気ままに

大船での気ままな生活日誌

雪見の露天風呂 鷹の湯

2006-12-08 12:16:30 | Weblog
県境の長いトンネルを抜けると雪国であった、どこかで聞いたフレーズですね。でも本当なのです。正確にいうとこうです。東北新幹線の古川駅から、私達の「秘湯を巡る旅」のグループを乗せたマイクロバスは、鳴子温泉を横にみて、いくつものトンネルを越えて、最後の長いトンネルに入ります。その途中に、宮城県と秋田県の県境の標識がみえました。そのトンネルを抜けると、それまでも雪景色だったのですが、急に積雪量が目立ち、いかにも雪国という感じになったのです。

鷹の湯温泉は、秋田県の秋の宮温泉郷に位置する、渓流沿いの一軒宿で、何と1200年の歴史があります。行基上人が発見し、その後、鷹がこの湯で傷を癒していたという伝説から鷹ノ湯と呼ばれるようになりました。明治18年に、小山田さんが温泉宿をつくり、現在まで続いている秘湯なのです。

3時すぎに旅館に着き、私は、真っ先に、川辺りの野天風呂を目指しました。雪道で足下のこともあるし、明るいうちが良いと思ったのです。一応、混浴ですが、女性は勇気がいるようなところです。ワイフは別の女性専用露天風呂に向かいました。

誰もいませんでした。川岸の砂利を掘って岩で囲いをした、野趣あふれる野天風呂です。簡易な脱衣所で裸になり、そこの温泉に入ります。ちょうどいい温度です。筒から、どくどくと熱い湯が流れ込んでいます。落ち葉がひっかりましたが、足を思いきっり伸ばし、前の景色を眺めます。瀬音ゆかしきといった感じの渓流が目の前を流れます。滝の音も快く響きます。そして、なによりも、素晴らしい雪景色に圧倒されます。渓谷になっていますので、雪をたっぷり、のせて思いっきりお化粧した木々たちが、覆い被さるように、私ひとりのお客にサービスしてくれます。こんな雪景色の中で野天風呂に入った経験は初めてです。長く生きてきましたが、いろいろ知らない世界があるのですね。

早朝は、旅館に隣接した露天風呂に入りました。ここからも、息を飲む景観が広がっています。その夜、雪が降りましたので、その新雪が、一層、渓谷の木々たちの美貌にみがきをかけます。そして、何と、私の好きな、月が、それも満月が西の空にくっきりとその姿をみせてくれました。早朝の月ですから、白っぽい、謙虚な月です。しばらく、日本の美の代表、雪と月を交互にみて、透明な、無味の水のような、温泉を口に含んだりして楽しんでいました。五感で楽しみました。そのときも、お風呂は、偶然、私ひとりでした。月は私が立ち去る頃、役目は済んだわ、とばかり雲に隠れました。可愛いもんですね。

そして、私達は次の秘湯、鶴の湯に向かったのでした。


コメント
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