石川県の金沢市内とその近郊を走る北陸鉄道石川線は、10月31日限りで末端の鶴来~加賀一の宮間が廃線となり、9月にMAKIKYUがこの区間に乗車した際の様子も記事として先日取り上げていますが、今日はMAKIKYUが9月に石川線を利用した際に乗車した車両の一つで、MAKIKYUは9月に初めて乗車した7700系電車に関して取り上げたいと思います。
北陸鉄道では1990年に東急からの中古車を導入して石川線の近代化、その後1996年に京王からの中古車を導入して浅野川線の近代化を行った事は、ご存知の方も多いかと思います。
この相次ぐ90年代の車両入れ替えにより、既存の旧型車は退役し、暫くは大きな動きもなく推移するものと予想していた方は多いかと思いますし、MAKIKYUもその様に予測していました。
そんな状況でも殆ど稼動機会の無い旧型の予備車取替用と、夏季の車両検査発生時等における非冷房車の運用充当回避を目的に、比較的近年になって石川線に1編成だけ新形式が導入されており、この車両が7700系と呼ばれる車両です。
7700系は浅野川線の車両と同じく、元京王井の頭線3000系を改造した車両で、装いもステンレスにオレンジの北鉄カラーを纏っていますので、見た目は浅野川線の車両に非常に類似しています。
車内も座席がバケットシート化されている事や、LEDによる次駅案内表示装置が設けられている事など、種車が同一形式でも比較的近年導入された車両らしく、浅野川線車両よりやや進歩した部分も見受けられます。
ただ種車が京王での大規模なリニューアル工事の施行対象からは外れた車両である上に、北陸鉄道移籍に際しても内装の抜本的改装などは行われていませんので、比較的最近導入された車両にしては余り見栄えがしないと感じたのも事実です。
また浅野川線は京王中古車の導入に合わせて直流1500Vへの昇圧を行っているものの、石川線は600Vの低電圧のまま車両近代化を図った事もあって、石川線で用いられる7700系は浅野川線で活躍する元京王車とは異なり、下回りを取り替えているのも大きな特徴と言えます。
取り替えた下回りは西武鉄道などの廃車発生品を用いており、こちらは石川線で活躍する元東急車とほぼ同等ですので、車体は浅野川線車両とほぼ同等、下回りは石川線既存車両(元東急車)とほぼ同等という北陸鉄道の2路線双方で活躍する主力車両を折衷した印象を受ける車両になっています。
そのため1編成しか存在しないにも関わらず、知らないと見ても乗ってもさほど珍しさを感じない車両というのも事実で、珍車の割には違和感を感じないものですが、1編成だけの存在故に常に稼動しているとは限らず、稼動している姿を見かけたら是非一度は乗っておきたいものです。
あと余談ですが、この車両は石川線での優等列車(準急)の設定廃止後に導入されているにも関わらず、「準急 野町」などの字幕が装備されており、先日廃駅となった加賀一の宮駅で折り返しの際、字幕を回している時に準急幕の姿を見る事が出来ましたが、この字幕が実際に使われる日が訪れるのか否かも気になる所です。
写真は7700系の外観と車内の様子、車内に設置されたLEDによる次駅案内装置(表示駅名にも注目)と加賀一の宮駅で字幕を回している際に目撃した「準急 野町」表示です。