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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

くるりくらってなんだ?

2006-03-15 17:34:36 | 思い出の絵本
  陽射しが「春」のものになってきました。ぐりとぐらでなくっても 
「うれしくて、じっとしていられない」気持ちです。
ぐりとぐらとくるりくら
『ぐりとぐらとくるりくら』

 なかがわりえこ・文
 やまわきゆりこ・絵




 数ある、ぐりとぐらシリーズの中で、元祖『ぐりとぐら』をおさえて、私の中での堂々
第1位は、この『ぐりとぐらとくるりくら』なんです。
 理由はいくつかありますが、「出会い」がとても印象に残っています。

 まだ娘がベビーカーでしか外出できなかった頃、『こどものとも0.1.2』を愛読していました。
毎月の分に加え、図書館や書店でバックナンバーもまめに探したりもして。年月がたってみると、
何も正直に、「赤ちゃん絵本」ばかりでなく、3歳ぐらいからとなっている絵本だって、
読んであげてもよかったと思うのですが、何しろ当時は私も母親に成り立てで、0歳、1歳の
赤ちゃんだったら、それにふさわしい絵本でないと、と思っていましたし、『ぐりとぐら』ぐらいの
長さでも、普段0.1.2にばかり接していると、とても長いお話に思えました。
 そんな頃に、書店で初めて『ぐりとぐらとくるりくら』を目にしました。『ぐりとぐら』に
続編があったなんて当時はまるで知らなかったので、とても驚き、そしてその題名にも
驚いたのを、とてもはっきりと覚えています。「くるりくらって、いったい、なんだろう?」

 く る り く ら  く・る・り・く・ら  くーるーりーくーら 

口に中で何度かころがしてみましたが、とても馴染めそうもなく、表紙を開くこともなしに、
その場を立ち去りました。
 その後、いつ、どのようにして、この本を買ったのかは、ほとんど覚えがありません。
思い出そうとしてみても、初めての時の「くるりくらって何?」と思った気持ちが、鮮明に
よみがえってくるだけです。

 絵本によっては、何度も何度も声に出しているうちに、じんわりとそのよさが染み込んでくるものと、
ある時突然に、「あ、いい!」と思うものがあるのですが。くるりくらは、間違いなく後者の方で・・。
 ある晩、娘に読んであげているうちにとっても眠くなってしまい、「ぐりとぐらが~」と
読んでいるつもりでも、「ぐうとぐあがぁ~」となったり「ぐううぐああ~」となったり。そして、
娘に揺り起こされては、ハッとなり続きを読むという繰りかえしの中で、突然わかったのでした。
「くるりくら」っていう言葉は、元は「ぐりとぐら」から来ているに違いない、ということが。
(みなさんは、もしかしてもうお気づきでしたか?それとも、ちゃんとした由来をご存知とか・・・)

ぐりとぐら→ぐうとぐあ→ぐういぐあ→くういくあ→くるりくら

 そうかそうか、くるりくらって、ぐりとぐらから来ているんだ、そう(勝手に)思ってから、
また読むと、なんか不思議。この絵本が今まで以上におもしろく思えます。
ぐりぐらシリーズの中でも、一番文章のリズムが自分に合ってるなと思って、
好きだったのですが、さらにさらに好きになりました。

  きのしたを とおりかかったときです。
  ふいに、だれかが ぐりと ぐらのぼうしを
 ひっぱりました。
 「あっ、なにするんだい、よせよ」と
 おさえたときには、もう ありません。
 「とりかな」
 「かぜかな」
  ぐりと ぐらが みあげると、
 おや、きのうえに、ぼうしをふたつ あたまにのせた
 うさぎがいて、
  「あおいぼうし あかいぼうし くるりくら」と、
 うでをくんで、すましています。

 
お話が始まって、3つ目の場面。くるりくらが登場してくるところです。
ここの「とりかな」「かぜかな」のぐりとぐらは、本当にかわいいです。このあと一緒に
朝ごはん食べて、一緒に木登りして、一緒に〇〇にも乗って(未読の方のために、
素敵な乗り物は伏字にしました)。最後はなわとびで、おうちに帰ります。
もちろん大事な籠も忘れません。

 文章全体にリズムがあって、お話の運びもテンポがあって、全体に心地よい風が
吹き抜けていて。春本番前の、はやる気持ちをおさえきれない、今の時期にピッタリの
本だと思います。
 
コメント (10)
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