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未来高速「KOBEE」~日韓間を結ぶ韓国の高速船

2009-11-11 | 船舶[海外関連]

 

先月MAKIKYUが韓国を訪問した際には、博多~釜山間の日韓間往復で高速船(ジェットフォイル)を利用したのですが、現在同区間の高速船はJR九州高速船「BEETLE」と未来高速「KOBEE」の2社が運航を行っています。

両者は以前競合して運航を行っていましたが、2006年に共同運航を開始し、予約発券業務の集約化やダイヤの調整を行って現在に至っており、共同運航開始後は乗船券の相互利用可能化などで、乗客の利便性が向上している事は有り難い限りで、共同運航開始以降は、割引率の高い各種往復割引運賃や、回数乗船券類などを利用した場合に、往復で異なる事業者の船舶への乗船も可能になっています。

しかしながら共同運航開始以降はBEETLEが主に午前博多/午後釜山発、KOBEEが主に午前釜山/午後博多発のダイヤとなり、韓国を訪れる日本人旅行者にとってはBEETLEは利用しやすいものの、KOBEEは利用し難いダイヤ設定となっています。

そのためBEETLE/KOBEEの共同運航開始以降も、なかなかKOBEEを利用する機会はなかったのですが、先月韓国を訪問した際は、帰国日の釜山を午後に出国する2便中の1便がKOBEEでの運航となっており、今まで乗船機会の無かったKOBEEへ乗船する丁度良いチャンスという事で、出航時間はBEETLEより30分程早かったのですが、この便を選んだものでした。

KOBEEは現在3艘(KOBEE・KOBEE Ⅲ・KOBEE Ⅴ)が運航に供されており、MAKIKYUが乗船した船はKOBEE Ⅲでしたが、元々は香港~澳門間で用いられていた船を用いています。

KOBEEの3艘は「Boeing 929」と呼ばれるジェットフォイルで、BEETLEと同種の船ですので、装いこそBEETLEとは異なるものの、外見や運航速度などはBEETLEと大差ないものですが、運航事業者が異なるだけに、船内の内装などに違いが見受けられたものでした。

内装は華やいだ雰囲気を感じる改装後のBEETLEとは対照的に、比較的落ち着いた雰囲気を感じるもので、座席肘掛の形状が統一されている事なども評価できる点(BEETLEは複数形状の座席が混在しています)ですが、間接照明を多用している点は雰囲気は良いものの、窓際頭上に荷棚が設けられていない点は、BEETLEに比べ実用面でマイナスと言えます。

船内設備も普通席のグレードは両者共に大差なく、少しだけリクライニングする座席などは同様ですが、BEETLEでは改装前は1階前方(ジェットフォイルはBEETLE・KOBEE共に客室が1階と2回に分かれており、座席定員は双方合わせて200名程度です)に売店が設けられ、改装後は売店を廃止して物品販売をワゴンサービスで係員が巡回する形態に改められると共に、1階前方部分にグリーン席(普通運賃に加え、片道3000円の追加料金が必要です)を設けていますが、KOBEEではグリーン席の設置は無く、売店も1階後方に設けられているなどの違いがあります。

またKOBEEは韓国の事業者(未来高速)が運航する船舶だけあって、船内では一応日本語も通用するものの、乗組員は全て韓国人となっており、これに加えて船内の表示もBEETLE程日本語が多くない事もあって、博多に到着する少し前まで日本に帰国するという感が無く、乗組員が全て日本人で構成され、釜山に着くまで海外旅行へ行くという雰囲気を感じず、帰国の際も船に乗り込んだ瞬間から、日本へ帰ってきたと感じるBEETLEとは対照的です。

これらに加え、KOBEEでは船内での物販品目などがBEETLEと異なり、BEETLE利用のパッケージ商品利用時などに配布される船内でのドリンク引換券などは利用可能な様ですが、JR九州が30歳以下の若者向けに発行しているナイスゴーイングカードの会員が、BEETLE乗船時に特典として無料で貰えるコーヒーのサービスが無い点は要注意です。

今回KOBEEに初めて乗船した際の感想としては、グリーン席の有無を除けばBEETLEとは大同小異といった印象を受け、どちらの船舶で運航しているかよりも、利用したい時間に運航している船舶を選んで乗船すれば良いのでは…という印象を受けたものでしたが、KOBEEは日本人観光客が利用しやすい時刻に運航する事は比較的少ないのが現状です。

そのため韓国にお住まいの方や、日本人観光客が余り利用したがらない時間帯での乗船を除くと、KOBEEを利用する機会は少ないかと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も韓国へ行かれる機会があり、乗船希望時間帯にKOBEE運航の便がありましたら、BEETLEと乗り比べてみては如何でしょうか?

ちなみにBEETLEに関しては、以前「MAKIKYUのページ」で公開した記事もありますので、興味のある方はこちらもあわせてご覧頂ければと思います。

(「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様へ)
最近更新頻度が低下気味となっていますが、日本国内各地の記事とあわせ、先月MAKIKYUが出向いた韓国関連の記事も今後続々と公開したいと思っていますので、韓国関連の記事を期待されている皆様は、もう少しお待ち頂ければ…と思います。