高砂緑地の奥にある茅ヶ崎美術館。ここで岡耕介展が開催されていた。ぼくには馴染みのない画家だったが、会場に入ったとたん、これは楽しめるぞとごきげんになった。まるで、シャガールのような、マチスのような、鮮やかな色彩の絵がずらりと並ぶ。楽しい絵ばかりだ。途中のベンチに図録が置いてあり、その中に岡耕介の言葉が載っていて、その文章も気に入った。
ぼくはギャンブラーではないが、人生そのものものがギャンブルだ、なんて言うつもりもないが、小学校3,4年の頃、絵描きになりたいと思ったのが振出しで、そのあと、行き当たりばったりのサイコロ人生だったと思う、というようなことを述べている。1948年鶴見で生まれ、68年に多摩美に入ったが中退し、装幀などの仕事をし、佐藤愛子の最初の著作”愛子(1962)”の表紙絵を描いたりした。1978年にはスペインに旅したが、絵の勉強ではなく、ガルシア・ロルカの詩を原語で読みたいための語学研修旅行だったという。1981年、茅ヶ崎に来てから、本格的な画業に入ったようだ。
人生が行き当たりばったりなのと同様、絵を描くのも、自由気まま、どんな絵になるか最後まで分からないそうだ。マチスの言う、ひとときの疲れを癒す肘掛椅子のような絵を目指しているようだ。
137点の作品が三会場にわたって展示されている。とても楽しい展覧会でしたよ。