周防正行監督の作品は、10年ぐらい前の海外出張の帰りの飛行機の中で初めて観ました。「Shall we ダンス?」です。きまじめな役所広司とおかしな竹中直人の絶妙な演技に、思わず、何度も吹き出してしまいました。思い出し笑いがしばらく続いた、本当に面白い映画でした。その周防監督が、10年ぶりに映画をつくったというので藤沢の映画館に観にいきました。
「それでもボクはやってない」です。えっ、これが、「Shall we ダンス」や、「四股ふんじゃった」(これも面白かったです)の周防監督の作品?と思うほど、笑いの全くない、”暗い”映画でした。最後くらい、ハッピーエンドにと願いましたが、主人公(加瀬亮)の痴漢えん罪は晴れず、懲役3月の判決で幕を閉じます。
封切り前にはよく監督やら主演俳優が宣伝のために、テレビに出ますが、その何かの番組で、周防監督は、日本の刑事裁判はおかしい、みんなに知らせたい使命感でこの映画をつくったというようなことを述べていました。
たしかにそういう映画でした。まるでドキュメントのような、”クローズアップ現代”のような、映画らしくない映画でした。でも監督の使命は十分伝わりました。刑事裁判のいいかげんさ、というか、とくに物証の少ない痴漢えん罪の判決の困難さ、がよく分かりました。裁判に持ち込んでも、無罪を勝ち取る可能性がほとんどないという現実には驚きましたし、疑わしきは罰せずという言葉の意味の重さも再認識しました。
この映画をみて、ボクは周防監督は面白い、と思いました。次ぎの作品がとても楽しみです。周防監督を松坂投手に例えれば、”ダンス”と”四股”で、外角低めの変化球で振らせ、”それでもボクは”は、打者の胸元への強速球のボール球でのけぞらしたところだと思うのです。次ぎの作品では、何を投げて、三振させるのでしょうか、おそらく、近めを意識させたあとは、幅広いストライクゾーンで見逃し三振を狙うのではないかと思います。
どんな作品だって?びっくりするような、ジャイロボールみたいな、面白い娯楽作品だと思いますよ。私の予想では、周防監督の初めての監督作品「変態家族の兄貴の嫁さん」に近い作品になると思います。初心に帰ると言いますからね。
周防監督は小津安二郎監督を学生時代から尊敬していて、監督第一作はぜひ、小津作品のリメイクでと、「晩春」の続編をつくったのです。晩春では、原節子がお嫁入りするところで終わるのですが、この作品は、もし原節子の嫁入り先が変態家族であったら、どういうことになるかというピンク映画なのです。この映画が完成した時、周防監督は、円覚寺の小津監督のお墓に参り、どうもすみません、こんな結末にしてとお詫びしたそうです。
第一作の「変態家族」は、僅かな予算で、そしてごく短期間で完成させたそうです。著名な監督となった周防監督の次回作には、同様なテーマでも、相当の予算もつくでしょうし、じっくり時間もかけられます。役所広司や竹中直人等の大物俳優の出演もあります、若いとき、やりたかったけど出来なかったことを思い切りやるでしょう。「変態家族」のリメークでアカデミー賞総なめするような、すばらしい娯楽作品をつくって欲しいと思います。
・・・・・
藤沢にはふたつの映画館がありました。そのひとつ、藤沢オデヲン(写真)が、この3月で閉館となりました。私は映画館のデパートみたいなのより、街の小さな映画館の方がずっと好きです。散歩がてら、ちょっと映画をみたりするのは、楽しいものです。さようなら藤沢オデヲン。
「それでもボクはやってない」です。えっ、これが、「Shall we ダンス」や、「四股ふんじゃった」(これも面白かったです)の周防監督の作品?と思うほど、笑いの全くない、”暗い”映画でした。最後くらい、ハッピーエンドにと願いましたが、主人公(加瀬亮)の痴漢えん罪は晴れず、懲役3月の判決で幕を閉じます。
封切り前にはよく監督やら主演俳優が宣伝のために、テレビに出ますが、その何かの番組で、周防監督は、日本の刑事裁判はおかしい、みんなに知らせたい使命感でこの映画をつくったというようなことを述べていました。
たしかにそういう映画でした。まるでドキュメントのような、”クローズアップ現代”のような、映画らしくない映画でした。でも監督の使命は十分伝わりました。刑事裁判のいいかげんさ、というか、とくに物証の少ない痴漢えん罪の判決の困難さ、がよく分かりました。裁判に持ち込んでも、無罪を勝ち取る可能性がほとんどないという現実には驚きましたし、疑わしきは罰せずという言葉の意味の重さも再認識しました。
この映画をみて、ボクは周防監督は面白い、と思いました。次ぎの作品がとても楽しみです。周防監督を松坂投手に例えれば、”ダンス”と”四股”で、外角低めの変化球で振らせ、”それでもボクは”は、打者の胸元への強速球のボール球でのけぞらしたところだと思うのです。次ぎの作品では、何を投げて、三振させるのでしょうか、おそらく、近めを意識させたあとは、幅広いストライクゾーンで見逃し三振を狙うのではないかと思います。
どんな作品だって?びっくりするような、ジャイロボールみたいな、面白い娯楽作品だと思いますよ。私の予想では、周防監督の初めての監督作品「変態家族の兄貴の嫁さん」に近い作品になると思います。初心に帰ると言いますからね。
周防監督は小津安二郎監督を学生時代から尊敬していて、監督第一作はぜひ、小津作品のリメイクでと、「晩春」の続編をつくったのです。晩春では、原節子がお嫁入りするところで終わるのですが、この作品は、もし原節子の嫁入り先が変態家族であったら、どういうことになるかというピンク映画なのです。この映画が完成した時、周防監督は、円覚寺の小津監督のお墓に参り、どうもすみません、こんな結末にしてとお詫びしたそうです。
第一作の「変態家族」は、僅かな予算で、そしてごく短期間で完成させたそうです。著名な監督となった周防監督の次回作には、同様なテーマでも、相当の予算もつくでしょうし、じっくり時間もかけられます。役所広司や竹中直人等の大物俳優の出演もあります、若いとき、やりたかったけど出来なかったことを思い切りやるでしょう。「変態家族」のリメークでアカデミー賞総なめするような、すばらしい娯楽作品をつくって欲しいと思います。
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藤沢にはふたつの映画館がありました。そのひとつ、藤沢オデヲン(写真)が、この3月で閉館となりました。私は映画館のデパートみたいなのより、街の小さな映画館の方がずっと好きです。散歩がてら、ちょっと映画をみたりするのは、楽しいものです。さようなら藤沢オデヲン。