8月14日(金)、軽井沢3日目。
きょうの勉強は、前田正一編『医療事故初期対応』(医学書院、2008年)。
帯に、「医療事故はゼロにはできないが、医療紛争はゼロにできる!」とある。
夜、風呂上りに、ゲーリー・クーパー、イングリッド・バーグマン主演“誰がために鐘は鳴る”(1943年)を見はじめた。
長すぎる! ケースの解説によると、何と159分もある。翌朝と2回に分けて見た。
スペイン市民戦争を背景としているのに、早い段階でゲーリー・クーパーとイングリッド・バーグマンとのラブ・ロマンスになってしまう。それも、美男と美女が出会った瞬間に恋に落ちるだけである。
前にも1、2回見たはずなのだが、あの怪しげな白眼をしたパブロがフランコ側に寝返るのかどうかが記憶になかった。
そのために、かえってサスペンスものとして見ることができた。
1943年製作、しかも戦争映画だというのに、画面が美しすぎる。リメイクしたのだろうか?
ゲ-リー・クーパーとイングリッド・バーグマンがデートをする山の光景など、真っ青な空のもと、太陽を浴びて新雪が輝いている。
とても戦争映画のシーンではない。“白銀は招くよ”ではないが、トニー・ザイラーが滑り降りてきそうな雰囲気である。
戦時中にも関わらず、“風と共に去りぬ”だの、この“誰がために鐘は鳴る”だのを作ることができたアメリカに勝てるわけがないだろう、と誰も思わなかったのだろうか。
原作も遠い昔に読んだ。
高校生の頃に、確か河出書房から『カラー版 世界文学全集』というシリーズが出ていて、その中にヘミングウェーの『誰がために鐘は鳴る』も入っていた。
『カラー版』というのは、本文中に何枚かカラーの挿絵が入っているのである。さらに、別冊付録として全集の栞がついていて、この中にも、猟銃を手にしたヘミングウェーの狩猟服姿の写真と一緒に、ゲイリー・クーパーとイングリッド・バーグマンのスチールが載っていたように思う。
ただし、今に至るまで覚えているのは、巻頭に引用されていたジョン・ダンの、
「・・・/人は皆 大陸(くが)の一塊(ひとくれ)/・・・/されば 問うなかれ/誰が(たが)ために鐘は鳴るやと/其(そ)は 汝がために鳴るなれば」
という詩の一部だけである(記憶で書いているので原文には忠実でないかも・・・)。
社会の一員に対してそんな気持ちになれたらいいだろうが、とてもそんな気にはなれないと思った。
映画のなかのゲーリー・クーパーも、最後は、「マリア(イングリッド・バーグマン)の中に自分は生きつづける」といった台詞を吐いている。
その程度なら、ありうるだろう。
* 写真は、ゲーリー・クーパー/イングリッド・バーグマン主演“誰がために鐘は鳴る”(Keep、“水野晴郎のDVDで観る世界名作映画”)のケース。