先月「MAKIKYUのページ」では、中国湖南省の省都・長沙市と近郊を結ぶ城際鉄路に関して取り上げましたが、長沙市内とその周辺では近年この城際鉄路以外にも軌道系交通機関の新線が幾つか開業しており、その一つが2016年に開業した長沙磁浮快線です。
この長沙磁浮快線は、高速鉄道の長沙南站~長沙机場(長沙黄花国際空港)間を結んでおり、長沙南駅では広大な高鉄站の片隅に、彼の地の感覚では小さいと感じる站舎が存在しています。
リニアとは言っても上海市内を走る路線の様な超高速交通機関ではなく、日本の愛知県を走る「リニモ」などに近い中速(最高速度100㎞/h程度)での運行、営業路線の全長は18㎞強となっています。
現在途中站は1站のみ存在(磁浮㮾梨站)しており、MAKIKYUが昨夏に乗車した際は、全列車が途中站にも停車する各駅停車での運行となっていました。
全線乗り通した際の乗車時間は片道20分程度、現在では夜間などに途中站通過でノンストップ運行の列車も設定されており、新しい路線という事もあり、各站はホームドアも完備されています。
長沙机場站と机場のメインターミナルは少々離れており、徒歩で数分を要するものの、この間には中国らしい電動カートによる無料送迎車の運行もありますので、机場への足としては便利な路線となっています。
運賃は上海のリニアなどに比べればまだ安いものの、途中站(磁浮㮾梨站)利用時で片道10元/全程20元(日本円換算で350円前後)、日本の都市鉄道と大差なく、空港アクセス路線という特殊性を考慮しても、彼の地の物価を考慮すると割高感が否めないものです。
自動券売機を用いて購入する乗車券は、日本での採用事例は皆無ながら、中国の都市鉄道では採用事例が数多く存在する再利用可能なICチップ入りトークン、改札入場時は自動改札機にタッチ→改札出場時はトークン投入口に投入して出場(回収)となっており、他に長沙で出回っている交通カードでの乗車にも対応しています。
車両は片側2扉車の3両編成、写真の様に白と赤の2色を纏った車両を多く見かけたものの、白と青の2色を纏った車両も散見したもので、製造は近隣に所在の中車株州電力机車となっています。
長沙磁浮快線の運賃が割高な事も影響してか、車内の座席は中国大陸本土の都市交通機関では一般的なプラスチックやステンレスではなく、モケットが貼られ、クッションの入った座席が用いられているのも大きな特徴となっています。
座席配置はセミクロスシート、座席のクロスシート部分は方向転換不可能な固定式となっており、リクライニング機能付回転式クロスシートを導入する程ではない車両だと、中国でのクロスシートはこのタイプが一般的ですが、転換式クロスシートを導入する事はできなかったのだろうか…とも感じたものです。
路線の性質や運行区間を考慮すると、机場利用者とレールファン以外の外国人が利用する機会は余りない路線なのでは…という気もしましたが、広大な中国でもまだ数の少ないリニア路線の一つとしては興味深い存在と感じたものでした。
「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も長沙へ足を運ぶ機会があるなら、城際鉄路などと共に一度乗車してみるのも如何でしょうか?