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中国鉄路の動車組・藍箭~広州―深センを走る異例ずくめのオススメ車両

2007-01-29 | 鉄道[中華人民共和国]

   

今月海外関連の鉄道ニュースでは中国・台湾省の新幹線開業が大きな話題となっていますが、昨日は大陸本土でも新幹線E2系をベースとしたCRH2と呼ばれる新型の動車組(電車や気動車の事を中国ではこの様に呼称します)が稼動を開始しています。
(ただ中国大陸本土の鉄道は標準軌という事もありますので、現段階では一般の列車と同じ線路を運行します)

中国は大陸本土と島嶼(台湾島)の双方で同月に新幹線が運行を開始するという異例の展開となりましたが、島嶼の方は色々トラブルが相次ぎ予定が大幅に遅れて今年まで伸びた様で、新幹線の営業開始が大陸本土と同月になるとはMAKIKYUも最近まで予想していませんでしたが、中国大陸本土の鉄道(中国鉄路)も侮れないものです。

大陸本土では上海近郊の列車で運行を開始した様で、「MAKIKYUのページ」のリンク先サイトを運営されている方の中には南京へ向かう列車に早速乗車された方も居られますが、MAKIKYUはさすがに中国内に居る訳ではなく、また当面は旅行等で中国へ出向く予定もありませんので、当分の間はこの新型車に乗る事もないと思います(その内乗車できれば嬉しいのですが、実現するのかどうかは未知数です)が、今日はせっかく大陸本土の動車組が話題になっている事ですので、MAKIKYUが昨年夏に乗車した「藍箭」と呼ばれる動車組について取り上げたいと思います。
(ちなみにCRH2に関しては、リンク先サイトになっているdayuan様の「中国留学と中国鉄路の日記」で詳しく取り上げられていますので、興味のある方はこちらを参照して下さい)

藍箭は中国の大陸本土でも南に位置する広東省の省都・広州と、香港に隣接する国境(?)の街・深センの間を結ぶ特快列車に運用されている車両ですが、動車組とは言っても片端(広州方)に電気機関車が連結され、その他の車両は全て付随車(モーターなし)という動力集中方式を採用していますので、日本の感覚からすると客車列車に近いものですが、機関車牽引列車ばかりで動車組が極端に少なく、また運行している動車組も電気を動力とするものに限ればこの藍箭以外の大陸本土勢は失敗ばかり(1編成だけ試作したものばかりで、営業に供された車両も整備の悪さや酷使が影響してかあっという間にダウン。MAKIKYUも乗車を狙った「中華之星」や「中原之星」といった車両はことごとくスカしています)ですので、昨日運行を開始したばかりの新型動車組を除くと、大陸本土の列車(地下鉄や路面電車などを除く)では希少な「電車(EMU)」となっています。

この藍箭はドイツのICEを真似たとも言われ、デザイン的には何処となくそれを連想させるものがありますが、車内は座席なども見た感じは似た様なモノ(東アジアから出た事がないMAKIKYUは、当然ICEには乗車した事がありませんので、雑誌などで見たモノからの推測ですが…)を採用しているのが特徴です。
(ちなみに座席にカバーがかかっているのは中国鉄路では恒例で、マナーの悪い一部の人民対策の様です)

これは方向転換不可能とはいえ僅かにリクライニングする機能も付いた一方向き座席で、MAKIKYUが今までに乗車した中国鉄路の座席車の中では最も高級に感じる事もあって、車両等級は「一等軟座」と呼ばれるごく一部の限られた列車にだけ連結されている高級車両扱いとなっています。
(日本の感覚で言うとDXグリーン車みたいなもの、ただそれでもグレードは特急普通車より劣ります)

ただ藍箭の運行区間が短い事や、この車両が一等軟座のみで構成されている事もあってか、中国鉄路では本来硬座(普通車相当:長距離列車などは凄惨な状況です)にしか乗車できない「無座」(指定なし)での乗車を認めているという異例の扱いを行っているのも特徴(運賃はしっかり一等軟座で課されます)で、さすがに高額な一等軟座(しかもこの区間は他に比べて運賃が高めに設定されています)で立席(空席があれば座れます)では余りと考えたのか、MAKIKYUが昨年夏に乗車した際には通路やデッキに丸いプラスチックの塊がゴロゴロしていました。(ちなみに硬座にこの様なサービスはありません)

MAKIKYUがこの塊を最初に見たときは、バケツか何かが転がっているのかとも思いましたが、これはよく見ると真ん中に小さな穴が開いており、「健康椅」と書かれたシールが貼られていましたので補助椅子的な存在のイスなのですが、このイスの何処が「健康」なのかはMAKIKYUには理解不能で、またこのイスのサービスは藍箭(もしくはこの区間の他車両使用の特快列車も含めた)オリジナルのサービスなのか、それとも真似たと言われるICEで実用化されているアイディアを真似たのかも気になります。
(もしこの記事をご覧の方でICEに乗車された方が居りましたら、是非コメント頂けると幸いです)

また藍箭はこの他にも行先表示が中国鉄路では一般的なサボではなく、運行区間が決まっている事もあってかドアにステッカー表示となっていたり、時速200km/h運行を行っている事も注目で、塗装も他の列車では見られない藍箭オリジナルカラーになっているなど、単に「動車組」だから珍しいという事ではなく、中国鉄路の他列車では見られない様々な特徴があり興味深い車両です。

その様な車両ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様が広州や深センへ行かれる機会がありましたら、是非乗車をオススメしたい車両で、この2都市間の移動をはじめ、広州~香港を移動(深セン~羅湖の国境を徒歩で通過)する際にもオススメです。(香港から日帰りで乗車狙いも充分可能です)

ちなみにこの藍箭は編成が複数(それでも1桁ですが…)ある事や、比較的短い区間(それでも130km程ありますが…)を何度も往復する事から、充当される列車は多数あります(充当列車は列車番号T800番台の大半となっている様です)が、このエリアでは新幹線車両とは別の新型高速車両が導入される模様で、また藍箭自体もメンテナンスに問題があるのか、車齢の割に余り状態が良くない様に見受けられ、今後何らかの動きが生ずる可能性は充分考えられますので、乗車を望まれる方はなるべく早い内に行動された方が良さそうです。

写真は藍箭の外観(制御車と動力車)、ドアの行先表示ステッカーと座席(通路には健康椅も…)です。



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