“メグレ警視 運河の秘密”のついでに、メグレ警部もののうち、運河が登場する作品の原作(翻訳)本、第2弾。
ジョルジュ・シムノン/大久保輝臣訳『13の秘密』(創元推理文庫、1963年)。『13の秘密』のなかの1章も「14号水門」と題されていて、運河にまつわるエピソードだが、さらにこの文庫に収録された「第1号水門」という短編も、「運河」ものである。
もともと、メグレ警部ものは、初期の小説が売れたシムノンが、ヨットを購入して航海中に、どこかの運河で足止めを食った折に、近くに繋留してあった破船のなかで執筆したのが、第1作だったらしい。たしか、先日借りたDVDのどれかのおまけについていた《メグレ警視》にまつわるエピソード紹介のなかで、そんなことが書いてあったような気がする。
そういう意味では、モンマルトルではなく、運河こそメグレの故郷ともいえそうである。
ちなみに、1975年頃に買ったこの文庫の巻末の目録にはシムノンの作品として、『ゲー・ムーランの踊り子』というのも載っている。
当時は「踊り子」なんてものに興味がなかったので、買わないままにしているうちに、品切れとなってしまった。
* 写真は、ジョルジュ・シムノン/訳『13の秘密』(創元推理文庫、19年)の表紙。