東京都美術館でゴッホ展を見たあと、その半券があれば無料という展覧会を見てきた。写実主義の絵画展ということで、あまり期待をしていなかった。以前、上野でそういう展覧会を見たが、どこが写実かという絵画ばかりでちょっとがっかりしたことがある。しかし、この”REALISM現代の写実/映像を越えて”は、まさに写真のような写実を基本にした絵画で十分、楽しめた。おまけに写真撮影可能だったしね。
塩谷 亮 人物画が中心。現実的で、同時に非現実的。なおかつ全体の絵画としての統一感も保たれていて、鑑賞者は絵の前である意味呆然としてしまうという解説があったが、呆然とはせず、そのうまさに、ただただ感心するのみ。




小森隼人 静物画を中心にして一貫して事物の実在感と絵画の完成度を追求してきたとのこと。時間をかけて丁寧に目の前に在る一つ一つの物体の質感と量感が感じられる絵画が目標。素晴らしい質感と量感。


橋本大輔 施設や工場など建築物の廃墟を劇的に描き出し続けている。コンクリートや鉄骨など形容しがたい懐かしさと美しさをたたえているという評価。ナットク!



小田野尚之 風景のなかに記憶、叙情、ノスタルジアを埋め込んだような濃密な絵画を描き続けている。まるで院展の作品のような感じ。大好き!



稲垣考二 女性の顔、身体、手足などのモチーフを追求し、飽くなき写実描写による強いリアリティを持つ巨大な絵画を制作し続けている。ぼくは、こういうのも好き。




蛭田美保子 数年前から食べ物をモチーフにした絵画を描き続けているとのこと。彼女は自分で食材を買い、料理をして、それらを自由に組み合わせてモチーフとして構成し、水彩で写実的に描いてから大きな油彩に仕上げていくそうだ。





佐々木里加 脳内の分析、総合の過程に注目して「脳=心」をテーマとした連作。自分の脳のMRIやCTスキャンデータを元に脳の立体モデルを作り、それを再び画像データに取り込んで、2次元と3次元を往復しながらデータを変換しつつ、脳のリアリズムを追求しているとのこと。面白い!



岩田壮平 琳派の伝統を現代に継承している画家。ダイナミックな構図と、たらし込み技法そして装飾性を取り入れた画面。赤色を基調とした色彩豊かな花々。琳派好きのぼくにはよく馴染む。



元田久治 都市のランドマークをモチーフにして、近未来の廃墟を描く版画家。元祖猿の惑星の廃虚のNWを思い出す。

シンガポール

素晴らしい展覧会でした。ゴッホ展をみたあとは是非どうぞ。千円(シニア料金)で二度、楽しめます。
