prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

デジタル・リマスターでよみがえる名作「“地獄門”世界がみとめた色」

2011年05月06日 | 映画
デジタルリマスターのノイズを除去する過程で、セリフまで途切れてしまうところを別のところから同じ俳優の発声する音を持ってきて埋める、たとえば「藤原」の“じ”を「じきじき」の“じ”を持ってきて埋めるといった具合で、その手間のかかり方といったらない。技術者が「行」(ぎょう)みたいだと言うのもムリはない。

本来のテクニカラーなので三原色に分けた白黒フィルムが三本保存されている。それだけ倉庫代もかさむはず。三本をそれぞれスキャンしてデジタルデータ化して合わせたところ、うまく重ならない、スキャンする時にフィルムを送るピンがうまくフィルムの穴に入らないで
データがずれていたためとわかって100分の1ミリ単位でピンを削るあたりも職人芸という感じ。

色彩監修の画家・和田三造(代表作「南風」を見て、あ、あの絵の作者かと思った)の監修というのも名前貸しではなく、装置・衣装はおろか、200名に及ぶ俳優の肌の色をすべて記録して、それがのちに日本色彩研究所に引き継がれ化粧品開発の基礎データにもなっているという。

製作当時、撮影助手だった森田富士郎がリマスター版の色彩監修をして、当時のフィルムだと赤と青が出すぎたり室内シーンが明るくなりすぎたりするのをどう補正するか、公開当時のままにするかそれとも当時の技術ではできなかったことをやり直すかで迷うあたり、こちらも考えさせられる。結局当時のままという方針をとったわけだけれど、「スター・ウォーズ」あたりがあとでデジタル技術でいじって「良くなった」かどうかということともつながってくる。

チャンネル :BSプレミアム
放送日 :2011年 5月 2日(月)
放送時間 :午後10:00~午後10:30(30分)
ジャンル :映画>その他
映画>邦画
ドキュメンタリー/教養>カルチャー・伝統文化
番組HP:-
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日本のカラー映画草創期、「地獄門」はカンヌ映画祭グランプリとアカデミー賞を受賞。デジタル技術で名作の映像と音声を復元する過程に密着。


森田富士郎, 三浦和己, 【語り】田中奈緒子



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