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韓国で活躍し始めた2階建てバス~広域急行路線で活躍する輸入車両

2016-12-09 | バス[大韓民国]

先日「MAKIKYUのページ」では、「韓国まで行く足の一つ」でもある西日本鉄道の2両連接バス「Fukuoka BRT」に関して取り上げましたが、九州とは玄界灘を挟み対岸の大韓民国(韓国)でも、以前試行的に2両連接バスが導入され、ソウル市内などで運行していた事がありました。

しかしながら韓国では2両連接バスは定着せず、短期間の運行で終焉を迎えてしまったのは残念な限りですが、鉄道路線網がまだまだと言う状況で公共交通におけるバスの比重がかなり高い土地柄もあってか、日本とは比べ物にならない程多数のバスが運行する「バス大国」となっており、バスでの旅客輸送の需要も日本とは比べ物にならない程多く存在しています。

韓国の国産バス車両は平屋の単車ばかりですが、シティーツアーなどでは既に2階建てバスの活躍が散発的に見受けられ、今夏には市内バスでも一部路線で運行を開始、この2階建てバスは韓国バスファンの間でも大きな注目を集めています。

現段階での韓国市内バスにおける2階建てバスの導入は、首都圏(ソウルとその周辺)が大半を占めており、他は釜山の1路線で1台が活躍する程度です。

首都圏では幾つか存在する2階建てバス運行路線の中でも、最も稼働台数が多いのはソウル市内の光化門(Gwanghwamun)~ソウル市の西郊に位置する金浦(Gimpo)市の漢江新都市を結ぶ8601番の広域急行バスで、この路線では現在4台が稼働、運行開始から日が浅い事もあり、車両の2階前部「慶 祝」と한글で記された掲示も見受けられたものでした。


8601番の終点は、この路線をはじめ金浦市内のバス路線を多数運行する金浦運輸の車庫になっており、仁川(Incheon)広域市との境界近くに位置、外国人特に旅行者は余り足を運ぶ機会のない所ですが、仁川市内在住の知人同行でこの車庫へ出向き、知人が会社側の許可を得て車庫内での車両を撮影する事もできました。


2階建てバスは昼間時間帯の運行がなく、朝夕の繁忙時間帯に重点運行しており、8601番でも大半の便は平屋車両で運行、こちらは最近数を増やしている現代UNICITYが多数活躍しています。

8601番で活躍する2階建てバスはVOLVO製で、欧州製なのかそれとも中国製なのか気になったものでしたが、同行した知人に尋ねたら中華圏でも大陸本土ではなく、台湾島で製造された車両との事でした。


台湾島で製造された車両と言う事もあってか、車体後部にはパンダのイラストと共に「祝您身体健康,万事如意」という漢字表記と、ピンイン(ローマ字)・한글での読み仮名(zhu nin shen ti jang kang  wan shi ru yi/쭈닌센티지엔캉 완쇠루이)が記されていたのも印象的でした。


MAKIKYUが金浦市内の車庫で2階建てバスを撮影した際には、14時過ぎと言う事もあり4台全てが車庫内にいる状況で、各車両共に車型は同型でしたが、前面のVOLVOマークは複数のバリエーションが存在しているのも特徴と感じたものでした。


またこの車庫内で管轄するG6000番でも2階建てバスが活躍、こちらは車庫が起終点ではなく金浦市内の起終点~車庫間は回送運行する路線ですが、京畿道広域急行バス標準塗装の8601番とは異なる装いの2階建てバスを見る事も出来ました。


そして15時台になると、車庫から出庫してソウル市内へ向かう8601番で2階建てバスが実車運行開始、同行した知人と共に2階建てバスに乗車して光化門へ向かったものでしたが、車内の1F~2F間を結ぶ階段が2箇所設けられていたのも大きな特徴と感じたものでした。


車内の座席は、韓国のバスでは一般的なビニール張りとなっており、SUIJIN GROUP(金浦運輸が属するグループ)という名称とロゴが記されているのも特徴、窓下化粧板も柄入りで少々高級感があると感じたものでした。

ちなみに8601番は郊外~都心部を乗り換えなしで直結、この路線は高速道路こそ経由しないものの、バイバス経由で速達運行を行っており、日本では同類の路線は少ないものの、韓国の首都圏では無数の路線が存在する広域急行バスの一つで、所要時間は片道1時間半程度、日本の路線バスなら長大路線の部類に入りますが、韓国では標準的なレベルの路線です。

   
車窓も金浦市内の開発から日が浅い団地群・漢江沿いのバイバス・ソウル市内のバス専用中央レーンなど、韓国の首都圏路線バスでは典型的な風景とも言える景観が拡がっていますが、平屋バスでは見慣れた感のある風景でも2階建て車両の上層階から眺めると、少し異なった趣があると感じたものでした。

韓国の首都圏では地下鉄・電鉄の新線も次々と開通、最近では軽電鉄も幾つか開業するなど、鉄軌道系交通機関も随分整備されてきた感がありますが、それでも都市圏人口や輸送需要などを踏まえると、まだまだ不充分と言わざるを得ない状況です。

既存路線も急行運転を行う路線が少ない、また乗り換えを好まない乗客が多く、日本のJR普通列車グリーン車や各種ライナー列車、私鉄有料特急の様な特別料金を徴収する着席サービスも限定的である上に、高速道路やバイパスが発達した土地柄と言う事もあり、広域急行バスの需要は相当なものとなっています。

都市近郊で比較的長距離を着席運行するバス路線のニーズが高く、また韓国でもバス乗務員確保の問題も生じている現状を考慮すると、着席大量輸送を少ない台数で実現する事は多大なメリットがあり、至る所でバスの台数が多過ぎて交通渋滞を引き起こす現状も踏まえると、今後多数の路線で2階建て車両導入が進行すれば…とも感じたものでした。

また韓国ではシティーツアーなどの観光バスに続き、広域急行バスでも2階建てバスが導入されたものの、バス大国だけあってこれまた相当数が走っている高速バスや市外バスなどの都市間バスでは2階建て車に遭遇した事がなく、こちらも今後2階建て車両の導入余地があるのでは…とも感じたものでした。



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