豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

“メグレ警視 聖歌隊の少年”

2008年06月14日 | テレビ&ポップス
 
 夕方、散歩に出かけて、“TSUTAYA”に立ち寄った。

 すると、「第2、第4金曜日は、ツタヤWカード会員は料金半額!!」という看板がカウンターに立ててあった。きょう入会しても半額になると書いてあったので、このツタヤWカード会員なるものに申し込んでしまった。
 カードが増えすぎて持ち歩きにも困っているのだが、一般の会員だと更新料が必要なのに、このWカードとやらなら、入会金も年会費も更新料も一切無料だという。
 先日も、ヤマダ電機で何とかカードの会員になれば、通常なら1%しかつかないポイントが10%つくといわれて、ついついその何とかカードを作ってしまったばかりである。6万円のものを買ったので、600円か6000円かでは大きな違いである。

 そして、TVドラマのコーナーから、“メグレ警部”ものを3本借りてきた。ツタヤの棚には、メグレ警部ものが30本近く並んでいたが、原作を読んだもののうち、その雰囲気を映像で味わってみたいものを選んだ。

 さっそく、その中から“メグレ警視と聖歌隊の少年”を見た。

 DVDのラベルには“メグレ警視 聖歌隊少年の証言”という邦題が印刷されているが、原題は、“Maigret et l'enfant de choeur”である。かつて読んだ原作(もちろん邦訳でだが)も、原題のままだったように記憶する。
 原作が何に収録されていたのか思い出せず、わが本棚に並んだメグレ警部ものや、長島良三『メグレ警視』(読売新聞社、1978年)や、長島良三編『名探偵読本2 メグレ警視』(パシフィカ、1978年)を調べたが、見つからなかった。

 しかし、間違いなく原作を読んだ記憶がある。
 少年時代のメグレが聖歌隊のために教会へ向かう冬の寒い朝の記憶と、聖歌隊の少年の証言の真偽が問題となる現在の事件とが交錯するという、筋立てもそのとおりだった。
 ただし、原作では、冬の暗くて寒い朝の光景が印象に残っているのだが、今回のテレビ・ドラマ版では、季節は真冬ではないようで、朝の寒さや街のほの暗さはそれほど印象的ではなかった。
 そのかわり、ユトリロの絵のような郊外の街並みが印象的だった。

 その街を路面電車が走っているのもいい。
 しかも、事件を目撃した少年を相手に、自分の思い出話をするメグレが、「子どもの頃、路面電車にコインを轢かせて遊んだ」と語っていた。
 その昔、玉電の沿線に住んでいた世田谷区の子供たちと同じ悪戯を、1910年頃のフランスの子供もしていたことを知って、共犯者として嬉しくなった。
 ぼくとメグレ警部(シムノン?)との唯一の共通点かもしれない。

 時代も何年頃に設定されているのかわからなかったが、かなり旧型のシトロエンのパトカーが登場したり、幌つきのオープンカーなどが背景に走っていたりして、クルマ・マニアなら、何年頃の話なのか分かるだろう。ぼくには分からないが。

 * 写真は、“メグレ警視 聖歌隊少年の証言”のDVDから。

 追記 
 “メグレと聖歌隊少年の証言”の原作を読んだ記憶があると書いた。あれこれと探してみると、『サン・フィアクル殺人事件』(創元推理文庫、1960年[L'affaire Sant-Fiacre])のなかの一章に「合唱隊の少年」というのがあり、このなかに、メグレ自身が、少年時代の冬の朝に寒さの中を教会に向かう光景が描かれていた。

 しかし、ストーリーはDVDの“聖歌隊少年の証言”とはまったく別物であった。このフランスのテレビ・ドラマの“メグレ警視”シリーズの冒頭のタイトルには、“d'apres la nouvell de George Simenon”とだけあった。
 例えば“運河の秘密”には、“d'apres le roman ; Le charretier de la Providence de George Simenon”とあるところを見ると、この“聖歌隊の少年”は、原作を著しく翻案しているので、「シムノンの~から」とは書けないのだろう。

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