毎年、梅の季節には、熱海梅園、熱海桜とセットでMOA美術館に行く。今年は梅の開花が遅れ、ようやく2月末に出掛けてきた。梅の季節のお目当てといえば、もちろん光琳の代表作、国宝、”紅白梅図屏風”。これは、これまで、門外不出だったが、この3月6日から東日本大震災の被災地支援のために仙台市博物館に貸し出されるという。とてもいいことだ。もともと、青森県の津軽家に伝来したものだそうだから、東北へお里帰りといったところだろうか。
今年の”紅白梅図屏風”はいつもとはちょっとばかり違った目でみられている。それは、最近の科学調査の結果がNHKで放映されたからだ。”紅白梅図”の全体の背景となっている金地は、金泥ではなく、金箔であり、中央の水流全体は銀箔(流れの模様は覆い、その他を硫黄で黒化させる)であることが分かったというのである。それに関しての展示もあり、森山知己画伯による原寸大の再現”紅白梅図”も飾ってある。別室だが入り口で両方、比べて観られるので面白い。やっぱりオリジナルの方がずっと良い。再現画では川の流れの部分が白(銀色)のままなので、つよすぎ、梅の影がうすくなる。
この研究結果は専門家の間で議論を呼んでいるらしい。2004年に東京文化財研究所は、それまでの金地は金箔という説を、”科学調査”により”金泥説”の新説を発表しているから、今回の”新事実”は、また元に戻っただけのことなのである。
さて、そんなことは、ぼくのような素人鑑賞者にはどうでもいいこと。自分流に楽しめばよい。屏風の右隻の紅梅がイナバウワーの人の姿にみえる(笑)。光琳梅もいいし、枝のウメノキゴケがかわゆい。水流はこれ以上、ないという構図と、うづまき模様。今年も観られてハッピー。
そしてMOAの宝物はこれだけに限らない、野々村仁清の色絵藤花文茶壷、抱一の雪月花図。そして光悦、宗達の名コンビ作品が5点も。宗達、光琳のほかの作品も展示室1、2にずらりと並んでいる。展示室3が前述の”紅白梅図”で、展示室4には中国絵画が。牧谿が二点、銭選も2点。樹下美人図、白衣観音図もうるわしい。そして、ここには又兵衛さんの柿本人麻呂・紀貫之図や自画像など4点も。岩佐又兵衛コレクションといえばMOA。次回から岩佐又兵衛の絵巻物シリーズがはじまります。山中常盤物語絵巻の展示もあるというので、楽しみだ。とくにあの場面(汗)。
海北友松の”楼閣山水図”も良かったし、書の好きな人なら展示室7,8に重要文化財クラスがずらり。いつきてもMOAはすばらしい。仙台展にも行こうかな。
岩佐又兵衛の絵巻物シリーズがつづく。熱海で、いっぱいが増えそうだ(汗)。