気ままに

大船での気ままな生活日誌

保土ヶ谷宿を歩く

2006-11-07 15:14:12 | Weblog
川崎の実家で、母と昼食を楽しんだ後、横須賀線で大船に向かいました。横浜を過ぎた頃、急に、旧東海道保土ヶ谷宿のあたりを歩きたくなりました。

昨日、大磯宿場まつりをみて、その数日前には藤沢宿あたりを散策しています。また、江戸時代、日本橋を出発した旅人は通常、戸塚宿を最初の宿にするが、女性や身体が弱い人は、その手前の保土ヶ谷宿に泊まると、ある講義で聴いたばかりでした。そんなこんなで、保土ヶ谷駅で降りてしまいました。自由気ままな行動を好む私には、何処ででも降りれる、スイカはとても役だっています。

もちろん予備知識ゼロです。それに、保土ヶ谷駅は何十年も前に友人と中学時代の先生を訪ねて以来、一度も降りたことはありません。出口の方面案内の地名に見覚えのあるのが、ありました。権太坂(ごんたざか)です。お正月の箱根駅伝でよく耳にする坂道です、ということは東海道はこちらということです。とにかく、そちらに向かって歩きます。まるでガード下商店街のような、私好みのレトロな東口商店街を抜けていきます。

そのうち、道はY字の分かれ道になりました。左の方に坂道がありそうでしたので、そちらに進みました。2,3分歩いても、東海道らしい雰囲気は出てきません。すぐ引き返しました(私はそういう嗅覚はするどいのです)。分岐点に戻り、右側の道に入ったとたん、本陣跡の案内板を見つけました。この通りが旧東海道だったのです。地図のない旅、いいですね。ちょっとした、こんな発見でも、死ぬほど(うそです)嬉しいです。

1601年に小田原北条ゆかりの軽部家が本陣になったそうです。なんと現在もこの地に、子孫の軽部氏が住んでおられます。すごいです。通用門はそのままだそうで、往時の雰囲気が出ています。ここを皮切りに旅籠屋が続いていたはずですが、それに代わって、現在はマンションがいくつも建っています。現代の旅籠屋、ビジネスホテルはどこにもありません。

歩みを進めると、今度は、脇本陣藤屋跡の案内板が現れます。本陣に次ぐ格で、この宿場に2つあるようです。現在は、ペコちゃんのフジヤ営業所になっています(うそです)。建坪が119坪、部屋数が14室、間口が6間半(11.8m)、奥行きが 32.7m だったそうです。私が京都の定宿にしている老舗和風旅館、俵屋ぐらいでしょうか(また、うそです)。

さらに行くと、見逃してしまいそうな、目立たない銅板の案内図があります。見えにくい文字ですが、重要な情報が記されていました。当時の東海道筋に並ぶ、旅籠屋の名前、位置、それに建物の外見まで描かれているのです。本陣から始まり、薪屋、沼津屋、尾張屋、脇本陣藤屋・・・・という具合に続きます。旅籠屋が69軒、茶屋が33軒あったそうです。

想像力のたくましい私には、これだけの情報があれば十分です。マンション群はみな、1階が大戸、蔀、2階は全面出格子の表構えの旅籠屋に変わっています。かばんを持って歩いている背広姿のビジネスマンは、合羽からげて三度笠の旅人です。スーパーの袋を下げて歩いてくる主婦は旅籠屋の飯盛り女です。若づくりで、厚化粧の中年三人組は花魁(おいらん)道中です。タクシーは早駕籠、トラックは牛車です。しばらく、ぼーっと、白日夢をみていました。

また、気を取り直して、歩きはじめます。脇本陣の水屋跡地の案内がでてきました。ここは、現在消防署になっています。水と消防ですか、うまくなっていますね(これは本当です)。その先の、旅籠屋本金子跡地の横道を入ると、今井川という小さな川が流れていて、周辺は静かな住宅地になっていました。向こう側は小高い丘になっていて、見晴らしのよさそうなマンションが建っています。また、白日夢をみます。川の両側には、茶屋が並んでいます。保土ヶ谷出身の原節子似の女旅芸人が腰掛け、(ワイフの好きな)栗羊羹を食べながらお茶を飲んでいます。あちらでは、やはり保土ヶ谷出身のおすぎとぴーこ似のふたりの岡っ引きが、(私の好きな)さんまの塩焼きをさかなに昼酒を楽しんでいます・・・・

外川神社近くの上方見附(京都方面からの宿場の入り口という意味)跡地まで歩き、Uターンしました。途中で大きなお寺がありましたので、飯盛り女のお墓があるかどうか、裏の広い墓地をしっかり調査したのですが、とうとう見つかりませんでした。藤沢宿のようなのは特別なのでしょうか。

保土ヶ谷宿の旧東海道に松並木を再生させようというプロジェクトが立ち上がっているそうです(ポスターを見ました)。是非実現させてください。そのとき、また訪れ、今日以上の、すばらしい白日夢をみたいと思います。








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