'07.11.09 『約束』@九段会館(試写会)
「北朝鮮ピョンヤンでホルン奏者をしているソノは、案内係のヨナと婚約し、幸せの絶頂だった。そんな中、南にいる祖父との手紙のやり取りがバレてしまい、亡命することになるが…」という話。試写状にもチラシにもその後の2人の運命が書かれてしまっているので、展開は読めるし、最終的にどんな結論を出したとしても、いわゆるハッピーエンドにはならないことは分かってしまう。となれば、そこに至るまでの過程をいかに見せるかってことになると思うけど、残念ながら成功しているとは言えない。
多分、2人の悲恋をあまり重くならないように描きたかったのだと思うけど、全てがお粗末という感じ…。悲恋を強調するために、ピョンヤン時代の幸せそうな2人が描かれる。それは本来有効なんだと思うけど、あまりに古臭い演出。しかも、恋愛にばかり重点を置いたため、ソノが脱北しなくてはならない状況に説得力がない。そもそも、2人は現状に対して不満はなかったようだ。ピョンヤンの人々にしても幸せそうに見える。せいぜい子供達に彼女が語る「将軍様のおかげ」などのセリフを不自然に感じるくらい。でも、そのくらいの知識は見る側にもある。町並みも、人々の感じも昭和30~40年代?という感じがするくらいで、とっても平和で不穏な雰囲気はない。それだけに朝鮮戦争時に生き別れた祖父との手紙のやり取りという、日本人の私達にとっては普通のことが、命取りになりかねないという状況が感じにくい。もちろん知識としては分かっていても、画からの緊迫感がない。後半の2人の悲劇を盛り上げようという意図の演出なのだろうけど、北の辛い現実を描いた上で、その中でも2人の幸せな姿を描くことはできるはず。脱北のシーンもあまり緊迫感がない。それなりに描いているんだけど、役者達の大袈裟過ぎる演技が逆効果。その辺りの命懸けの感じとか、ソウルに着いてからの苦労がしっかり伝わらないと悲劇が浮き立たないと思うのだけど…。
感情移入できない最大の理由は、主役のソノに全く魅力を感じないこと。純朴な青年にしたかったのかもしれないけど、あまりにやり過ぎじゃないかと…。やみくもに走り出してバイクにぶつかってみたり、いくらなんでもやり過ぎ。ソノ役のチャ・スンウォンは韓国のスターと書かれていたけど…。もっさりとした風貌は純朴アピールにしても、あの空回り感はチャ・スンウォンの演技のせいなのか、脚本なのか、演出なのか…。たぶん全部。
ヨナ役のチョ・イジンは原沙知絵似。彼女はしっかりとした演技で良かった。なんとか最後まで見れたのは彼女のおかげかも。役柄的にもヨナの方が全然大人。そういう面も含めての彼のズッコケぶりなのか? ソノが彼女に韓国人がよくやる仕草と言って見せたポーズに対して「子供っぽくて呆れる」と返したのは、彼女の心からのソノに対しての言葉だっただろう。ヨナが呆れて絶望しているのはソノに対して。ソノにしてみれば、あの局面での沈黙に対して何とかしなければと思ってのことだと思うけど、彼に会いたい一心で命懸けで脱北してきた彼女に対してあれはないだろう。
そういう彼の罪悪感や、彼女に対する愛情や、その愛情ゆえの辛い言葉だったりを描きたいのであろうシーンの全てが空回りでただのダメ男にしか見えない。それが20代前半なら許せるけど、30過ぎてるからね。全てにおいて子供っぽくて甘い。重要な決定は全て人が決めたことだし…。彼女の選択は大正解。でも、こんな男も意外に多い…。
いわゆる脱北者の過酷さや、引き裂かれた男女の運命の悲しさなんかを期待して行くとガッカリ。でも、隣のおネエ様達は号泣していたので、ハマる人はハマるのかも。
『約束』Official site
「北朝鮮ピョンヤンでホルン奏者をしているソノは、案内係のヨナと婚約し、幸せの絶頂だった。そんな中、南にいる祖父との手紙のやり取りがバレてしまい、亡命することになるが…」という話。試写状にもチラシにもその後の2人の運命が書かれてしまっているので、展開は読めるし、最終的にどんな結論を出したとしても、いわゆるハッピーエンドにはならないことは分かってしまう。となれば、そこに至るまでの過程をいかに見せるかってことになると思うけど、残念ながら成功しているとは言えない。

感情移入できない最大の理由は、主役のソノに全く魅力を感じないこと。純朴な青年にしたかったのかもしれないけど、あまりにやり過ぎじゃないかと…。やみくもに走り出してバイクにぶつかってみたり、いくらなんでもやり過ぎ。ソノ役のチャ・スンウォンは韓国のスターと書かれていたけど…。もっさりとした風貌は純朴アピールにしても、あの空回り感はチャ・スンウォンの演技のせいなのか、脚本なのか、演出なのか…。たぶん全部。
ヨナ役のチョ・イジンは原沙知絵似。彼女はしっかりとした演技で良かった。なんとか最後まで見れたのは彼女のおかげかも。役柄的にもヨナの方が全然大人。そういう面も含めての彼のズッコケぶりなのか? ソノが彼女に韓国人がよくやる仕草と言って見せたポーズに対して「子供っぽくて呆れる」と返したのは、彼女の心からのソノに対しての言葉だっただろう。ヨナが呆れて絶望しているのはソノに対して。ソノにしてみれば、あの局面での沈黙に対して何とかしなければと思ってのことだと思うけど、彼に会いたい一心で命懸けで脱北してきた彼女に対してあれはないだろう。
そういう彼の罪悪感や、彼女に対する愛情や、その愛情ゆえの辛い言葉だったりを描きたいのであろうシーンの全てが空回りでただのダメ男にしか見えない。それが20代前半なら許せるけど、30過ぎてるからね。全てにおいて子供っぽくて甘い。重要な決定は全て人が決めたことだし…。彼女の選択は大正解。でも、こんな男も意外に多い…。
いわゆる脱北者の過酷さや、引き裂かれた男女の運命の悲しさなんかを期待して行くとガッカリ。でも、隣のおネエ様達は号泣していたので、ハマる人はハマるのかも。
