豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

「風と共に去りぬ」「会議は踊る」ほか

2023年09月06日 | 映画
 
 『ある陪審員の四日間』を読みながら、久しぶりにレコードを聴いた。

 映画音楽の主題歌を集めたアルバムで、1枚は「想い出の映画音楽のすべて--Immortal Movie Themes」(CBS SONY SOPV-71~72 )発売年は不明(上の写真)。
 「禁じられた遊び」「マルセリーノの歌」「鉄道員」「ムーランルージュの歌」「第三の男」「太陽がいっぱい」「テリーのテーマ」(「ライムライト」の主題歌だった)「真夜中のブルース」「タラのテーマ」「エデンの東」「夏の日の恋」「ムーンリバー」「慕情」「魅惑のワルツ」など、懐かしい曲ばかりが、2枚組LPに24曲収録されている。
 1曲2~3分なので、10分ちょっとおきにレコードを裏返さなければならないのがつらいけど、久しぶりに聞いたのでどの曲も懐かしい。「禁じられた遊び」など何年ぶりで聞いたのだろうか。今ウクライナで起こっていることと同じではないか!

   

 見開きのジャケットには、収録された映画の解説と、スチール写真が何枚か載っている(上の写真)。ぼくがホセ・ファーラーをロートレックだと思い込んだ「赤い風車」のショットもある。


     

 もう1枚は、「想い出の亜米利加・欧羅巴映画音楽ベスト20」(TEITIKU BL-1166~7)。こちらも製作、発売年は不明(上の写真)。
 「想い出」も「亜米利加」「欧羅巴」もわざとらしい印象だが、収録された映画の年代からして、許すことにしよう。
 「巴里の空の下」「ただ一度の」(「会議は踊る」の主題歌)「巴里祭」「自由を我等に」など1920~30年代に公開された映画ばかりで、ぼくが見た映画はほとんどない。
 ただ、リリアン・ハーヴェイが歌う「ただ一度の」にだけは思い出がある。

 このレコードだったか、ラジオからこの曲が流れるのを聞いた今は亡き叔父が、旧制高校時代に「ドイツ語の勉強」と称して「会議は踊る」を見に行ったという思い出を語っていたのである。
 叔父の通った高校は7年制の旧制東京府立高校で、ぼくの学んだ東京都立大学の前身の学校である。叔父はこの学校のぼくの先輩ということになるが、ぼくが入学した1969年当時も、学校は旧制時代と同じ目黒の柿の木坂にあり、A棟と呼ばれた3階建ての校舎は旧制高校当時のままだった。
 ぼくが大学1年の時に、英語を担当した笠井先生という老先生がおられたが、この先生は叔父が旧制高校に入学した年に新しく着任したばかりの先生だったという。

 笠井先生の授業は1時間目だったが、始業時間ぎりぎりの朝9時近くに都立大学駅を降りたぼくは、遅刻の名人だったが、柿の木坂で前をゆっくりとした歩調で登って行く笠井先生を見つけて追い越すと、安心して速度を落として教室へ向かったものだった。
 笠井先生は、ぼくが1年か2年の時に定年で退職された。
 このレコードのジャケット裏には、リリアン・ハーヴェイの写真も載っていた。
 映画「会議は踊る」の解説には、1931年の製作だが、日本公開は3年後の昭和9年1月、帝劇ほかで上映とある。大正9年生まれの叔父が7年制旧制高校に在籍したのは、12歳の昭和7年か8年から7年間だから、年代はあっている。
 ※ 叔父と笠井先生の思い出を書きながら、この話は前にもこのコラムに書きこんだ気がしてきた。2006年以来15年以上書いてきたので、過去に何を書き、何は書いてないのかの記憶も怪しくなってきた。

 そして「亜米利加・欧羅巴映画音楽・・・」の解説には、この「ただ一度の」は、「ポルカ風リズムの軽快な魅力あるメロディーは世界のすみずみまで歌われました」とある(南葉二解説)。
 その「世界のすみずみ」の1つが、昭和12~3年頃の柿の木坂の旧制東京府立高校だったのだろう。
 ぼくが大学に入学したのは昭和44年(1969年)だから、叔父が学んでいた頃から30年しか経っていなかったのだ。それに対して、ぼくが大学を卒業してから来年でもう50年になる。ぼくの歴史の遠近法では、前者の30年のほうがよっぽど長く、その後の50年はあっという間だった気がする。

 そう言えば、小津安二郎の「秋刀魚の味」や「秋日和」などの挿入歌も、「ただ一度の」を思わせる陽気なポルカ風の曲が多かったように思う。
 小津も洋画ファンだったから、リリアン・ハーヴェイも聞いただろう。

 2023年9月6日 記
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