気ままに

大船での気ままな生活日誌

神田藪で憩う

2006-11-02 18:18:44 | Weblog
虎ノ門での用事が済んで、お昼は、久しぶりに神田須田町の神田藪蕎麦にしました。お店に入ると、「いらっしゃ~~い」と、大奥の「上様、おなりぃ~」みたいな調子の、語尾を長~くした、女の人の声が、迎えてくれました。いつも満員で、席待ちの小部屋で待つことが多いのですが、今日は、平日の午後1時過ぎということもあって、いくつか席が空いていました。座敷席の一番奥の隅の席に陣取りました。全体を見渡せる最高の席です。居酒屋でもカウンターの一番奥の席は、だいたい通が座ります。

こういう落ち着ける席に座ると、ゆっくりしたくなります。と言うことは、お酒をいただくということです。もともと、昔から、お蕎麦屋さんはお酒を飲むところなのです。若くして亡くなりましたが、蕎麦通の杉浦日向子さんは、蕎麦屋で昼酒して、そのあと、ほろ酔い加減で街をぶらつくのが、最高の贅沢だと言っておられました。私もその気持ちがよく分かりま~す。

熱燗1本と、つまみは、焼き海苔と板わさを頼みました。おちょう~し、いーぽ~ん、やきのり~、・・と、厨房に伝える、通し声が心地よく聞こえてきます。菊正とそば味噌がすぐにきました。ちびちび始めていると炭火焼きの焼き海苔がきました。昔から、蕎麦屋のつまみの定番ですが、私がこれを頼むようになったのは最近のことです。結構、お酒に合いますよ。

ひとりで、話し相手もいないので、ぐるりと回りを見渡し、お客さんウオッチングです。平日ということもあって、仕事関係のグループが多いです。

私の横には黒っぽいスーツを着た、キャリアウーマンらしい3人組が、暖かいそばを食べながら、なにやら、ひしひそ話をしていました。ひとりの人が、こんど来た人ダメね、服装が派手だし、言葉使いもなってないわね、と言っているのが聞こえました。話し相手の、深津絵里似の女性はいかにもそうね、と言った顔でうなずいていましたが、もう一人の「芋たこなんきん」の主役に似ている人は、一応うなずいていますが、目を見ると、何つまらないことを言って、という目でした。目は口ほどに物を言います。

その向こう側の席では、20代のサラリーマンが二人で飲んでいました。一人が聞き役専門で、もうひとりが、酔った顔をして、とうとうと偉そうなことをしゃべり続けていました。聞き役は冷静で、時計をみながら、そろそろ出ようかと言って、立ち上がりました。聞き役の方が偉くなると思いました。

さすが、日本を代表するお蕎麦屋さんです。外国人も何組かいます。韓国語をしゃべっているカップルも近くにいました。韓国語だということぐらい分かります。ワイフの好きな、テレビの韓ドラの韓国語がよく私の耳に入るからです。ワイフは、現役時代はテレビではニュースしか見なかったのですが、仕事を止めてからは、韓ドラにすっかり、はまってしまいました。冬ソナなんか、いろいろのテレビ局を渡り歩いて、3巡目です。それに、題名が春夏秋冬シリーズとかいうのがあって、それも全部見ています。友達の元キャリアウーマンも好きらしく、電話で盛り上がっています。身体は重めになりましたが、頭は軽めになったようです。

つまみがなくなってきましたので、セイロ1枚とお酒をもう1本頼みます。せーろーいちま~い・・の声が響き渡ります。この美声がBGMのように、時々流れてきて、何とも優雅な雰囲気を醸し出しています。広々としたお座敷、そして庭木や笹の緑も、ゆったりした気分にさせてくれます。お蕎麦も日本酒のつまみになります。フランスパンとワインの関係と似ていますね。おいしいお蕎麦をすすり、お酒を楽しみ、のどかな、贅沢な午後が過ぎていきます。

ありがとうぞんじま~す の声に送られ、お店を出ます。この辺り一帯は、戦災に遭わず、多くの老舗がむかしのまま残っていて、ぶらぶら散歩も楽しいです。鳥料理のぼたん、あんこうの伊勢源、洋食の松栄亭、蕎麦の松屋、汁粉屋の竹むら等が狭い三角地帯に軒を並べています。味のトライアングルですね。

ほろ酔い加減で、次の目的地、上野の国立博物館に向かいました。


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夕方に、幻想的な光と邦楽の音色に包まれた、国立博物館を訪れました。「光彩時空」と題し、雪、月、花、時空をテーマに本館、平成館、東洋館などがライトアップされ、箏曲のライブ演奏もありました。構内の木々も赤くライトアップされ、まるで紅葉をみるようでした。本物の月も良かったですよ。人工の紅葉の向こうの夜空に、少しふくらんだ(ワイフのような)半月が、私を忘れないでねと、こうこうと輝いていました。
コメント
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