おすすめ度 ☆☆☆☆ (劇場鑑賞)
映画好き ☆☆☆☆★
第74回ベネチア国際映画祭で脚本賞、トロント国際映画祭でも最高賞にあたる観客賞を受賞。
この映画の舞台は、アメリカを代表するミズリー州田舎町。一応、神を信じる町だ。
まず、主人公ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)の肝っ玉母さんに驚かされる。
娘が強姦・殺害されたのに、犯人が捕まらないのは、警察のせいだと3枚の看板にでかでかと書き込んだのだ。
だが、そこで名指しされた警察署長(ウッディ・ハレルソン)は、ちゃんと真面目に捜査したが犯人は見つかっていない。人格的にいい人で、ミルドレッドにも同情的。ただ、末期のがんを患っていた。
一方、署長の部下の巡査ディクソン(サム・ロックウェル)。粗野な品行。職務怠慢、傲岸不遜、黒人を差別し、すぐにキレて暴力をふるう。典型的ヤンキー。
この映画の良いところは、まったく先が読めないところだ。
次々に、事件が起きる。
そりゃあ、荒っぽいおばさんに、すぐ暴力のポリさん。
まあ、やることがでかい。看板屋をぼこぼこにし、2階から階下に放り投げる。
警察に、火炎瓶を投げて放火、警察は火事に。
だけど、実は、それぞれに弱みがあった。
おばさんは、娘が出かけるとき、「レイプされて死んじまえ」と放言していたのだ。そのれを悔いての行動なのだ。
いちばん優しいのは、警察署長。
がんで死ぬのがわかったので、家族と盛大なパーティを開いた後自殺。
おばさんへの手紙は、看板をけなすのではなく、自ら看板代を同封。
一方、ディクソンには、「お前はいい警官だが、すぐきれるのはよくない」と。
荒々しかった人たちが、本当は、やさしいという二面性。
一方で、教会や警察などの権力側は?
ラストの結末は微妙だが、観客にゆだねる手法はありだ。
監督は、「スリービルボード」のマーティン・マクドナー。