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【cinema】『パンダフルライフ』(試写会)

2008-07-22 02:05:38 | cinema
'08.07.18 『パンダフルライフ』(試写会)@新宿ピカデリー

yaplogの試写会プレゼントで当選! これは映画の完成披露試写会だった。しかも会場は7/19リニューアルオープンの新宿ピカデリー。どちらも初披露ってことで取材がたくさん来ていた。

映画館すごいキレイ! 3Fのフロアがロビーになっている。チケットカウンターに並んで、フード&ドリンクカウンター。パン持参で行ってしまったけど、ここで買えばよかった。ベンチとテーブルがあるので、ここで飲食可能。床も、壁も天井も白で統一されていてスタイリッシュ。映画館というと、シネコンにしてもどちらかというと暗いトーンの印象。白一色のロビーはホテルのような印象。ちょっと素敵。パンを食べていたら、パンダちゃん達がやってきたので激写。

特別ゲストということで「まえだまえだ」の2人が漫才を披露。兄弟げんかをテーマにしたネタよりむしろ、TUTAYA ONLINEでおなじみの伊藤さとりさんの質問に対するきちんとした受け答えに感心。もちろんネタもかわいくてよかったけど(笑) パンダちゃんたちとのマスコミ向け撮影会の後、いよいよ上映。

映画はパンダについてのドキュメンタリー。四川省にある成都パンダ繁育研究基地と和歌山県のアドベンチャーワールドが舞台となっている。特に、成都パンダ繁育研究基地では世界で始めて産室の撮影を許可されたのだそうで、これはかなり貴重な映像。でも、語り口がとても優しく、ソフトなので、愛くるしいパンダの姿とあいまって、絶滅に瀕した彼らの現状も重くならずに見れる。残酷な映像はほとんどないので子供にも安心して見せられる。そのことが逆に物足りなく感じる人もいるかもしれないし、確かに危機感が伝わりにくい気がしないでもない。でも、パンダからイメージするのは「愛らしい」「のんびり」など。だから、これでいいんだと思う。核心が多少ぼやけたとしても、伝えたいだろうことはきちんと伝わった。

パンダは約800万年前に誕生した。本来は肉食獣。氷河期に獲物が取れなくなり、竹が主食になった。独特のツートンカラーは雪の中で目立たないように変化したと言われている。この辺りの説明はアニメーションで見せる。アニメーションもかわいらしくて分かりやすかった。現在の生態についてはそれぞれの場面で語られる。腸は肉食獣の名残で短く、主食の竹もほとんど消化できないそうで、1日に12~16kgの竹が必要なのだそう。本来は単独行動で暮らす動物で、広大なテリトリーが必要。繁殖期は年に1度で、しかも3日~1週間しかなく、相性が良くないとダメ。というかなり生きにくい生態。一時は野生のパンダは1000頭にまで減ってしまった。確かに森林伐採や温暖化などの自然破壊が一番の原因だとは思う。でも、パンダ自体おっとりしているようで、実はとってもデリケートで難しい動物なのだということが分かった。

現在60頭が飼育されている成都パンダ繁育研究基地。最初に紹介されるのは3歳のオス、ヨンヨン(勇勇)と3頭の仲良し「おとぼけカルテット」がいい。のんびりゴロゴロしていて、エサの時間だと呼ばれても全然出てこない。大好物の竹の子を前足で抱えるように食べる姿がかわいらしい。体はすっかり大人だけど3歳というとまだまだ子供なのだそう。「パンダ幼稚園」の1歳になったばかりの子パンダ達がかわいい! コロコロした体系にフカフカの毛皮。まだ竹は食べられないのでミルクをもらう。かわいい前足と内股の後ろ足を駆使して、木や遊戯施設を危なっかしく登る。意外に落ちない。活発で他のパンダにちょっかいを出すパンダや、コロコロ転がって遊ぶ子など、こんな小さなうちからきちんと個体差がある。カメラにぶつかってくる子もいる(笑)

産室では14歳のベテランママ、アルヤート(二Y頭)が子育て中。まだ目の開かないピンク色の赤ちゃんを、器用に前足と後ろ足を使って愛しおしそうに抱きしめる姿に感動。本当にかわいくて仕方がないというような仕草。でも、この後赤ちゃんは職員の手で取り上げられ、保育器の中へ。そして保育器の中からもう一頭の赤ちゃんがアルヤートのもとへ連れてこられる。何小言もなかったように、その子も愛しおしそうに抱く。実はパンダは双子を産むことが多いそう。でも、強い個体1匹しか育てない。なので交換方式で赤ちゃんを入れ替え、子育てをさせているのだそう。なるほど。いろんな意見があるとは思うけれど、これだけ繁殖が難しい動物なのであれば、絶滅に瀕している今、そういう手段はありなんだと思う。”野生”というけれど、人間に保護された時点で既に野生ではないでしょうし・・・。それに、それがパンダ自体の生態だとしても、あんなに愛らしく、今生きている命を見捨ててしまう気にはやっぱりなれない。

成都パンダ繁育研究基地から2000年に来日したメイメイ(梅梅)は世界で初めて自らの手で双子を育てたお母さん。その双子がこの映画の一応の主役、シュウヒン(秋浜)とリュウヒン(隆浜)。4歳の男の子。シュウヒンはやんちゃで、リュウヒンはおっとりした性格。和歌山県のアドベンチャーワールドでのんびり暮らす。このアドベンチャーワールドは8頭のパンダの園内での誕生に成功し、映画の中で里帰りしたシュウヒン&リュウヒンを除くと現在6頭のパンダを飼育している。海外で6頭の飼育に成功しているのはここのみ。チーターや、ペンギンなど希少動物の繁殖研究に取り組み、成功している世界的な研究施設でもあるのだそう。繁殖の時期を迎えるシュウヒン&リュウヒンは成都パンダ繁育研究基地に里帰りすることになる。職員の人達との別れのシーンは泣けた。「個体への愛情はあるけれど、パンダ全体のことを考えて、2頭を送り出そう」という言葉に感動しつつも、やっぱりシュウヒンはシュウヒンだし、リュウヒンはリュウヒンじゃないの思ったりもする。でも、それが仕事だし・・・。複雑(涙)

産室では若いチョンジー(成積)が初めての子育てに奮闘中。彼女も交換方式で双子を育てている。そのうちの1頭ジーヨー(績優)は発育が悪く、黒のポイント部分は灰色になってしまった。手足の力が弱く、母親にしがみつけないジーヨーを不器用に抱くチョンジーが危なっかしくもかわいい。後ろ足が上手く動かせずにモゾモゾ動くジーヨーにちょこちょこ手出ししつつ、最後には2頭で添い寝する姿に感動。同じ頃、別の産室では妊娠の徴候のあったヤーヤーが、急に食欲を見せ始めた。パンダは出産が近づくと食欲が落ち、ほぼ絶食に近い状態で子供を生むのだそうで、この時期に食欲が戻るのはおかしいという。なんとヤーヤーは想像妊娠だったのだ。パンダにも想像妊娠があるなんてビックリ。でも、母親になりたかったのかと思うと、同じ女性として感じるものがある・・・(涙)

帰国したシュウヒンとリュウヒンにも節目の時がやってくる。ストレスから急に暴れだしたシュウヒン。彼をいたわるように添い寝した兄リュウヒン。そんな2頭にも大人になる時がくる。それは悲しいけれど仕方のないこと。この辺りがもう少ししっかり描かれると、子供達にも大人になるって事が伝わりやすかったのかと思うけど、残酷なシーンや交尾などはあえて避けた意図は分かる。それに、大人になってしまった者より、子供達の方が頭より心で理解するものかもしれない。

ジーヨー達、夏生まれの子供達も母親と別れる時期を迎える。子供と引き離された母親の嘆きは見ていて切ないけど、数日もすれば忘れてしまい次の恋へと向かう。あまりのアッサリさにビックリするけど、これも繁殖には必要なこと。そして動物の”本能”なのかも。人間も同じ”動物”なのだから、たまには”本能”で行動するものいいのかもしれないと、”頭”で考えて必要以上にブレーキをかけてしまいがちな自分を思ったりもしたけど、これは余談(笑) でも、確かに忘れてしまった方が楽なことは、さっさと忘れて次に進んだほうがいいと、かわいいパンダ達に教えられた(笑)

あくまでパンダが主役。もちろん人間も出てくるけれど、パンダをお世話するいわば脇役として。その視点が良かったと思う。時にシュウヒンの目線になったりしながら、パンダの生態や行動を語るナレーションは菅野美穂。菅野美穂は演技上手いと思うけど、少し滑舌が悪い気がして、ちょっぴり心配だったけど、それは全く気になかったし、感情過多になることもなく抑えた口調で良かったと思う。

全体としてパンダ達を優しく見守る目線で描く。成都パンダ繁育研究基地やアドベンチャーワールドの人達もパンダのために一生懸命。中国の人はちょっとパンダの扱いが乱暴な気がしたけど、悪気は全くないのは分かる(笑) とにかく目線はあくまでゆったりとしている。パンダの現状を語る時も決して糾弾するのではなく、あくまで穏やか。前述したように、もう少し掘り下げたり、突っ込んだ方がいいのではという気もしたけれど、でもそれは愛くるしいパンダの個性とは合わないように思う。声高に叫んでも聞こうとしない人の耳には届かないし、穏やかに多くを語らなくてもきちんと受け取ってくれる人はいる。自分は後者でありたいと思っているだけ。

難しいことを考えなくても愛らしいパンダの姿に癒される。そして、そんなパンダを守りたいと思える。パンダの個性同様ほんわかのんびりしたいい映画だと思う。もちろんパンダは本来肉食獣だから、時には獰猛になったり、のんびりしているだけではないとは思うけれど、あくまでパンダのイメージを壊すことなく描いたのは良かったと思う。

とにかくパンダがかわいい!


『パンダフルライフ』Official site



小冊子もらった。
かわいい



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