'09.06.08 「日本の美と出会う -琳派・若冲・数寄の心-」@日本橋高島屋8階ホール
京都にある細見美術館のコレクション展。琳派、若冲の作品が見れるなら行くしかないでしょう! ってことで行ってきた。仕事が早めに上がれたので、トコトコ歩いて高島屋8Fの会場に着いたのは18時頃。けっこう空いてる。余裕をもって見れるのはうれしい。
まずは光琳の作品から。「大琳派展 ~継承と変奏~」の記事にも書いたけれど、琳派とは尾形光琳が確立した絵画、工芸の一派。でも、狩野派のように一大絵師集団として脈々と続いているわけではない。光琳が憧れた俵屋宗達から光琳、そして光琳を敬愛した酒井抱一、その弟子鈴木其一までの流れを言う。宗達から光琳までが80年、光琳から抱一までが100年。トータル200年の大きな流れ。もちろんこの展示会も俵屋宗達から。宗達といえば同時期に活躍した本阿弥光悦とのコラボ。宗達が絵を描き、光悦が書を書く。光悦の書は美しくて好き。全く読めないけど・・・。実は光琳は本阿弥光悦の血筋。光琳や弟の尾形乾山の作品もある。どれも素晴らしいけれど、正直今回そんなにグッとくる作品はなかった。点数も多くはなかったし。
次の展示は酒井抱一。抱一の作品は穏やか。姫路城主の息子として生まれながら不遇の人生を送った抱一。穏やかな境地に辿り着くには葛藤もあっただろうに・・・。「白蓮図」がいい。画面中央からやや右の位置にすっと伸びた蓮の花がいい。かなり大きく描いた大胆な構図。でも、穏やか。墨かな? 茶色っぽい絵の具の濃淡でのみ表現されているのもいい。だけど、やっぱり抱一よりも弟子の鈴木其一の方が好み。「桜花返咲図扇面」がいい。扇に描かれた作品で季節外れに咲いた桜なのかな? 桜のかわいらしい美しさもさることながら、手前に描かれた赤い葉の美しさがスゴイ。「雪中竹梅小禽図」がいい。それぞれ竹と梅を描いた2幅の掛軸。小禽って何だろう。この展示会で何作も"小禽"とタイトルにつく作品があって、全て鳥が描かれている。鳥の種類かなと思ったけど、どれも違う鳥。調べてみたら小鳥のことなのだそう。なるほど(笑) 話がそれたけど「雪中竹梅小禽図」はどちらもいいけど、竹がいい。画面右と左上に雪の積もった竹を配している。竹の緑と雪の白のコントラストがいい。そして画面中央に2羽のスズメ。この2羽がまさに今飛び立ったのであろうことは、画面右端に描かれた雪が落ちる様子で分かる。小さな鳥が飛び立つ際に立てた振動が、竹を揺らし雪を落とす。でも、竹は揺れてはいない。鳥が羽ばたく躍動感はあるものの、感じるのは静けさ。これはいい。
其一作品で一番好きだったのは「糸瓜に朝顔図」 実はこれ入口から順路にそって進むと、突き当たりに展示されている。他の作品も並んでいるにもかかわらず、目に飛び込んできた。力のある絵は光を放っているかのように、どんなに遠くから見ても、目に飛び込んでくる。そして心を捉えて放さない。画面中央にたらし込みの技法で描かれた糸瓜。形がいい。葉や蔓は写実的で細部まで手を抜かずきちんと描いているけれど、あくまで繊細にやわらかく描かれていて、なんとも品があってかわいらしい。すっと引かれた線で表現された蔓が素晴らしい。こういう線って絶対に描けない。とにかく蔓の表現がスゴイ。ところどころに描かれた白い花も美しいけど、中央やや左下に描かれた朝顔の青が画面を締める。なんとも優しく品がある。早くも今日の一枚かと思ったけれど、今日の一枚は別にあった・・・。
次がお目当て、大好きな伊藤若冲のコーナーだけど、これは後ほどたっぷりと(笑) 円山応挙の「若竹に小禽図」がかわいい。小さな作品ながら竹のスッキリした表現と小鳥のかわいらしさはさすが応挙。作者不明だけど「江戸名所遊楽図」がいい。囲碁などさまざまな遊びに興じる江戸の人達。江戸時代の人々もこんな風に楽しんでいたのかと思うとかわいい。絵画展示の最後を飾るのは葛飾北斎の肉筆画2点。「夜鷹」は"宗理"と名乗っていた30代後半の作品とのこと。夜鷹というのは街娼のこと。どことなくうらぶれた感じと、胆が据わっている感じがスゴイ。「五美人図」がいい。右側で2人の娘が反物を広げていて、そばから1人が覗き込んで品定めしている様子。反物の赤と娘たちの袖や裾からのぞく赤が呼応している。左の2人は3人よりやや年上なのか、茶と黒の着物でぐっと渋い。立てひざをして煙管をくゆらす女性がなまめかしい。3人の華やいだ感じと、2人の落ち着いたなまめかしさの対比がいい。さすが北斎。
最後は焼物などの飾り物を展示。「黒織部沓形茶碗」がいい。黒の色がなんとも艶やか。上薬のかかっていない部分には、織部独特の模様。変形させた形もいい。根来の作品が並ぶ。根来とは朱塗、黒漆塗の漆器の通称。高野山の僧が紀州に根来寺を開き、仏具や日用品を作ったことから根来と呼ばれているのだそう。「根来菜桶」がいい。黒塗の桶で、蓋の取っ手部分が菊をかたどっていてかわいい。「根来湯桶」いい! かなり大きな・・・急須? 角張った形がいい。朱塗りで角の部分が少し剥げた感じになっているのも味わい深い。取っ手がいい。急須の端から端まで渡してある取っ手は角張っている。って上手く表現できないのでさっぱり伝わらないと思う(涙) とって大胆。これは室町時代作。斬新!
さて、伊藤若冲について。まずは「糸瓜群虫図」から。これは素晴らしい。同じ糸瓜を題材にしながら其一の作品とは全然違う。其一の糸瓜は瓢箪のような形だけど、若冲のは細長いきゅうりのような形。葉の形も違う。其一の葉は朝顔の葉なのかもしれないけど・・・。若冲の方は全体的に写実的。枯れたり、虫食い穴が空いた葉まで描いている。って、多分これはあえて描いているんでしょう。右上に枯れて虫食いのある葉を配し、そこから真っ直ぐ下に伸びる糸瓜。その糸瓜を中心に2本のやや短めの糸瓜を描く。黄色の花はほとんど目立たない。そしてカタツムリやカマキリ、トンボなどが描かれているけど、これもホントに糸瓜の葉や蔓と一体化している。でも、その1つ1つはものすごく写実的で動きがある。これは素晴らしい。其一の作品もホントに素晴らしく、どちらが好きかと聞かれればとっても困るけど、飾るなら其一。鑑賞するなら若冲かな。しかし、植物と虫のコラボ(?)といえばアールヌーボー。アールヌーボーの代表ミュシャや印象派の巨匠達は、浮世絵などの日本美術を愛したそうだけど、この作品を見たらビックリしたんじゃないかと思う。ホントスゴイ!
「虻に双鶏図」がかわいい。ほっこりふくよかな鶏2羽座っている。その頭上を飛ぶ虻。のろっとした動作で見上げる鶏。なんとものんびり。鶏といえば若冲だけど、いつもの生きてるかのような写実性よりも、鶏のかわいらしさと少し間の抜けたのんきな感じを表現している。これはかわいい。「伏見人形図」は若冲にしてはめずらしく人物を描いた作品。人形だけど・・・(笑) 伏見人形がどんなものなのか不明だけど、"まんが日本昔話"のキャラのよう。こんな若冲初めて。「群鶏図」すごい! 画面中央下に左を向き片足をわずかに上げて立つ鶏。立派なとさかがあるので雄でしょう。胸を反らして立つ姿がいい。胸の辺りと尾の黒々した墨が画を引き締める。この鶏のうしろに1羽の雌が描かれていて、画面左奥にもう1羽正面を向く鶏が描かれている。この鶏は体の輪郭はほとんど描かれていない。墨の濃淡だけで描かれている作品ではあるけど、ほわほわとして毛の表現として、ほんの少し薄い墨をおいているだけ。でも、きちんと鶏に見える。そして何故体をこんなにぼかしているかといえば、長く弧を描く尾を見せたいから。この尾が素晴らしい! なんという筆使い。迷い無く一気に描かれた力強さと、その中にある繊細さ。これはスゴイ。
ここまでの作品はすべて掛軸。あと屏風が2点。まずは「鶏図押絵貼屏風」 これは伝伊藤若冲となっているので、若冲作品として確定しているわけではないらしい。比較的小さな鶏ばかりを描く。繊細ではあるけれど、やや迫力にかけるなぁと思ったのは、実は次の作品のせい。そして、こちらが"今日の一枚"「花鳥図押絵貼屏風」これすげー! さまざまなポーズの鶏が描かれている。その躍動感がスゴイ。今にも飛び出してきそう。これも墨の濃淡だけで描かれた作品だけど、1枚1枚の羽根やとさかの描写は繊細で写実的。たくさんの鶏を庭で放し飼いにしてスケッチしていたという若冲のまさに真骨頂。こちらも一気に描かれる濃い墨で尾が画を引き締める。その動きのある大胆な力強さがスゴイ! 鶏の間に描かれている植物も鶏がおとなしめの時には力強い枝を描いて、時に荒々しい。鶏が力強く描かれている時には淡い花を描く。それらが全て繊細で美しい。墨の濃淡の使い方が見事。足をしっかり踏みしめ体を右に向け、こちらを振り返る鶏の迫力がスゴイ! 凛とした美しさ。動物だって鳥だって気品のあるものはある。若冲の鶏には凛とした気品がある。そして、この両足を踏ん張った鶏には品格がある。素晴らしい! やっぱり若冲は大好き。
とにかく若冲が見れてホントに幸せだった。デパート内での展示会なので、点数は少ないかもしれないけれど、鈴木其一「糸瓜に朝顔図」伊藤若冲「花鳥図押絵貼屏風」は見るべき!
★日本の美と出会う:6月3日~15日 日本橋高島屋8階ホール
「日本の美と出会う -琳派・若冲・数寄の心」(毎日放送)

まずは光琳の作品から。「大琳派展 ~継承と変奏~」の記事にも書いたけれど、琳派とは尾形光琳が確立した絵画、工芸の一派。でも、狩野派のように一大絵師集団として脈々と続いているわけではない。光琳が憧れた俵屋宗達から光琳、そして光琳を敬愛した酒井抱一、その弟子鈴木其一までの流れを言う。宗達から光琳までが80年、光琳から抱一までが100年。トータル200年の大きな流れ。もちろんこの展示会も俵屋宗達から。宗達といえば同時期に活躍した本阿弥光悦とのコラボ。宗達が絵を描き、光悦が書を書く。光悦の書は美しくて好き。全く読めないけど・・・。実は光琳は本阿弥光悦の血筋。光琳や弟の尾形乾山の作品もある。どれも素晴らしいけれど、正直今回そんなにグッとくる作品はなかった。点数も多くはなかったし。
次の展示は酒井抱一。抱一の作品は穏やか。姫路城主の息子として生まれながら不遇の人生を送った抱一。穏やかな境地に辿り着くには葛藤もあっただろうに・・・。「白蓮図」がいい。画面中央からやや右の位置にすっと伸びた蓮の花がいい。かなり大きく描いた大胆な構図。でも、穏やか。墨かな? 茶色っぽい絵の具の濃淡でのみ表現されているのもいい。だけど、やっぱり抱一よりも弟子の鈴木其一の方が好み。「桜花返咲図扇面」がいい。扇に描かれた作品で季節外れに咲いた桜なのかな? 桜のかわいらしい美しさもさることながら、手前に描かれた赤い葉の美しさがスゴイ。「雪中竹梅小禽図」がいい。それぞれ竹と梅を描いた2幅の掛軸。小禽って何だろう。この展示会で何作も"小禽"とタイトルにつく作品があって、全て鳥が描かれている。鳥の種類かなと思ったけど、どれも違う鳥。調べてみたら小鳥のことなのだそう。なるほど(笑) 話がそれたけど「雪中竹梅小禽図」はどちらもいいけど、竹がいい。画面右と左上に雪の積もった竹を配している。竹の緑と雪の白のコントラストがいい。そして画面中央に2羽のスズメ。この2羽がまさに今飛び立ったのであろうことは、画面右端に描かれた雪が落ちる様子で分かる。小さな鳥が飛び立つ際に立てた振動が、竹を揺らし雪を落とす。でも、竹は揺れてはいない。鳥が羽ばたく躍動感はあるものの、感じるのは静けさ。これはいい。
其一作品で一番好きだったのは「糸瓜に朝顔図」 実はこれ入口から順路にそって進むと、突き当たりに展示されている。他の作品も並んでいるにもかかわらず、目に飛び込んできた。力のある絵は光を放っているかのように、どんなに遠くから見ても、目に飛び込んでくる。そして心を捉えて放さない。画面中央にたらし込みの技法で描かれた糸瓜。形がいい。葉や蔓は写実的で細部まで手を抜かずきちんと描いているけれど、あくまで繊細にやわらかく描かれていて、なんとも品があってかわいらしい。すっと引かれた線で表現された蔓が素晴らしい。こういう線って絶対に描けない。とにかく蔓の表現がスゴイ。ところどころに描かれた白い花も美しいけど、中央やや左下に描かれた朝顔の青が画面を締める。なんとも優しく品がある。早くも今日の一枚かと思ったけれど、今日の一枚は別にあった・・・。
次がお目当て、大好きな伊藤若冲のコーナーだけど、これは後ほどたっぷりと(笑) 円山応挙の「若竹に小禽図」がかわいい。小さな作品ながら竹のスッキリした表現と小鳥のかわいらしさはさすが応挙。作者不明だけど「江戸名所遊楽図」がいい。囲碁などさまざまな遊びに興じる江戸の人達。江戸時代の人々もこんな風に楽しんでいたのかと思うとかわいい。絵画展示の最後を飾るのは葛飾北斎の肉筆画2点。「夜鷹」は"宗理"と名乗っていた30代後半の作品とのこと。夜鷹というのは街娼のこと。どことなくうらぶれた感じと、胆が据わっている感じがスゴイ。「五美人図」がいい。右側で2人の娘が反物を広げていて、そばから1人が覗き込んで品定めしている様子。反物の赤と娘たちの袖や裾からのぞく赤が呼応している。左の2人は3人よりやや年上なのか、茶と黒の着物でぐっと渋い。立てひざをして煙管をくゆらす女性がなまめかしい。3人の華やいだ感じと、2人の落ち着いたなまめかしさの対比がいい。さすが北斎。
最後は焼物などの飾り物を展示。「黒織部沓形茶碗」がいい。黒の色がなんとも艶やか。上薬のかかっていない部分には、織部独特の模様。変形させた形もいい。根来の作品が並ぶ。根来とは朱塗、黒漆塗の漆器の通称。高野山の僧が紀州に根来寺を開き、仏具や日用品を作ったことから根来と呼ばれているのだそう。「根来菜桶」がいい。黒塗の桶で、蓋の取っ手部分が菊をかたどっていてかわいい。「根来湯桶」いい! かなり大きな・・・急須? 角張った形がいい。朱塗りで角の部分が少し剥げた感じになっているのも味わい深い。取っ手がいい。急須の端から端まで渡してある取っ手は角張っている。って上手く表現できないのでさっぱり伝わらないと思う(涙) とって大胆。これは室町時代作。斬新!
さて、伊藤若冲について。まずは「糸瓜群虫図」から。これは素晴らしい。同じ糸瓜を題材にしながら其一の作品とは全然違う。其一の糸瓜は瓢箪のような形だけど、若冲のは細長いきゅうりのような形。葉の形も違う。其一の葉は朝顔の葉なのかもしれないけど・・・。若冲の方は全体的に写実的。枯れたり、虫食い穴が空いた葉まで描いている。って、多分これはあえて描いているんでしょう。右上に枯れて虫食いのある葉を配し、そこから真っ直ぐ下に伸びる糸瓜。その糸瓜を中心に2本のやや短めの糸瓜を描く。黄色の花はほとんど目立たない。そしてカタツムリやカマキリ、トンボなどが描かれているけど、これもホントに糸瓜の葉や蔓と一体化している。でも、その1つ1つはものすごく写実的で動きがある。これは素晴らしい。其一の作品もホントに素晴らしく、どちらが好きかと聞かれればとっても困るけど、飾るなら其一。鑑賞するなら若冲かな。しかし、植物と虫のコラボ(?)といえばアールヌーボー。アールヌーボーの代表ミュシャや印象派の巨匠達は、浮世絵などの日本美術を愛したそうだけど、この作品を見たらビックリしたんじゃないかと思う。ホントスゴイ!
「虻に双鶏図」がかわいい。ほっこりふくよかな鶏2羽座っている。その頭上を飛ぶ虻。のろっとした動作で見上げる鶏。なんとものんびり。鶏といえば若冲だけど、いつもの生きてるかのような写実性よりも、鶏のかわいらしさと少し間の抜けたのんきな感じを表現している。これはかわいい。「伏見人形図」は若冲にしてはめずらしく人物を描いた作品。人形だけど・・・(笑) 伏見人形がどんなものなのか不明だけど、"まんが日本昔話"のキャラのよう。こんな若冲初めて。「群鶏図」すごい! 画面中央下に左を向き片足をわずかに上げて立つ鶏。立派なとさかがあるので雄でしょう。胸を反らして立つ姿がいい。胸の辺りと尾の黒々した墨が画を引き締める。この鶏のうしろに1羽の雌が描かれていて、画面左奥にもう1羽正面を向く鶏が描かれている。この鶏は体の輪郭はほとんど描かれていない。墨の濃淡だけで描かれている作品ではあるけど、ほわほわとして毛の表現として、ほんの少し薄い墨をおいているだけ。でも、きちんと鶏に見える。そして何故体をこんなにぼかしているかといえば、長く弧を描く尾を見せたいから。この尾が素晴らしい! なんという筆使い。迷い無く一気に描かれた力強さと、その中にある繊細さ。これはスゴイ。
ここまでの作品はすべて掛軸。あと屏風が2点。まずは「鶏図押絵貼屏風」 これは伝伊藤若冲となっているので、若冲作品として確定しているわけではないらしい。比較的小さな鶏ばかりを描く。繊細ではあるけれど、やや迫力にかけるなぁと思ったのは、実は次の作品のせい。そして、こちらが"今日の一枚"「花鳥図押絵貼屏風」これすげー! さまざまなポーズの鶏が描かれている。その躍動感がスゴイ。今にも飛び出してきそう。これも墨の濃淡だけで描かれた作品だけど、1枚1枚の羽根やとさかの描写は繊細で写実的。たくさんの鶏を庭で放し飼いにしてスケッチしていたという若冲のまさに真骨頂。こちらも一気に描かれる濃い墨で尾が画を引き締める。その動きのある大胆な力強さがスゴイ! 鶏の間に描かれている植物も鶏がおとなしめの時には力強い枝を描いて、時に荒々しい。鶏が力強く描かれている時には淡い花を描く。それらが全て繊細で美しい。墨の濃淡の使い方が見事。足をしっかり踏みしめ体を右に向け、こちらを振り返る鶏の迫力がスゴイ! 凛とした美しさ。動物だって鳥だって気品のあるものはある。若冲の鶏には凛とした気品がある。そして、この両足を踏ん張った鶏には品格がある。素晴らしい! やっぱり若冲は大好き。
とにかく若冲が見れてホントに幸せだった。デパート内での展示会なので、点数は少ないかもしれないけれど、鈴木其一「糸瓜に朝顔図」伊藤若冲「花鳥図押絵貼屏風」は見るべき!
★日本の美と出会う:6月3日~15日 日本橋高島屋8階ホール
