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東京都交通局 9000形電車~今年登場したばかりのレトロ調新型車両は一般客の注目度も…

2007-10-16 | 鉄道[首都圏・私鉄等]

 

数日前MAKIKYUは都心を通り抜けて千葉方面へ向かう所用があったのですが、その際は少々時間に余裕があった事もあり、数ヶ月ぶりに都電荒川線に乗車して来ました。

都電荒川線はかつて隆盛を誇った都電の中が次々と廃止されていく中で、専用軌道(路面上を走る区間を併用軌道と称しますが、その逆で電車専用の区間の事)が大半を占めていた事も幸いして現在まで生き延びた唯一の路線で、東京の都心部を走る路面電車という点でも希少な存在となっています。

路面電車といえばLRTと呼ばれる最新の都市交通機関も注目されていますが、日本国内、それも特に東京では今でも「過去の交通機関」「懐かしさ」といった印象を持つ方が多いのが現状で、郷愁を求めて観光も兼ねて乗車するケースが非常に多く見られます。

これは都電荒川線の沿線が下町然としたエリアという事もありますが、荒川線自体がホーム嵩上げという路面電車では異色の方法で完全なバリアフリーを実現しているものの、使用車両自体は近年日本国内の路面電車でも導入事例が相次いでいる最新の低床車両(荒川線で低床車は必要ありませんが…)とは程遠い旧型の改装車が殆どを占めており、この様な車両が大きな走行音を奏でながら走る状況が、郷愁を求めて乗車する交通機関となる大きな要因を占めているのは確かです。

この様な状況は郷愁を求めて乗車する分には良いのですが、やはり都市交通機関としては決して望ましいとはいえませんので、新型車導入による車両代替などでサービス面での改善が必要となる訳ですが、荒川線では今年春に9000形と呼ばれる新型車両が走り始めていまして、現在はまだ1両だけの存在ですが、今後の増備も計画されています。

MAKIKYUは最近荒川線を利用する機会が極めて少なく、まして1両のみの車両ともなれば、乗車する機会そのものがなかなかありませんが、数日前に荒川線を利用した際には、数本待てば9000形がやって来る状況でしたので、絶好の機会という事でこの新型車両に乗車して来ました。

9000形の特徴としては、荒川線は先述の通りホーム嵩上げが行われている事もあって、低床車とする必要がない事から、路面電車における近年の純新車(路面電車では下回りを旧型から転用し、車体のみを新造する事例が数多くあります)にしては珍しく、他の荒川線現存各車両と同様に高床車となっているのが大きな特徴ですが、この構造ですとデッドスペースは生じないですし、ステップなしでも車内に段差がない点は大いに評価できるものです。

外観や内装をレトロ調にしている事も大きな特徴で、2重屋根や独特な窓形状の外観、それに従来車両とは大きく異なる塗装は目を引きますし、内装も木材や木目を多用し、照明も黄色味を帯びた間接照明となっていて天井の構造も独特ですので、なかなか独自色が強く高級感も感じられ、近年質素で没個性的な車両が増えている首都圏においては、かなり好感が持てる車両では…と感じます。

座席はロングシートが主体ですが、一部を一方向きのクロスシートとしているのが特徴で、乗客層を考慮してか、最近の車両にしては詰め物の材質が比較的軟らかめな感じがしますが、クロスシートは乗車時間の割合短い荒川線においては余り問題ない事とはいえ足元がかなり狭く感じられますので、この部分の座席はどちらかというと小柄な方向けという感じがします。

また古風な感が漂う部分もある一方で、座席間にポールが立っていたり、つり革は優先席付近をオレンジ色で区分してその他の部分も一部の高さを低くするなど、バリアフリーを考慮した点や、下回りはレトロな外観と裏腹に最新型のVVVFインバーター制御を採用し、非常に静かで快適な乗り心地を誇る点は、やはり現代の最新型車両であると感じさせられますが、最新型の路面電車にしては珍しく、運転台が2ハンドルとなっている点も特徴的です。

快適過ぎる乗り心地は、旧型群の大きな走行音や振動に比べると少々物足りない感があります(こんな事を考えるMAKIKYUの様な人間は酔狂以外の何者でもなく、一般客の立場からすれば歓迎できる話ですが…)が、サービス面での向上は明白で大いに評価できる事ですし、この新型車両9000形は一般客の注目度も絶大で、MAKIKYUが乗車した際も沿線でこの車両が走る姿を見て、カメラを向ける人々が後を絶たないのは印象的でした。

9000形は評判もかなり良い様ですし、荒川線の路線特性にも見合った車両かと思いますので、今後の活躍にも期待すると共に、この車両の導入を機に荒川線への注目度が高まり、路線の活性化にもつながる事を願いたいもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も9000形に遭遇する機会がありましたら、是非乗車されてみては如何でしょうか?
(ちなみに9000形の運用は一部が都交通局HPで公開されていますし、それ以外でも当日の運用であれば、荒川電車営業所では電話での問い合わせにも対応していますので、事前に問い合わせてから出掛けられるのも良いかと思います)

写真は9000系の外観と車内の様子(車外から撮影)です。



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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
9000形 (eoskiss)
2007-10-17 09:51:27
機会があれば是非とも乗ってみたいと思っています。大阪にも路面電車(阪堺)が有り、低床型も入っていませんが、ホームのかさ上げがされていないのが現状ですね。
また、LTR導入の件もあり阪堺がどのような方向に進むのか気になるところです。
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評判は上々のようで (入間川の旅人)
2007-10-17 23:25:11
こんばんは。
この車両、まだ乗っていないのですが、評判はいいみたいですね。近頃の首都圏の車両の流れに逆行するような車内設備は、とても評価できると思います。
ただ、9000形以外のレトロ車両にもいえることですが、車体塗装の金帯は無くてもいいのでは?と思ってしまいます(あくまで個人的な感想ですが…)この9000形は、車両自体とてもよくできているので、尚更そう思ってしまいます。
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コメントありがとうございます (MAKIKYU)
2007-10-18 14:59:27
皆様こんにちは、コメントありがとうございます。

>eoskiss様
阪堺は割合専用軌道区間が多い路面電車とはいえ、荒川線に比べればホームの高床化には障害が大きいかと思いますし、将来的には堺市内にLRTが導入されると言われていますので、その際は従来路線もどの様に変貌を遂げていくのか注目ですね。

また荒川線の9000形は現在まだ1両ですが、今後の増備予定もあり、そうなれば今よりは乗り易くなるかと思いますので、今後の更なる増備にも期待したい所です。

>入間川の旅人様
この車両は外観や内装などにかなりのこだわりが感じられ、出来栄えもなかなか良いですが、鉄道ファンだけでなく一般客からの注目度が高い点も、大いに評価できるかと思います。
また飾りの金帯は確かにご指摘の通りこの車両に限らず、江ノ島電鉄の10系や最近塗装変更された1000系、熊本・嵐電のレトロ調電車や依然「MAKIKYUのページ」で取り上げた事がある南阿蘇鉄道の気動車などをはじめ、各地のレトロ調車両ではよく見られますね。

レトロ=金枠という感がありますが、これは好みが大きく分かれる所ですが、鉄道ファンだけでなく一般客への注目度を高めるためには、これがあった方が良いのかもしれません。
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コメントが遅れましたが・・ (きよぴ)
2007-10-31 02:21:38
荒川線の高床ホームは香港新界のLRTを思い出しますね。2両連結ならなお嬉しいところですが・・。
改装された熊野前の電停も降りてみましたが、新しいホームがまた香港を思い出す・・という感じでした。

快適な9000型の増備に期待したいところですが代替で消滅する在来車にも今のうち乗っておきたいところです。特に7500型の大塚駅前行きの行き先幕はまだ撮影していないので・・(^^;;
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確かに専用軌道&高床ホームは… (MAKIKYU)
2007-10-31 12:13:03
きよぴ様こんにちは。

高床式ホームに殆どが専用軌道という形態は、路面電車にしては異色の部類に入り、確かに香港の新界西部を走るKCR軽軌を思わせるものがありますね。

ただ荒川線は前乗り・中降りで運転台や乗降ドアも両側についているのに対し、彼の地の軽軌は片運転台でドアも片側にしかなく終端駅にループ線を設置、各ドアから乗降可能なシステムを導入して抜き打ちで検札を行うなど、随分割り切った部分もあり、2両連結運転や複雑な運行経路なども興味深いものです。

また9000形は評判も上々で増備にも期待したい反面、乗車していると余りに静かで快適過ぎ、あっけない気もしますので、個人的にはコスト削減も兼ねて在来車の車体更新でレトロ電車でも出て来れば…と思っています。
(ただ7000・7500形の現存車両は、既に全て車体更新車ですが…)
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