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韓国・世宗特別自治市を走るBRT(1)~路線編

2014-03-20 | バス[大韓民国]

最近日本でも幾つかの新路線が開業し、注目を集めている新形態の路線バスとも言えるBRT(Bus Rapid Transit)、世界的に見ても様々な都市で続々と新路線が開業しており、MAKIKYUも国内では幾つかの路線に乗車した事があります。

海外では中国で運行している路線にも以前乗車した事がある他、昨年末に韓国へ足を運んだ際にもBRTに乗車機会があり、今日はこの韓国を走るBRTに関して取り上げたいと思います。

韓国のBRTは、ソウルから南へ120km程の所に位置する世宗(Sejeong)特別自治市で運行しています。

同市は2012年に忠清北道・忠清南道に所属していた郡部自治体の一部を再編して成立した自治体で、余り馴染みがないという方が多いかと思いますが、KORAIL京釜線の主要駅で、忠北線の起点駅にもなっている烏致院(Jochiwon)駅や、その近くに位置するKTX五松(Oseong)駅と周辺地域、或いは大田(Daejeon)広域市の北側に位置すると言えば、凡その位置関係を認識できる方も多いかと思います。

BRTはこの世宗特別自治市の中でも、KTXが発着する五松駅を起点に、多数の行政機関が移転した世宗新都市を経由し、隣接する大田広域市に位置し、現在地下鉄1号線の終着駅になっている盤石(Banseok)駅までの間を結んでいます。

MAKIKYUは大田広域市内を動き回った後、地下鉄で市内の北側に位置する盤石駅まで向かい、ここから五松駅までのBRT全区間に乗車したのですが、このBRTは昼間時間帯は概ね15分程度の運転間隔で運行しています。


バス停ポールは他の市内バスとは異なるBRT専用のロゴ入りとなっており、通過予定時刻が詳細に案内されています。

一般的には始発・終車時刻と配車間隔が案内されている程度と言う事が多い韓国の路線バスにしては、他より一歩進んだ印象を受けたものでした。

盤石駅からBRTに乗り込むと、暫くの間は片道4車線、日本では余り類を見ないものの、韓国ではごく普通の幹線道路と言った雰囲気の道路を快調に飛ばし、この区間で大田広域市と世宗特別自治市の境界を超えます。


この区間では道路中央に歩道が設けられている事と、道路の中央寄り1車線がバスレーンになっている事、鉄道駅と世宗新都市間を速達輸送する事もあってか、暫くの間停留所が見受けられない事を除くと、韓国を走る他の市内バスとは余り変わらない雰囲気と感じます。
(韓国ではソウルなど大都市内を走る市内バスでも、名古屋の基幹2系統の様な中央バスレーンが近年急速な勢いで増えており、日本では珍しいと感じる光景も当り前の状況です)


しかしながら世宗新都市内に入ると状況は一転し、新都市ならではの近代的な雰囲気の街並みなども圧巻ですが、この新都市内では結構短い間隔で停留所が設けられています。
(短い間隔とは言っても、日本の基幹バスレベルの話で、一般路線バスに比べると停留所間距離は長く設定されています)


道路中央のバス専用レーンに設けられた屋根付き停留所などは、如何にも新時代のBRTならではの雰囲気が漂いますが、この光景自体はBRTなら当り前なのでは…と感じる方も多いかと思います。

 
ただ世宗のBRTでは中央バスレーンを設けるだけでなく、世宗新都市内に多数存在する交差点において、バスレーンだけ地下道化したり、逆に高架橋で交差点を跨ぐなど、BRTだけが信号待ちの影響を受けずに運行出来る環境を整備した箇所が多数見受けられるのが大きな特徴です。

この事もあってか、多数の停留所が設けられている世宗新都市内でも、BRTは比較的快調に運行している様に感じたものでした。


路線のほぼ中間に位置する世宗新都市を過ぎると、再び幹線道路を暫く快調に飛ばして終点のKTX五松駅に到着しますが、この間の運行距離は31.2kmと、日本の感覚で捉えるならば路線バスにしてはそこそこの距離を運行する事になります。

この距離をダイヤ上では僅か43分で運行予定しているにも関わらず、全区間を乗り通しても40分弱で早着し、市内バスにしてはかなり早いと感じたものでした。

運賃もこれだけの距離を乗り通しても2000W程度、途中の世宗新都市内で乗降する場合はもう少し割安になるなど、韓国の路線バスにしては標準的な運賃設定ながらも、日本の感覚から見れば物価差を考慮しても激安な部類に入り、T-moneyなどの各種交通カードも利用可能となっています。
(この運賃設定はインフラ設備を含め、全て民営事業者が独力で運営する独立採算による運営ではない事も影響しているのですが…)

立席空間の多い都市型の市内バス車両を充当しながらも、幹線道路では80km以上の速度で走り、急発進や急停車なども…という状況は韓国ならではで、日本の高速バスよりも早いと感じる状況は、賛否両論が分かれるかと思いますが、日本では同種の設備を整備したとしても、これだけの速さで運行する事はまず無理かと思います。
(MAKIKYUは乗客として乗車する分には、韓国の感覚でも許容範囲ですが、日本でバス運転が可能な免許(大型2種免許)所持の身とは言え、大型バスはおろか自家用車でもこの運転をするのは無理と感じます)

とはいえBRTを早く走らせるために、地下化や立体交差化などのインフラ整備を行う手法は、日本でも今後検討しても…と感じる所で、BRTに限らずLRTなどでも…と思いますが、日本でも今後この様な路線が出てくるのかも気になる所です。

世宗特別自治市のBRTで活躍する車両に関しては、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。



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