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久々にKORAILのHPを見ていると~長項線~群山線接続の影で、群山線通勤列車は…

2008-01-14 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

   

最近は九州への強行軍旅行(車中1泊を含めて2泊)の日程を確保する事すら…という状況のMAKIKYUですが、年末~年始にかけては「MAKIKYUのページ」でも日本国内と共に幾つもの話題を取り扱っている韓国や中国で、鉄道の新路線開通が幾つかあり、その一つが今月1日の韓国忠清南道・長項Changhang(天安Cheonan~長項を結ぶ長項線の終点)~全羅北道・群山Gunsan(益山Iksan~群山間を結ぶ群山線の終点)間の韓国鉄道(KORAIL)接続新線開通で、これに伴って長項・群山両駅の移設も行われています。

この区間は直線距離で数十キロ程度、二つの町は川を隔てているものの隣り合っており、長距離バスの発達した韓国という土地柄、市外バスが頻発していて、MAKIKYUも市外バスで両都市間を移動して、2つの鉄道路線を乗り継いだ事(少々大回りになりますが、全州Jeonju(全羅北道の道庁所在都市です)~Seoul間を移動する際にもおススメのルートです)もありますし、バスの他に渡船も運行されている様です。

とはいえKORAILの接続路線開通はつい最近の事ですので、当然ながらMAKIKYUはまだこの接続新線には乗車した事がなく、乗車は残念ながら暫く先の話になりそうで、ネット上で時刻を調べた程度ですが、列車の時刻を見た限りでは、概ね従前の長項線列車(Seoul市内の龍山Yongsan~長項間を、セマウル号かムグンファ号が概ね1時間毎程度の間隔で運行)が、そのまま接続路線を介して群山線に入って益山まで乗り入れる格好(これに伴って、従前の群山線区間も長項線に改称して1本化)となっており、この他朝に1往復だけ益山~舒川Seocheon(長項から10km程北に向かった長項線の駅です)間にセマウル号(ディーゼル動車)が設定されています。

長項線の列車が益山まで延伸されても、その途中の群山からSeoul方面への需要が多少は期待できるものの、益山には従来から湖南線が通じており、こちらを使った方がSeoul方面への所要時間や運賃面では遥かに優位、その上運行本数も多い状況ですので、この接続路線開通は、旅客面よりもむしろ貨物列車のダイヤ設定へのメリットの方が大きそうです。

そのため延伸された長項線列車で、益山~Seoul方面を乗り通す乗客は、物好きや湖南線列車の満席時を除いてまず期待できそうにないですし(こんな事を考えるのは、もしかしたら日本人の方が多いかもしれません)、長項線沿線も田舎町ばかりで、益山自体も鉄道駅の規模自体はそれなりとはいえ、街の規模自体はさほど大きくなく、益山~長項線沿線の需要もさほど期待できませんので、ここを発着とするのは運転上の都合が大きそうです。

ただ中には益山から更に湖南線に乗り入れ、西太田Seo-Daejeonを発着する列車(ムグンファ号)も設定されているのですが、この列車は天安~(長項線)~長項~(新線)~群山~(旧群山線)~益山~(湖南線)~西太田を「C」字形に大回りする格好となり、長項線沿線と湖南線沿線の地方都市間も市外バスなどの便がそれなりに運行されている状況ですので、趣味的にはそれなりに面白い列車かもしれませんが、この列車の設定意義に苦しみます。
(日本で言えば、京都~西舞鶴間を福知山・宮津経由で走る列車を設定する様なものです)

こんな列車を設定する位なら、機関車牽引による客車列車では益山での機回しが必要(これを避けるために、敢えてセマウル号ディーゼル動車を使うという手もあります)になるとはいえ、全羅北道の道庁所在都市でありながらも、都市規模の割に列車の利便性は決して良いとは言えず、Seoul方面への始発列車も存在しない全州まで長項線列車を伸ばすか、せめて益山~麗水Yeosu間の全羅線列車の一部を長項線直通に出来なかったものなのかと感じさせられます。
(ちなみに益山~全州の両都市間は単線非電化とはいえ全羅線が通っており、距離もさほど離れておらず、全州は益山に比べるとSeoul方面の列車本数が格段に少ない状況ですので、全州~長項線沿線の需要をはじめ、湖南線経由列車が満席となった際のSeoul方面への補完という観点でも多少は期待できそうです)

また長項線列車が益山発着でも、益山~全州間で通勤列車(日本の普通列車相当)が接続し、これらを乗り継げる様にでもなっているのであれば、まだ納得が行くのですが、近年韓国では長距離列車に重点を置く反面、ローカル列車は削減される傾向があります。

ネット上で調べた限りでも、長項線~群山線接続新線開通の影で、ダイヤを長距離列車や貨物列車に譲る必要が生じてしまったのか、全州~益山~群山間を走っていた、ディーゼル動車による群山線通勤列車まで廃止され、他地域でも通勤列車の廃止が行われている様です。

群山線通勤列車は、手頃に長距離列車とは異なるローカルムード溢れた雰囲気を楽しむ事ができましたし、全州から益山乗換えで湖南線列車へ乗り継ぐにも便利で、本数は頻発する市外バスに比べて大幅に少ないとはいえ、全州~群山間の都市間移動でも最も安く移動できる交通手段でもあっただけに、この列車の廃止は惜しい限りです。

KORAILの長項~群山を結ぶ接続新線、旅客輸送の面では課題も多そうで、今後の改善は不可欠でしょうし、群山線での通勤列車復活にも期待したい所ですが、この新線が今後有効に活用される事を願うものです。

またMAKIKYUも機会があれば是非1度この新線に乗車し、今までとは大きく変貌した長項線の姿も見てみたいものですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様は如何感じられるでしょうか?

写真は群山線で走っていた通勤列車(群山駅にて撮影/全州駅にて撮影・既公開記事で公開)と、在りし日の長項駅・群山駅です。