『帰ってきた空飛び猫』では、お母さんのことが心配になり、故郷である大都会へ
「帰省」する話が綴られています。4匹ともお母さんに会いたい気持ちにかわりはありませんが、
旅は危険過ぎるという慎重派と、「ちょっと飛んでいけばいいじゃない」という楽天派に
分かれるところが、おもしろいなあと思います。
楽天派の旅も、決して「楽」なものではありませんでしたが、お母さんとも再会することが
できた上に、自分たちに、もう一人妹がいることがわかります。
3作目、4作目は、この妹猫=ジェーン(彼女はお母さんと同じ名です)が、お話の中心となり、
翼を持った風変わりな猫たちのファンタジーという側面に、ジェーンが一人前の猫となっていく
成長ぶりが加わり、作品に厚みが増してくるように思います。
幼い頃の体験によって、一時言葉を失っていたジェーンが、アレキサンダーのおかげで
(3作目に初登場する、普通の猫)言葉を取り戻し、さらには、兄弟姉妹と過ごす田舎での
生活に飽き、自分の意思で別の世界を求めて「飛び出して」行くところまでくると、このお話は、
私やあなたや、あなたのお友達の誰かの話なのではないかと思えてきます。ジェーンは
姿かたちは、翼を持った「特別な」猫ですが、大人になるすこし前の、「普通の」女の子でも
あるのです。
もしも、『空飛び猫』に興味を持たれて、読んでみようとお思いなら、4作目まで全部読むことを
強くお勧めします。そして、いつの日か5作目が上梓され、ジェーンのさらなる活躍が
見られるように、一緒に願いましょう。
『空を駆けるジェーン』
原題は『JANE ON HER OWN』
最後に、訳者村上春樹氏の言葉を『帰ってきた空飛び猫』のあとがきから引用します。
この本はもちろんファンタジーです。そしてファンタジーというものはとても
個人的なものなのです。それはあなた一人に向かって開いたり閉じたりする窓なのです。