8月13日 軽井沢、夜。
フランク・キュプラ監督“我が家の楽園”(1938年)を観た。
工場建設のために住宅街を地上げする会社経営者の息子(ジェームス・スチュアート)と、立ち退きを拒否している一家の娘(ジーン・アーサー)とのアメリカ版ロメオとジュリエット。
アメリカ人の好きないわゆる“Heart Warming Story”ものと期待したのだが、経営者夫婦が娘の家を訪ねるシーンなど、ただのスラップ・スティックにすぎなかった。
アメリカ人はあんなものが好きなのだろうか?
ラスト・シーンも、あまりにも単純な「和解」である。
しかも、ケース・カバーの写真は、立ち退きを拒否する一家の主人と立ち退きを迫っていた経営者とがハーモニカを吹きながら握手しているシーンと、ジェームス・スチュアートとジーン・アーサーが笑顔で抱き合うシーン。
これでは、結末がどうなるのだろうかというスリルも味わいようがない。
原題は“You Can’t Take it with You”となっている。どんな意味なのだろうか。会社経営者が金儲けに奔走し、友人まで倒産に追いやっているようでは手に入れることができないものがある、というようなことか・・・。
“我等の生涯の最良の年”や“素晴らしき哉、人生”などのような爽やかな読後感は得られなかった。
* 写真は、フランク・キュプラ監督“我が家の楽園”のケース・カバー(Keep、“水野晴郎のDVDで観る世界名作映画”)。