気ままに

大船での気ままな生活日誌

サン美で清方を賛美

2009-12-12 11:59:22 | Weblog
ぼくは、だじゃれが好きなので、へんなタイトルになっている。サントリー美術館の略称を何ていうか知らない。たぶん、サン美だろうと勝手に思って、そうした(笑)。サ美じゃ、錆びついた美術品しか所蔵していないような印象になってしまうし、サトリ美では、仏像しか置いてないと思われてしまう。で、サン美は賛美にも通じるし、いいと思ったのだ。サンピ両論あるとおもうけど、お許しねがいたい。

その、”サン美”で今、”清方ノスタルジア展”をやっている。地元、鎌倉に鏑木清方記念館があるのでよく訪ねている。でも、こうして、大きな美術館で企画され、グルーピングされた、たくさんの清方作品を観賞するのもいいものだ。明治から昭和の雰囲気、そして江戸情緒を感じさせてくれる、ノスタルジアあふれる、賛美したい作品ばかりであった。

まず、この絵”春雪”が迎えてくれる。武家の女房が夫の羽織をたたんでいる。淡い青色の小袖の色もいいし、春の花の文様も素敵だ。これは昭和21年の作品で、戦後はじめて描いたものだそうだ。戦時中は美人画はご法度で、せいぜい、勇ましい少年の姿を描くくらいがせいぜいだった。清方は、結構、反骨精神があり、官展に反発したりしたし、もちろん、戦争に対しても苦々しく思っていた。その戦争が終わり、ようやく、美人画が描けるようになった、清方にとって記念碑的作品なのだ。

一葉。清方は樋口一葉が少年のころから好きで、たけくらべやにごりえは暗礁するくらいだったという。実際、会ったことはなかったが、試しに描いた一葉図が、鏡花によく似ていると言われ、一葉の妹さんを参考にしながら、本格的に描いたそうだ。これは、何度か観ている。

嫁ぐ人。ブーケをもっているのが嫁ぐひと。ひやかしたり、冗談いったり、若い娘さんたちが笑い声が聞こえてきそうな絵だ。上からインコだかオウムがのぞいている。”オメデト、オメデト”なんて言っているのかな。ここは小石川植物園だそうである。

福富コレクションもいいくつかあった。キャバレー太郎と言われただけあった、色っぽいものが多い。これは、緑の岩に横たわる人魚。”妖魚”。官展に批判的になっていた頃の作品で、迷いの時期だったそうだ。画集でしかみたことのない、福富コレクションの”刺青の女”も観たかったが、残念ながらここにはなかった。


あとは、画像がないが、いくつか印象に残った作品名をメモしておこうと思う。”明治風俗12カ月”季節ごとの明治の下町の様子がていねいに描かれている。”早春”つくしんぼを積んでいる若い娘。着物の柄は、大きめの葉っぱがいっぱい散りばめられている。右端には黄藤がさきそろっている。そして、80歳を過ぎてからの、最晩年の”佳日”。まだまだ筆力は衰えていなかった。

その他、清方が蒐集した、浮世絵(鳥文斉栄之が好きだったようだ)、琳派好みでもあったので、光琳の屏風なども展示されている。

サントリー美術館は、てっきり創業者のコレクションを元に出来たものと思っていたが、そうではなく、まず会社で、美術館をつくり、”生活の中の美”をテーマに美術品を集めているとのことだ。自社の利益のことしか考えず、埋蔵金ばかりを増やしている大会社が多い中で、たいしたものだと思う。若い頃はサントリーレッドをよく飲んだが、最近は日本酒党になり、飲まなくなってしまった。でも、とりあえず一杯のビールはいつもいただいている。今まで、キリン一番搾りばかりだったが、今夜から、サントリー三番搾りに変えよう。

。。。



最後に、この展覧会にはなかったが、反骨精神旺盛な清方さんの”刺青の女”。

前日の隣国での、国会議員さんたちの、あほツーショットに引き続き、今朝の呆れたルール違反会見のニュース。刺青のおねえさんに、てめーら、いいいかげんにしねーと・・・、啖呵をきってもらいましょう。
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